三井生命 「ドリームロード・ドリームロードステップ」 評価

記事作成日:2017.4.4


評価 パンフレット 契約のしおり・約款 その他
ドリームロード
ドリームロードステップ
2017年4月版(PDF) 公式サイト(ドリームロード)
公式サイト(ドリームロードステップ)
最新の予定利率(公式サイト内)
2015年10月新発売告知(PDF)


評価コメント

ドリームロード
及び
ドリームロードステップ
は、2015年10月に発売開始された保険です。

正式名称は
無配当一時払外貨建生存給付金付特殊養老保険
だそうです。
もう難しすぎ長すぎでよくわからない名前ですね。
「代打逆転サヨナラ満塁ホームラン」
のような感じです(^^;)

ただこの保険、日本円の金利が近年あまりにも低下していることから、来店型保険ショップなどでかなり人気があるようです。
ということで詳しく見ていきたいと思いますが、あらかじめこれだけは記載しておきます。


正直なところとても難しい保険です。
為替手数料、TTM、TTS、TTB、リフティングチャージ、円安、円高などの用語の意味を理解できていない方は、避けた方がよいと思います。

また個人的には学資保険の代用としての加入も推奨できません
後述しますが、満期保険金を受け取る時に円高になっている場合は、ドルで受け取って円安になってから円に交換するのが有効です。しかし大学入学費用や在学中の学費は支払期限があるため、
「円安になるのを待つ」
ということができないと思うからです。

円高にある程度なってもプラスになるくらい運用利率が高ければいいのですが、この保険の運用利率は計算するとせいぜい1.5~2.2%程度しかないため、満期時の為替が契約時より15~20円くらい円高になると元本割れする可能性が高くなります。それくらいの円高はごく普通にあり得ます。

この保険が向いているのは、高額な余裕資金や退職金があり、かつ円安になるのを待てる方に限られると思います。あるいはアメリカやオーストラリアによく旅行に行くため、ドルのままで使う方も向いていると思います。

それらを踏まえた上で、この先は読んで頂けたらと思います。


無配当一時払外貨建生存給付金付特殊養老保険を細かく分けると

無配当一時払外貨建生存給付金付特殊養老保険
ではわかりづらいので、まずはこれを細かく分けてみます。
すると
無配当/一時払/外貨建/生存給付金付/特殊養老保険
になります。


無配当(むはいとう)

配当がないことがわかります。


一時払(いちじばらい)

保険料を契約時に一括で払いきってしまう保険だということがわかります。


外貨建(がいかだて)

加入者から受け取った保険料を保険会社が運用する際、日本円ではなく外貨で運用する保険だということがわかります。


生存給付金付(せいぞんきゅうふきんつき)

保険金や満期金とは別に、保険期間中に生存給付金という給付金を受け取れる保険だということがわかります。


特殊養老保険(とくしゅようろうほけん)

養老保険は保険期間満期を迎えると満期保険金を、満期を迎える前にもしも亡くなってしまった場合は死亡保険金を受け取れる保険です。例えば保険期間が10年の養老保険であれば、10年後の満期を迎えると満期保険金を、その前にもしも亡くなってしまった場合は死亡保険金を受け取れます。
「特殊」という言葉はここでは置いておいて、この保険は根本的には養老保険であるということだけ頭に入れておけばまずはよいと思います。



それではこれらを踏まえた上でモデルプランを見てみます。


モデルプラン

2015年10月新発売告知(PDF)
に下記のモデルプランが掲載されています。


◆モデルプラン(ドリームロードステップ)

契約者:60歳男性 ここでは田中さんとします
保険料円換算額:1,000万円
一時払保険料:10万ドル
保険期間:10年
指定通貨:豪ドル(オーストラリアドル)
予定利率:2.85%
基本保険金額:10万ドル
生存給付金:951ドル
円換算レート(払込用)=TTS:1ドル=100円



