続・インフレと保険 年2%のインフレが続くと学資保険や終身保険はどうなるか?

記事作成日:2014.11.13

年2%のインフレが継続すると35年後には物価が2倍に

アベノミクスではデフレ脱却をするため、インフレターゲット(物価上昇率の目標値)を年2%とし、2013年より異次元緩和の導入を開始した。
私はその目標達成は限りなく難しい(※)と思っているけど、もしその目標を達成してしまったらどうなるか?今日はそれを詳しくみていきたいと思う。


※管理人は異次元緩和なんかでデフレ脱却(インフレ2%達成)はまず不可能だろうと考えています。この方の意見にもっとも近いです。政府には根本的な少子化対策に力を入れてほしいものです。
ういす。年2%っていったら、今年100円で売っていたものが、来年は102円になるってことだよね?
そうだね。年2%のインフレが続くと、下記の表のようになる。


西暦 経過年数
(年)
2013年に100円で売っていたものが
いくらになっているか
(円)
100円玉の価値
(円)
2013 0 100 100
2018 5 110 90
2023 10 121 82
2028 15 135 74
2033 20 149 67
2038 25 164 61
2043 30 181 55
2048 35 200 50


うわ、すごい勢いで変化していくんだね。35年後には100円だったものが倍の200円になっちゃうんだ・・・。
そうだね。それと同時に100円玉の価値はどんどん落ちていく。
ではこのように年2%のインフレが続いた場合、学資保険終身保険に加入していたらどうなるかを詳しく見ていくよ。


年利率1%の学資保険に加入していた場合

ここではソニー生命の5年ごと利差配当付き学資保険(※)を例としてみていきたい。契約内容は下記のとおり。

プラン・・・Ⅱ型
契約者・・・30歳男性
子ども・・・0歳
保険料払込期間・・・18年
年払保険料 (年払を選択時)・・・101,000円
保険料総額・・・1,818,000円
満期学資金・・・2,000,000円
損得・・・+182,000円
返戻率・・・110%

※ 上記契約内容は記事作成時点の ものです。
これは、毎年101,000円を18年間積み立てると、18年後に満期学資金として200万円を受け取れる契約だね。
そうだね。この契約の場合、運用利率(年利)と年金終価係数はおよそ下記になる。

年利・・・1.0%  年金終価係数(期首積立)・・・19.81

年利1%ってことは、物価上昇率が年2%だったら、

学資保険の年利 < 物価上昇率

になるね。なんかやばそうな予感が・・・。
そうなんだ。まず、その年に払った年払保険料の価値の推移は下記のとおり。


経過 その年に払う
年払保険料

100円玉の価値
その年に払った
年払保険料の価値

ア×イ%
1年目 101,000円 100円 101,000円
2年目 98円 99,020円
3年目 96円 97,078円








16年目 101,000円 74円 75,044円
17年目 73円 73,573円
18年目 71円 72,130円
合計 1,818,000円 1,544,479円


えーと、表面上は毎年同じ年払保険料101,000円を払っているけど、お金の価値が落ちていっているから、18年目は101,000円払っていても加入時のお金の価値でいうところの72,130円分の価値分しか払っていないことになっちゃうのか。
そうだね。
ある意味、年を追うごとに保険料の負担が減っていっているとも言える。
その結果、18年間で払う保険料総額は表面上は約182万円だけど、加入時のお金の価値でいうところの約154万円分しか払っていないことになる。
なるほど。で、この保険は保険期間(18年)満了時には満期学資金として200万円受け取れるんだよね。でもその200万円もやはり価値が下がっちゃってるんだよね?
そうだね。18年後の200万円は、加入時のお金の価値でいうところの140万円分の価値しかない。
インフレが起きなかった場合や、1%や2%のインフレが継続した場合を整理すると、下の表のようになる。


インフレが
起きなかった場合
1%のインフレが
継続した場合
2%のインフレが
継続した場合
18年間で払い込んだ
保険料総額の価値
(ア)
182万円 167万円 154万円
満期学資金200万円の価値(イ) 200万円 169万円 140万円
損得(イ-ア) +18万円 +2万円 -14万円
返戻率(イ/ア) 110% 101% 92.5%


うわ、最悪じゃん。
年1%のインフレに対してはなんとかプラスをキープできているけど、年2%のインフレが継続するとせっかく18年間も積み立てたのに元本割れしちゃうなんて・・・。
そうだね。
年利1%の学資保険では、年2%の物価上昇(インフレ)に負けてしまう
ということだね。


