投資信託とは?基本用語と手数料
記事作成日:2019.5.19
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投資信託とは? メリットは分散投資ができること。
ではいよいよiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAの本命である 投資信託(ファンド) について見ていくよ。 ショウ君、投資信託というとどういうイメージ? |
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うーんこれも怖いっていうイメージが強いなあ。 | |
そうだね、私も以前はそうだった。実際、投資信託は何千という商品があるけど、優良ファンドは極わずかでほとんどは欠陥ファンドだと思う。手数料がやたらに高いボッタクリのようなものも多い。 | |
うーん、そのわずかな優良ファンドを見極める方法なんてあるのかな? | |
ああ、それを踏まえてみていくよ。 投資信託は早い話が、これまで見てきた債券や株式のセット売り。下のフルーツ盛り合わせのような感じで、たくさんの債券や株式が盛り合わせになっている。これが投資信託なんだ。 |
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なるほど。セットになっていると何かメリットがあるのかな? | |
ああ。債券や株式の弱点というか問題点ってなんだったっけ? | |
債券は、発行体が破綻してデフォルトしてしまうと利子や額面金額を予定通り受け取れなくなってしまう可能性がある。 株式は、その会社の経営が好調なら株価が何十倍にもなる可能性がある一方、経営が傾くと何十分の一とかまで暴落する可能性もあるという、あまりにもハイリスクハイリターンなことが問題だったよね? |
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そうだね。投資信託は 分散投資によってそれらの弱点を緩和できるのが1番のメリット なんだ。 例えば100社の株式がセットになった株式投資信託なら、そのうちの1社2社の経営が傾いて株価が暴落してしまっても、全体で見ればそこまで影響ない。 |
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なるほど。 けど逆に、そのうちの1社2社が急成長して株価が高騰したとしても、全体で見ればあまり上がらなくなるよね? |
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ああ、まさにそうだね。 なので投資信託は、個別の債券や株式と比べると ローリスク・ローリターン なわけだ。 |
株式投資信託 | 株式 | |
どんな商品か? | たくさんの会社の株式がセットになった商品 | 1つの会社の株 |
値動きは? | 小さい 変動してもせいぜい10年で2倍程度 |
大きい 10年で10倍の変動もザラ |
リスクとリターン | ローリスク・ローリターン | ハイリスク・ハイリターン |
なるほどね。けどそれならさ、自分でたくさんの会社の株式を買えばいいんじゃないの? | |
いや、個人が買える上場株式って高額なものが多いんだよ。 例えばソニーなら1株・・・ ファーストリテイリング(ユニクロ)なら 原則として売買する時は最低100株単位 (この最低単位のことを単元株数といいます) だから、この100倍かかるわけだ。 |
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ぐはっ。 じゃユニクロなんか600万円以上かかるわけか。それじゃ100社に分散投資なんて無理だね。投資信託は最低いくらから買えるの? |
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商品にもよるけど100円から買えるものもある。 なので例えば、100社の株式がセットになったホニャララファンドっていう投資信託を毎日100円分ずつ積立購入する・・・ なんてことも可能なんだ。 |
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なるほど、それはすごいね。 |
基準価額、口数、純資産総額
投資信託は専門用語が多いけど、用語だけ解説すると話が固くなるので、とりあえずこの先に進むにあたって下記3つだけ今は押さえておきたい。 ・基準価額 ・口数 ・純資産総額 |
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ういす。 | |
株なら1株2株、ラーメンなら1杯2杯、お寿司なら1貫2貫と単位があるように、投資信託も単位がある。それが口だ。 | |
じゃあ、 「○○ファンドを50口買う」 というような言い方になるんだね? |
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まあそうだね。でも投資信託は購入額を指定できるので 「○○ファンドを5,000円分買う」 という言い回しのほうがよくされるかな。 で、基準価額は10,000口分の値段のこと。なので 1口=1円なら基準価額=10,000円 1口=1.5円なら基準価額=15,000円 となる。 純資産総額は基準価額×総口数。 基準価額が上昇したり、購入された口数が増えるに連れて、純資産総額も上昇していくわけだ。 |
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なるほど。ん? 1口の値段や基準価額って変動するの? |
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ああ。株価が変動するのと同じように変動する。 ただ上場株式のようにリアルタイムで変動し続けているわけではなく、投資信託運用会社が毎営業日ごとに1回公表している。 一般的にはどのファンドも発売開始時点では 1口=1円 基準価額=10,000円 となっており、それがその後の運用成果によって増えたり減ったりしていくわけだ。よって発売から年数が浅いファンドの基準価額は10,000円に近いことが多い。 ※2年前(2017年)に発売されたeMAXIS Slim国内債券インデックス。基準価額はまだ10,235円。純資産総額も4,059百万円とまだ少ない。 |
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なるほど。じゃあ 1口=1円 の時に例えば10万口買って、 1口=2円 になったタイミングで10万口を売れば10万円利益が出るってことだね。 |
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そうだね。その利益が株式のページでも出てきた 値上がり益(キャピタルゲイン) というわけだ。 |
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じゃあ、もしかして配当金(インカムゲイン)もあるのかな? | |
