チューリッヒ生命 就業不能保険「くらすプラス」 評価

記事更新日:2017.11.19

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所得補償保険(就業不能保険)とは?


どんな保険か?

「くらすプラス」
は、2016年9月に発売された新商品です。公式サイトでは


ストレス性疾病による入院などで働けなくなったときの経済的負担に備えられる就業不能保険


だとあります。
しかしこの商品は「就業不能保険」を名乗ってはいますが、他社の就業不能保険とはだいぶ趣きが異なります。
以下の参考プランをもとに詳しく見ていきます。


参考プラン
契約者・被保険者 30歳男性のAさん
保険料払込期間 65歳払済(35年間)
主契約(終身医療保険)の保険期間 終身
特約(就業不能保険)の保険期間 65歳満了
月払保険料 2,200円
保険料総額 約92万円
入院給付金(日額) 5,000円
就業不能年金(月額) 10万円
年金支払期間 3年


主契約の入院給付金について

この保険は正式名称が無解約払戻金型終身医療保険となっているとおり、主契約は終身医療保険で、就業不能保険は特約です。

終身医療保険部分の保障内容は入院給付金のみです。
手術や通院では給付されません。
また現在発売中の医療保険は入院1日目から給付というものがほとんどですが、この保険は入院給付金免責日数60日特約という特約
(強制的に付加される特約のため外すことは不可)
があるため、60日以内の入院では1円も給付されません。
61日目以降は1日あたり5,000円が給付されます。しかし1入院の給付日数は120日までという制限があるため、180日入院しようが360日入院しようが1回の入院で受け取れるのは最大で120日分です。

最初の60日間は免責で、それを超えても120日分しか受け取れないとなると、この医療保険部分にはあまり保険料がかかっていないと思います。
医療保険が主契約にはなっていますが、こちらはあくまでオマケのような感じで特約の就業不能保険がメインなのでしょう。

なぜ医療保険を主契約にしなければいけなかったのか、ちょっとわかりかねます・・・。


特約の就業不能年金について

就業不能保障特約は、要件に該当した場合、契約時に設定した年金支払期間
(今回のAさんは3年間=36ヵ月)
就業不能年金
(今回のAさんは月額10万円)
を受け取れるという特約です。

月額10万円を36ヵ月ですので年金総額は360万円です。
しかもこの年金は確定年金ですので、一度受け取り始めたら36ヵ月分は受け取れることが確定します。途中で就業できる状態に回復したり亡くなってしまった場合でも、360万円を受け取れるということです。
(本人が亡くなってしまっている場合は遺族が受け取れる)

ただし確定年金の受取は特約の保険期間中で1回のみとのことでした。
ですので例えばですが、40歳で要件に該当して43歳まで確定年金を受け取った後、また50歳で要件に該当して53歳まで確定年金を受け取り・・・
というのは不可とのことでした。
(コールセンターに確認済)

それでも今回のAさんの場合、保険料総額は約92万円でしたから、要件に該当して360万円分の就業不能保険年金を受け取れるのであれば、

「少ない掛金で要件に該当してしまった場合は大きな給付を受けられる」

を満たすことになりますので、保険として十分価値があると思います。


では肝心の要件はどんなものか?


就業不能年金の給付要件(以下のいずれかに該当すれば給付)
①5疾病(悪性新生物、急性心筋梗塞、脳卒中、肝硬変、慢性腎不全)
を原因として
就業不能状態(入院または在宅療養状態)
が60 日をこえて継続したとき

②病気またはケガにより所定の高度障害状態となったとき

③ケガにより所定の身体障害状態となったとき

④所定のストレス性疾病による入院が60日をこえて継続したとき


ポイントは④。
ストレス性疾病は、公式サイトには以下が挙げられています。


気分[感情]障害/統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害/神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害/摂食障害/非器質性睡眠障害/胃潰瘍/十二指腸潰瘍/潰瘍性大腸炎/過敏性腸症候群/更年期障害


