生命保険会社が破綻(破産)したらどうなるか?
記事作成日:2017.3.31
2017年以降は生命保険会社の破綻を心配する必要はあまりないと思います。
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私がこのサイトの中で高く評価している保険商品の中には、有名な保険会社のものもあれば、そうでないものもあると思う。 |
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たしかに、聞いたこともないような会社のこともあるよね。 前々から思ってたけど、いくら評価ランキングが上位の保険でも、マイナーな会社だと加入するのはやっぱり不安だよね。潰れたりしないかなと思っちゃうよ。 |
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そうだね。 実際、私が営業マンだった頃も、このサイトを開設してからも、多くの方からそのような問い合わせを頂いてきた。 ・聞いたこともない会社だと破綻しそうで不安。 けれど結論から言ってしまうと、保障重視の保険 (定期保険、収入保障保険、がん保険など) に加入する場合はどの会社でも大丈夫。なのでマイナーな会社の商品でも安心して加入してほしいと思う。 貯蓄重視の保険 (学資保険、終身保険、個人年金保険など) も、これから加入するのであればほとんど気にしないで大丈夫だと思う。 なのでこの先は興味のある方だけ読んでもらえればと。 |
保障重視の保険 定期保険、収入保障保険、がん保険、医療保険、所得保障保険など |
保険会社の破綻の可能性を気にしなくてOK |
貯蓄重視の保険 学資保険、終身保険、個人年金保険など |
これから(2017年以降)加入するのであれば、ほとんど気にしなくてOK |
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そうなんだ。けどなんでなの? |
生命保険会社が破綻するとどうなるか?
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まずは「生命保険会社が破綻するとどうなるか?」について軽く。 |
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うい。 |
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例えば甲さんがA生命で学資保険に加入していました。甲さんの契約は2018年にA生命から学資保険金として100万円を受け取れるというものでしたが、2017年にA生命が破綻してしまいました。 さて甲さんはその後、いくら学資保険金を受け取れるでしょうか? ①~③の中から可能性があるものをすべて選んでみてください。 ①1円も受け取れない |
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うーん、全額はなんとなくなさそうだから①と③かな? |
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残念。正解は②と③です。 |
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ん?ってことは、悪くても少しだけ減らされるだけで、全額受け取れる可能性もあるってことか。なんでなの? |
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生命保険契約者保護機構(※1)による補償があるからなんだ。 ちょっと言葉が難しいけれど、保険会社が破綻した場合、加入中の保険については破綻時点の責任準備金等の90%を保護機構が原則補償(※2)してくれる。逆にいえば最大で10%は責任準備金が削減されてしまう可能性はあるけど、少なくとも1円も受け取れないなんてことにはならないんだ。 ※1 共済系は機構に加入していないため機構による補償の対象外です。これについてはこちらのページで触れます。 |
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なるほど。 1円も受け取れなかったら最悪だもんね。最悪の事態になることはないならひとまず安心だなあ。じゃあ90%を補償ってことは、今回の甲さんの場合だと学資保険金が100万円だったから、その90%で90万円は補償してくれるってことかな? |
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いや違うんだ。 ここが難しいところなんだけど、責任準備金と保険金は違うものなんだ。 責任準備金っていうのは、保険会社が将来保険金を支払うために積み立てているお金のこと。 「保険金を支払うために責任を持って準備中のお金」 と読み替えるとわかりやすいと思う。 |
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なるほど。 けど本当に準備してくれているのかな?準備してないかもしれないんじゃ? |
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いや、保険業法により準備しておくことが義務付けられているので、 「準備していませんでした、すいません。」 というわけにはいかないんだ。 例えば今回のA生命は、 「2018年に甲さんに学資保険金100万円を払う」 という契約をしていた。 A生命は2018年に甲さんに100万円を払えるよう、2016年時点では90万円、2017年時点では95万円を責任をもって準備しておく予定だったとする。するとこの場合、2016年時点の責任準備金は90万円、2017年時点の責任準備金は95万円になる。(※) ※保険会社がいつの時点で具体的にいくら責任準備金を準備することになっているかは、契約書などには記載されていません。ただし責任準備金と解約返戻金はほぼ同額であることが多いため、それが目安になります。解約返戻金の推移表は契約時の設計書などに一般的に記載されています。 |
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なるほど。 ということは2017年時点で破綻してしまったら 補償額 となるわけか。 |
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そうだね。 |
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で、そのあとはどうなるの? |
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あくまで例だけど、イメージ的にはこんな感じになる↓ |
本来の予定 | 2017年に破綻してしまった場合 | |
2016年時点 | 責任準備金を90万円準備 | 責任準備金を90万円準備 |
2017年時点 | 責任準備金を95万円準備 | 責任準備金を95万円準備する予定だったが、 経営悪化により準備できず、そして破綻。 その後、責任準備金の10%削減措置(90%保護)が 行われ、責任準備金の残額は85.5万円となった。 |
2018年時点 | 学資保険金100万円を 甲さんに支払う |
A生命を救済し契約を引き継いだB生命が責任準備金を 運用し、学資保険金87万円を甲さんに支払った。 |
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なるほど。 破綻してしまって責任準備金の削減が行われてしまうと、必然的にその後の保険金額も少なくなってしまうわけか。 |
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そうだね。 しかもこれまでに破綻した事例では、責任準備金の削減だけでなく、救済後の責任準備金の予定利率(運用利率)の引き下げも行われたケースが多い。これは救済した会社に無理な負担をかけさせないためだ。予定利率が引き下げられてしまうと、その後に受け取れる保険金額はますます下がってしまうことになる。 |
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なるほど。 ちなみに救済会社が現れなかった場合はどうなっちゃうの? |
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その場合は保護機構が自ら契約を引き継ぐことになっているけど、過去事例ではすべて救済会社が現れている。 |
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なるほどなあ。 うーんなんというか、1円も受け取れないという最悪の事態は避けられているとはいえ、やっぱり100万円受け取れる予定だったことを考えると、87万円しか受け取れなくなっちゃったら困るよね。 |
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そうだね。 なので貯蓄型の保険を選ぶ時は、破綻する可能性が高そうな会社は避けたほうがいいと思う。 (破綻の可能性が高そうな会社の見分け方は次ページで取り上げます) |
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そっか。けど 「これから貯蓄重視の保険に加入するのであれば、ほとんど気にしなくてOK」 って言ってたよね?なんでなの? それに保障重視の保険はそもそも心配しなくてOKってことだったよね? |
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ああ。 破綻の影響は責任準備金が高額な保険ほど大きい。 けれど詳細は割愛するけれど、保障重視の保険はその仕組み上、そもそも責任準備金ってものがほとんどないと言えるくらい低額なんだ。貯蓄重視の保険のように 「将来確実に大金を加入者に支払わなければいけない」 とは決まっていないから、準備しておく必要がないからね。 なので保障重視の保険は破綻の影響をほとんど受けないと考えてしまって大丈夫だと思う。 貯蓄重視の保険については次のページで。 |