年利率1%の終身保険に加入していた場合

終身保険の場合も学資保険と基本的には同じで、年利が物価上昇率より低いとインフレに負けてしまう。けれど、学資保険は運用期間が長くても18年くらいなので、インフレになってもまだそこまでダメージは大きくない。
まあ確かにさっきの例では返戻率92.5%だったもんね。
そうだね。ところが終身保険の場合は、運用期間が学資保険よりも長期になりやすく、30年以上の運用になることもざらにある。
インフレが継続した場合、年月が長くなればなるほど物価も上昇してしまうことになるので、
運用期間が長い終身保険ほど、インフレの影響をより受けやすくなってしまう。
例えば30歳男性が老後の貯蓄として、60歳まで保険料を払いこむ下記の終身保険を契約をしたとする。

契約者&被保険者・・・30歳男性
死亡保険金・・・500万円
保険料払込期間・・・30年(60歳まで)
年払保険料・・・11万円
保険料総額・・・330万円
60歳解約時の解約返戻金・・・386万円
60歳解約時の損得・・・+56万円
60歳解約時の返戻率・・・117%

ふむふむ。
この終身保険の60歳解約時の運用利率(年利)と年金終価係数は下記のとおり。年利は先ほどの学資保険と同じだ。

年利・・・1.0%  年金終価係数(期首積立)・・・35.13


しかし年2%のインフレが60歳まで継続した場合、下の表のように大きくマイナス運用となってしまう。


インフレが
起きなかった場合
1%のインフレが
継続した場合
2%のインフレが
継続した場合
30年間で払い込んだ
保険料総額の価値
(ア)
330万円 287万円 251万円
60歳で解約をした時に受け取れる
解約返戻金386万円の価値
(イ)
386万円 290万円 218万円
損得(イ-ア) +56万円 +3万円 -33万円
返戻率(イ/ア) 117% 101% 86.9%


な!?
2%のインフレが継続した場合の返戻率が、さっきの学資保険の時(92.5%)よりも悪化している・・・。同じ年利1%の保険なのに・・・。
そうだね。
「保険の年利 < 物価上昇率」
の場合は、運用期間が長くなればなるほど返戻率が落ちていってしまうんだ。


まとめ 年2%のインフレが継続すると予想される方は貯蓄型保険は避けたほうがよいかと

というわけで今回の結論。
2014年11月現在に発売されている積立貯金型の学資保険低解約返戻金型終身保険は、年利(運用利率)が高いものでも1%程度。積立貯金型でなく、一括で資金を投入するタイプの一時払い終身保険や養老保険は、年利0.7%程度だ。
そうなると今回見てきたとおり、政府と日銀が目標としている2%のインフレ継続が本当に実現してしまった場合は、保険はインフレに負けてしまう。
なので2%のインフレが継続すると予想される方は、保険以外の運用を考えたほうがよいと思う。
特に、運用期間が長期の終身保険は避けたほうがよいと思う。
なるほど・・・。保険以外っていうと何があるの?
株式や投資信託などかな。保険と同様にそれらも積立型のものと一括で購入できるタイプがある。保険よりもリスクが高い商品にはなるけど、どのみち2%のインフレが継続したら確実にマイナス運用になる保険よりは、それらを検討するほうがよいと思う。

※投資をする際は、あくまで個人の責任で行うようお願いします。


まとめ2 インフレは年1%以内しか起きないと考えるなら保険で貯蓄も有効かと

さっき見てきたように年1%のインフレに対してだったら、学資保険や終身保険はギリギリプラス運用をキープできていたよね?
じゃあインフレが起きたとしても1%以内と考える人なら、保険で貯蓄もアリなのかな?
これは人それぞれ価値観が違うので一概には言えない。
「ギリギリプラスにしかならないのでは価値がない」
と考える方であれば、株式投資などを検討したほうがいいのではと思う。

ただ1%のインフレが継続した場合でも、銀行の積立定期預金などではかなりのマイナス運用になってしまう。
その点、保険は、マイナス運用にならないだけでも十分すごいほうだと思う。それでいて株式投資などと比較すると遥かに低リスクだしね。
なので個人的には、
確実に確保したい学資金や老後資金を貯蓄するには保険は有効
だと思う。
なるほど。
ただ、1%以内のインフレしか起きないと考える方であっても、加入するのであればなるべくインフレに強い保険を選んでおいたほうがよいと思う。
インフレに強い保険、弱い保険については次のページで見ていくよ。