母子家庭の保険の選び方 おすすめプランと解説
記事作成日:2019.11.1
前提 日本の母子家庭への支援は先進国最低レベル
このページでは母子家庭の保険の選び方を見ていきたい。それにあたり、まずは母子家庭が受けられる支援について確認しておきたい。 ※このページでは、母子家庭の方を暗くさせてしまいかねない会話を記載しています。もし落ち込ませてしまったら本当に申し訳ありません。 |
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ういす。 | |
母子家庭といっても環境は人それぞれ異なると思うけど、このページでは以下の状況だとして詳しく見ていきたい。 ・母子家庭になる前は、主に夫の収入で家計を維持していた。 ・子供はまだ幼い。 ・離婚により母子家庭となったが、慰謝料や養育費はほとんど受け取れず、親族からの援助もほとんどない。 or 夫と死別し母子家庭となったが、夫があまり生命保険に加入していなかった上、親族からの援助もほとんどない。 |
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うーん、子供からしたら、お父さんがいないんだったらお母さんにはなるべく家にいてほしいと思うよね。 | |
そうだよね。私がもしこの母親の立場だったら、できるだけ仕事量は少なくして子供と一緒にいてあげようとすると思う。けれどこの状況だったら収入も得ないといけない。この葛藤は・・・、想像するだけで大変なんて言葉では済まないと思う。 なのでできる限り支援がほしいところだけど、タイトルで書いたとおり、残念ながら日本の母子家庭への支援は最低レベルなんだ。 |
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そうなんだ・・・。具体的にどんな支援があるの? | |
主なものだとこんなところかな。 |
児童扶養手当(母子手当) |
子2人の場合、最高で月額約53,000円 (その年によって多少異なる) を受け取れる。 ※ただし下記の遺族年金を受け取っている場合は減額or支給停止。 |
遺族年金 |
子2人の場合、遺族基礎年金は月額約10万円。 夫が会社員公務員だった場合は上記に加え遺族厚生年金も受給可。受給額は夫のそれまでの年収等によって変わってくるが、一般的には月額約5万円。 |
医療費助成 |
病院の窓口で払う自己負担額は一般的に3割だが、これが助成金によって減額される。 例:埼玉県の場合、通院時の自己負担額は一機関あたり月額1,000円まで、入院時は月額1,200円までに抑えられる。 ※地域によって異なるため、詳しくは検索サイトで 「住んでいる自治体名 母子家庭 医療費助成」 で検索をお願いします。 |
国民年金保険料や国民健康保険税(国民健康保険料)の免除 |
国民年金保険料は最高で全額免除。国民健康保険税は2~7割程度減額。 |
水道代免除や減額 |
地域によって減額幅は異なります。 |
こうやってみると、けっこう支援があるように見えるけど・・・。 | |
いやいや、これだけでは全然不十分だと思う。 仮に離婚したケースだと、遺族年金は受け取れないので、受け取れるのは児童扶養手当だけ。その他にも就学支援金や自治体独自の補助金があったりするけど、額はせいぜい月額1~2万円程度なので、とてもではないけど生活費をカバーできるような額ではないと思う。 そして何よりの欠点が国民年金保険料の免除だと個人的には思う。保険料を払わなくてよくなるのはメリットのように思うかもしれないけど、残念ながらそうとも言えない。なぜなら免除を受けてしまうと、65歳になってから受け取れるようになる年金 (老齢基礎年金) が減額されてしまうからなんだ。 例えば仮に30歳で離婚し、それ以降は保険料全額免除だった場合、月額約41,000円しか受け取れない。 |
65歳から老齢基礎年金を月額いくら受け取れるか?
20~60歳までの40年間、保険料を全額支払った場合。 |
満額(月額約65,000円)受け取れる。 |
20~60歳までの40年間、保険料全額免除だった場合。 |
満額のちょうど半分(月額約32,500円)しか受け取れない。 |
20~30歳までは保険料を全額支払っていたが、30歳で離婚し、それ以降は保険料全額免除だった場合。 |
減額された額(月額約41,000円)しか受け取れない。 |
月額41,000円!?それだけじゃ老後の生活費としては不十分だよね? | |
そうだね。死別したケースだと遺族厚生年金(月額約5万円)を一生涯受け取れるけど、それを足しても65歳以降の収入は月額約91,000円。老後の月収はこちらのコーナーのとおり、単身者の場合で月額14万円くらいはあるのが望ましいので、いずれにしても不足してしまう。なので自主的に老後のための貯蓄をしていかなければならない。 | |
老後のための貯蓄って・・・。子育てだけでいっぱいいっぱいな状況で更に老後のための貯蓄なんてできるわけないよね。 | |
そうだよね。 なので、子育て中は生活が厳しく、老後の生活まで厳しいという、母子家庭が二重苦になってしまいやすいのが、残念ながら日本という国なんだ。 しかも老後の貯蓄のために有効な手段である iDeCo(個人型確定拠出年金) や 国民年金基金 は、どちらも国民年金保険料を免除されている方は加入できなくなっているんだ。 |
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なんかもう最低だね。 「国民年金保険料は免除でいいですよ~」 って言っておきながら、iDeCoで老後のための貯蓄をするなら国民年金保険料も払えってことか・・・。 |
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そうだね。 なので実際のところはそんな老後の貯蓄はできず、やむをえず老後は生活保護を受給することになってしまう方が多いんだ。 そもそも老齢基礎年金は満額でも月額約65,000円っていうのが少額すぎるんだよね。これを生活保護 (月額12万円程度) と同等の額にした上で、保険料の支払いを免除になった方でもこの額を受け取れるようにしないと。 |