これらの多くは、いわゆる“精神病”と呼ばれる疾病です。
他社の大半の就業不能保険は精神病は給付対象外ですので、精神病でも給付対象というのがこの保険の一番の特徴だと思います。

ストレス性の精神病は本当に身近な病気です。私の周りでも何人もいました。しかも怖いのは、メンタルが強いと思っていた友人でもなってしまったことです。ですので本当に誰にでもなる可能性がある病気なんだと思い知らされました。恐らく今このサイトを読んでくれている方も、うつで病んでしまったり仕事を辞めてしまったりした知人がいる方が多いと思います。

もっとも入院まで至るケースは少ないのですが、入院まで至ってしまうということは相当な重度ということですので、入院期間も非常に長期になりやすいです。30代~60歳以下で見ると、入院平均日数は


気分障害(うつ病):46~94日
統合失調症等:93~334日


となっています。
ですので入院してしまった場合は、

「ストレス性疾病による入院が60日をこえて継続したとき」

という要件に該当してしまうケースが多いと思います。要件に該当した場合は確定年金を360万円分受け取ることになります。これだけ受け取れれば精神病からの社会復帰に数年間を要してしまった時には大きな助けになってくれそうです。


他社の就業不能保険との違い

他社の就業不能保険(長期の所得補償保険)との違いは大きく2点あります。

1点目は既述の通り、ストレス性の精神疾患も給付対象となっていること。
そしてもう1点は、年金の給付期間が短いということです。

例えばライフネット生命の働く人への保険2は、要件に該当したら就業不能状態から回復しない限りは、保険期間満期まで毎月給付金を受け取り続けることが可能です。
仮に
「給付金月額10万円、保険期間65歳満了」
というプランで加入していた方が40歳で要件に該当したら、65歳まで毎月10万円を受け取り続けることになり、給付金総額は3,000万円にもなります。

しかしこのチューリッヒの保険の就業不能年金は、あらかじめ設定した年金支払期間
(今回の例では3年間=360ヶ月分=360万円)
しか受け取れません。

ケガで半身不随になってしまった場合などだと残念ながら完治の見込みがないため、あらかじめ設定した年金支払期間しか受け取れないチューリッヒよりも、定年退職時期まで受け取れるライフネット生命のような保険のほうがありがたいはずです。

つまりこの保険は精神疾患には強くなっていますが、その他の疾病やケガに対する保障は弱いということです。
同じチューリッヒ生命の収入保障保険プレミアムに付加できる就業不能保障特約は、不慮の事故などで就業不能状態になってしまった時は保険期間満期まで給付金を受け取れるようになっているのに、なぜこの保険はそうしなかったのかよくわかりません・・・。


くらすプラス 他社の一般的な
就業不能保険
(長期の所得補償保険)
精神疾患で
入院をした場合

入院が60日超となれば
あらかじめ設定していた年金支払期間
(2年 or 3年 or 5年 or 10年)
年金を受給可能※

給付対象外の
保険が多い
ケガで半身不随と
なってしまった場合

あらかじめ設定していた年金支払期間
(2年 or 3年 or 5年 or 10年)
年金を受給可能※

保険期間満期まで
(65歳満期の場合は65歳まで)
年金を受給可能
評すると・・・ 一般的な就業不能保険と比べると
精神病には強いですが
その他の疾病やケガには弱いかと

※2年は45歳以上で契約する時のみ選択可能


まとめ

とても評価の難しい保険です。
現状では就業不能保険というより、
精神病で長期入院をしてしまった時の専用保険
になってしまっていると思います。
精神病で社会復帰までに長期間を要してしまうケースをどうしても心配されるのであれば有力な保険だとは思いますが、多くの人に気軽におすすめできるような保険ではありません。
そのため評価はにしました。


◆参考リンク

就業不能保険に加入するなら
(この保険を取り上げていますのでよかったら参照してみてください)