それについては次で。 |
分配金は出さないファンドを推奨
株式の配当金と同じように、投資信託も決算のタイミングで投資家にお金を配布する商品がある。このお金を分配金というんだ。 ただ個人的には、 分配金は出さないファンドを強くおすすめしたい。 私がつみたてNISAで毎月購入している eMAXIS Slim新興国株式インデックス も、このとおり分配金は出さないタイプだ。 |
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なんで? | |
ひとことで言ってしまえば、分配金を出さないファンドのほうが 運用成績が良いから。 投資信託は債券や株式の盛り合わせなので、株式が組み込まれた投資信託の場合、その株式から定期的に配当が出てしまっている。その配当を受け取った投資信託運用会社は、主に下記①か②を行うんだ。 ①分配金として投資家に配布する ②配当で株式や債券を追加購入し運用する お金をなるべく増やすには②のように、利益を再投資して複利で運用するのが鉄則。雪だるま式なんてよく言われるけど、まさにその通りで、分配金を出さないファンドは雪の上で雪だるまをひたすら転がしていくイメージだ。 |
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大きい雪だるまのほうが新しい雪がたくさん付着するから、更に大きくなりやすいということだね。 | |
そうだね。 一方、分配金を出してしまうファンドは、雪だるまの一部をその度に削って小さくしてしまっているようなもの。なのでその分、最終的な運用成績も悪くなってしまうわけだ。 現金が必要になったら必要な額だけ投資信託を一部解約して換金すればいいので、ぜひ分配金は出さないタイプをおすすめしたい。 |
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なるほどね。 | |
ファンドの中には毎月決算して毎月分配金を出すものもあるけど、これは特におすすめできない。 | |
毎月削ってたら雪だるまが全然大きくならないからかな? | |
大きくならないどころか小さくなってしまうものも多い。 本来、分配金は雪だるまを転がしたことで新たに付着した雪 (つまり利益) から捻出するものなんだけど、このタイプのファンドは新たに付着した雪がなくても無理やり本体を削って分配金(※)を出してしまうものも多いんだ。 ※これを特別分配金(元本払戻金)といいます。 |
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なんと・・・。 それはもう雪だるまというより、顔の一部をあげたアンパンマン状態だね。 |
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・・・そうだね。 |
投資信託の手数料
投資信託は、購入時、運用中、売却時にそれぞれ手数料がかかる。けれど近年は、購入時と売却時の手数料は0円のものが増えている。例えば私がiDeCoで積立購入している ニッセイ外国株式インデックスファンド も・・・ ※モーニングスター社のページより |
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おお、購入時も解約時(売却時)も手数料なしだね。 ん?信託財産留保額ってのは? |
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それも手数料と考えてしまって大丈夫。投資信託運用会社に渡ってしまうものではないので厳密には手数料ではないんだけど、自分の資産から引かれてしまうものなので投資家からすれば手数料と変わらない。 | |
なるほど。じゃあ上の図のように0(無し)のほうがいいんだね。 | |
そうだね。 あまり投資信託に詳しくない方は、銀行などで投資信託を勧められた場合、まずはこの購入時と売却時の手数料をチェック。そしてこれらが無料でない商品はとりあえず避けたほうがよいと思う。無料でない商品が全て不良品というわけではもちろんないけど、不良品の可能性は相対的にやっぱり高いからね。 なお、購入時の手数料が無料の商品をノーロードというんだ。 で、残るのが運用中の手数料。 運用中の手数料はいくつかあるけど、1番比率が高くて重要なのが信託報酬。投資信託は投資家の代わりに投資信託委託会社などのプロが運用を代行してくれる商品。信託報酬は言わばその代行してくれることへの報酬というか、代行手数料だね。 例えばさっきの ニッセイ外国株式インデックスファンド の信託報酬はというと・・・ |
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えーと、0.12%だね。 | |
そうだね。 これは、1年間にかかる信託報酬は運用中の資産の0.12%の額ですよってこと。実際には1年に1度まとめて取られるのではなく、日割り計算した額が毎営業日に差し引かれる。 信託報酬は成功報酬ではなく代行手数料なので、運用成績がプラスになっていようがマイナスになっていようが差し引かれるんだ。 |
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運用がマイナスになっていてもかかるわけか・・・。 なんかやっぱり胴元は有利なんだなと思うなあ。 |
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まあね。大金を運用するんだからラクな仕事ではないと思うけど・・・。 で、信託報酬はパーセンテージが予め決められているけど、信託報酬以外の運用中の手数料は実際にいくらかかるか前もってわからないものが多い。なので実際にいくらかかったかを確認するには、投資信託運用会社が決算後に公表する運用レポートを見る必要がある。 例えばある商品のある年の運用レポートが下の図だった場合。 信託報酬は約0.18%。 信託報酬以外の運用中の手数料 (売買委託手数料、有価証券取引税、その他費用) が3つで約0.09%。 これを合計した約0.27%が、その年の運用中の手数料だったということになる。これを実質コストというんだ。 |
◆運用中の手数料
信託報酬① | 約0.18% |
信託報酬以外の運用中の手数料② | 約0.09% |
実質コスト ①+② | 約0.27% |
信託報酬以外の運用中の手数料は、さっき出てきた純資産総額が大きいファンドほど一般的に安くなりやすい。理由は、カレーを5人前作るよりも10人前作る方が、1人前あたりのコストが割安になるのと同じと考えてもらえばいいかな。 けどそこまで大きな違いにはならないので、個人的には実質コストはあまり気にせず信託報酬だけ注視すればよいと思う。 |
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なるほど。 | |
それでは次のページでは インデックスファンドとは?10年以上の長期運用なら米国株中心のインデックスファンド について見ていくよ。 |