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ああそっか、生活保護があるのか。 ん? 母子家庭は生活保護を受給できないの? |
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もちろん受給できるケースもあるけど、生活保護はあくまで最終手段であり、若くて健康問題なども特になければ簡単には受給が認められない。特に持ち家などの資産がある方だとね。 なのでこのページでは、生活保護は申請したけれど受給が認められなかったとして、以降も話を進めていきます。 |
保険は必要性が低いし、もっと優先すべきことがあると思います。
ということで、ここまで見たきたことを踏まえた上で、母子家庭はどんな保険に加入するとよいか? 母子家庭のお母さんは、 「私がもしも亡くなってしまったり、病気になってしまったらどうしよう。」 という心配が特に強いと思います。 けれど個人的には、保険の必要性は低いし、保険に加入するくらいだったら、もっと他のことにお金を使ってほしいと思います。 |
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えーと、医療費助成によって通院費や入院費は月額1,000円程度までしかかからないんだから、医療保険は必要なさそうだよね? | |
そうだね。 入院してしまったり、体を壊してそれまでのように働けなくなってしまった場合は、健康体だったときとは異なり生活保護を一般的に受け取れるようになる。生活保護の受給額は地域や子の人数によって異なるけど、老齢基礎年金と違って十分に生活できる額だ。なので医療保険や就業不能保険は必要性が低いと思う。 また、亡くなってしまった時に大金を受け取れる保険 (収入保障保険や定期保険) も必要性が低いと思う。 考えたくはないことだと思うけれど、もしも亡くなってしまったら、残された子は孤児として保護されるから・・・。 (お金を残してあげたいとは思いますが・・・) |
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なるほど。学資保険は? | |
そうだね。 繰り返しになるけど日本は母子家庭への支援が不足しているために、母子家庭の大学進学率は、そうでない家庭の半分程度しかないそうなんだ。母子家庭向けに入学金などを優遇している学校も増えてはいるけど、まだまだ多くはないしね。 なのでもしも私が母子家庭の母親だったら、保険なんかより、子供の将来の学費貯蓄に優先的に余裕資金を充てると思う。 ただ学資保険は資産運用力が低すぎて、もはや学資金貯蓄手段としてはあまり有効ではないので、NISAのほうがおすすめです。 |
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なるほど。じゃあ保険は学資金貯蓄を優先した上で更に余裕があればということかな? | |
いや、国の支援が少ないせいで、国民年金保険料の免除を受けたら老後も困窮してしまうのが規定路線になってしまっている。 国がこれを改定してくれるのがもちろん1番だけど、それがすぐには期待はできない以上、既定路線から脱出するためには国民年金保険料の免除を受けずに保険料を全額払った上で、更に自主的な老後のための貯蓄もしていかなければいけない。 これは本当に大変だと思う。 なので保険の優先順位は、個人的には下の表のとおり。 |
第一優先 |
日々の生活費 |
第ニ優先 |
子供の将来の学資金のための貯金 |
第三優先 |
老後のための貯金 |
第四優先 |
保険 |
なるほど。なんかほんとにもっと国が支援してあげてほしいな・・・。 | |
そうだね。 |
保険に加入するなら、がん保険を第一に検討することを推奨します。
上記を踏まえた上でもしも保険に加入するのであれば、個人的にはがん保険をまずはおすすめしたい。なぜなら、医療費助成によって1ヵ月あたりの医療費が1,000円などに抑えられるのは、あくまで健康保険対象の治療を受けたときのみ。 けれどがんの治療の場合は、先進医療や自由診療 (厚生労働省未承認の抗がん剤を使用した治療) など、健康保険や医療費助成が効かない治療を受けるケースが他の病気と比べて多い。そしてこれらの治療を受けたときは自己負担額が高額になってしまう。 よってこのような場合に備えて、がん保険に加入しておくと安心だと思う。おすすめのがん保険は がん保険の選び方の結論と推奨プラン を参考にしてもらえればと。 |
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なるほど。 | |
あとはやっぱり、必要性は低いとはわかっていても、もしも私が母子家庭の母親だったら、自分がもしも亡くなってしまったときには子供達に大金を残してあげたいと思うと思う。 言葉が不適切かもしれないけど、形見というか置き土産というか・・・。 孤児となってしまった子供のために残せるものといったら、それくらいしかないかもしれないから・・・。 |
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・・・。 | |
なのでその目的であれば、収入保障保険や定期保険がおすすめです。 女性は男性と比べて保険料が安い。例えば30歳くらいの女性が FWD富士生命の収入保障保険 に加入する場合であれば、月払保険料1,500円以下(※)で、もしも亡くなってしまったときには自分が60歳になったであろう年まで、子供が毎月10万円を受け取り続けることができるようになる。個人的にはこれくらいのプランで十分だと思う。 ※非喫煙者割引適用時 |
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なるほど。 | |
このページはここまで。 男性の私が書いた記事なんかあまり参考にならなかったら申し訳ありません。 ここまで読んでくれてありがとうございました。 |