60歳の男性が1,000万円もの大金を契約時に払う保険です。
完全に定年退職者の退職金をターゲットにした保険だということです。


「退職金を運用して増やしませんか?」

「低金利な円ではなく、高金利なオーストラリアドルを利用した良い保険があるんですよ」


という勧誘の声が今にも聞こえてきそうです。
では田中さんはその声に乗って契約してみることにしました。


契約時は1,000万円を円で払います。
ドルを持っている人もいるかもしれませんが、この保険は円でしか保険料を払うことができません。

1,000万円を払うと、それを保険会社がその日のTTSでドルに交換します。モデルプランのTTSは
「1ドル=100円」
となっているため、田中さんが払う一時払保険料は
「1,000万円 = 10万ドル
ということになります。


ちなみにTTSは何をもって決められているのか?
これは公式サイト上に
「当社が指定する取引銀行のTTM+0.25円」
と記載があります。
「当社が指定する取引銀行」というのが具体的にどこの銀行かは不明ですが、モデルプランでは
「円換算レート(払込用):1ドル=100円
となっていたことから、この田中さんが契約した時のTTMは99.75円だということがわかります。
(これが超重要です)


田中さんが契約時の為替レート
TTS
円換算レート(払込用)
TTM TTB
円換算レート(支払用)
100 99.75 99.50


さて田中さんは契約から1年後、生存給付金951ドルを受け取ります。
2年後以降も生存給付金は毎年受け取ります。
そして契約から10年後、満期を迎えて満期保険金を受け取ります。
この保険の満期保険金は以下のように決められています。


◆ドリームロード

一時払保険料と同額


◆ドリームロードステップ

契約時に69歳以下だった場合
⇒ 一時払保険料×(100+10%)

契約時に70歳以上だった場合
⇒ 一時払保険料×(100+7%)


今回の田中さんはドリームロードステップで契約時60歳なので、

満期保険金
=一時払保険料×(100+10%)
=10万ドル×110%
11万ドル

となります。
よって田中さんの受給額は下の表のとおり合計で118,559ドルとなります。


田中さんが受け取れるお金
時系列 受給額
1年後 生存給付金951ドル
2年後 生存給付金951ドル
3~9年後
10年後 満期保険金11万ドル
合計 118,559ドル


受給時は、そのままドルで受け取る(指定通貨受取)
か、
円に交換してもらって円で受け取る(円換算支払特約)
かを選ぶことができます。



ドルで受け取る場合

自分でドル口座を作って、その口座に送金してもらいます。
その際には手数料(リフティングチャージなど)がかかりますが、為替手数料と比較すれば気にしなくてよいくらいの少額だと思います。
ドルを円にしたい場合はその後に自分で行うことになります。

受給時に極端に円高になっている場合はドル受取が有利です。
一度ドルで受け取っておき、円安になってから自分で円に交換したほうがよいですので。



円に交換してもらって円で受け取る場合

円に交換してもらう際に、1ドルあたり0.25円の為替手数料がかかります。
ですので、仮に生存給付金や満期金を受け取る時のTTMが契約時と同じ99.75円だったとしたら、TTBは99.50円となるため、以下のようになります。

生存給付金951ドルを円に交換すると
⇒ 951ドル×TTB(99.50円)≒94,625円

満期保険金11万ドルを円に交換すると
⇒ 11万ドル×TTB(99.50円)=10,945,000円

受給額合計118,559ドルを円に交換すると
⇒ 118,559ドル×TTB(99.50円)=11,796,621円


契約時の支払額が10,000,000円
受給額合計が11,796,621円ですので、整理すると以下となります。



支払額 受給額合計 利益(イーア) 返戻率(イ/ア) 運用利率(金利)
10,000,000円 11,796,621円 1,796,621円 117.9% 1.72%

※運用利率は管理人が独自に計算


60歳時に1,000万円払ってしまえば、10年で利益が約180万円も出る。
毎年10万円近い生存給付金を受け取れるので、それで旅行やレジャーにも行ける。
「いい保険だなこれは!」
と思う方も多そうです。

為替リスク
(円高になると損をしてしまう危険性)
はありますが、既述のとおり受給時に円高になっている場合はドルで受け取って円安になるのを待てばよいですから、ある程度そのリスクにも目を瞑れると思います。
ちなみに今回のモデルプランの場合、契約時と比較して生存給付金や満期金を受け取る際の為替が円高(円安)になっている場合は、以下のようになります。
10円円高ならまだプラスですが、20円円高になると元本割れ(損)しています。


契約時と比較して受給時が 支払額 受給額合計 返戻率
20円円高 10,000,000円 9,425,441円 94.3%
10円円高 10,611,031円 106.1%
±0 11,796,621円 117.9%
10円円安 12,982,211円 129.8%
20円円安 14,167,801円 141.7%


モデルプランの評価

なんとも評価が難しい保険です。
運用利率(金利)1.72%(※1)という数字は、超低利率の円建ての貯蓄型の保険
一時払い終身保険や一時払い養老保険)
と比べればとても高い数字です。
ですが外貨預金と比べれば特別良い数字ではありません
例えば記事作成時点(2017年4月)の新生銀行の豪ドル外貨定期預金の金利は、税引き後で1.99%(※2)です。


※このモデルプランの予定利率は2.85%でしたが、最新の予定利率
(2017年4月1日のドリームロードステップ)
を見ると2.9%となっているため、運用利率も1.72%よりは高くなります。

※2 詳細は割愛しますが、今回のモデルプランの場合、生存給付金や満期保険金を受け取る際には税金はかかってもわずかです。


外貨預金と比較すると、以下のとおりメリットデメリットがあります。


◆外貨預金との比較
この保険 外貨預金
セーフティネット
(破綻時の補償)
あり
三井生命が破綻しても
生命保険契約者保護機構により
大部分が補償。詳細はこちら
なし
銀行が破綻したら1ドルも
戻ってこない可能性あり
数年以内に
早期解約した場合

元本割れの可能性大
元本を下回る解約返戻金しか
受け取れない可能性が高い

最低でも元本返し(利息破棄)
となるので元本割れはしない※

※ただし往復の為替手数料分だけは損します



こう見るとこの保険は、


・契約後、数年以内に解約する可能性はない
・外貨預金に興味はあるけど銀行の破綻の可能性が怖い


という方には向いているかもしれません・・・。
ただ個人的な好みなら外貨預金のほうが上です。保険のほうはいくらセーフティネット付というメリットがあるとはいえ、元本割れしやすいので気軽に解約できないというデメリットはあまりにも大きいと思いますので。


ドリームロードとドリームロードステップの違い

今回はドリームロードステップのモデルプランを見てきました。
姉妹品のドリームロードは、ドリームロードステップよりも
生存給付金額は大きく、満期保険金額は小さくなっているのが主な違いです。

毎年受け取れる生存給付金を大きくしたい方はドリームロード。
最後に受け取れる満期保険金を大きくしたい方はドリームロードステップ
といったところでしょうか。


まとめと管理人の見解

だいぶ長くなってしまったので一度このあたりでまとめます。

とにかく本当に難しい保険です。パンフレットを見ると、まだまだ細かいことがたくさん書いてありますが、正直すべて書いているとあまりにも長くなってしまうため、ここまでに留めました。

悪い保険ではないのは確かだと思います。
位置づけとしては
早期解約すると元本割れしやすいけど、銀行破綻には強い外貨定期預金
といったところでしょうか。
生存給付金だったり、解約返戻金が目標値に到達すると日本円の年金に移行できる特約などは、利便性が高く本当によく考えられていると思います。
そのため評価をとしました。


ただ個人的な好みでいえば、為替リスクがある外貨に手を出すなら、やっぱりもっと高利率であってほしいと思います。
しかも無配当のため、アメリカ国債やオーストラリア国債の金利が今後上昇し、それに伴って契約時の予定利率が上昇したとしても多額の配当を得ることができません。アメリカは今後金利を上昇させていくという話になっていますので、それを考慮するとこの保険は魅力が落ちます。
(このあたりはインフレと保険を読んでもらえればと思います)


契約する時はこれらのメリットデメリットを考慮し、本当に慎重に検討することを推奨します。