すい臓がん対策2 今できる予防・早期発見方法(MRCP検査、エラスターゼ1)

記事更新日:2017.3.6

すい臓がんの予防には禁煙と肥満解消が有効

喫煙者や肥満の方は下記のとおり、すい臓がんの発症率が上昇してしまうらしい。

喫煙者・・・非喫煙者の2~3倍
BMI30以上の肥満・・・BMI25以下の約1.8倍

※例えば身長170cmの場合、体重が72kgでBMIは24.9。体重87kgだとBMIは30.1。

なるほど。ということは、禁煙肥満解消が予防になるということだね。
そうだね。胃がん対策編のピロリ菌除菌や肝臓がん対策編の肝炎ウイルス治療ほど効果的ではないにしろ、確実に発症率は低下すると思う。次は早期発見方法について。


腫瘍マーカーCA19-9と腹部超音波検査

繰り返しになってしまうけど、すい臓がんは1期(2cm以下)でも5年生存率が40.3%しかない。なのでもっと早く見つける必要がある。
もっと早くってどれくらい?
1cm以下の小膵癌(しょうすいがん)で発見できてしまえば、5年生存率は約80%と良好らしい。
高知県がん診療連携病院のサイトより。
なので1cm以下で見つけるにはどうすればよいかを見ていきたい。
ういす。
まず健診や人間ドックでも広く行われているのが、腫瘍マーカーCA19-9腹部超音波検査だ。


腫瘍マーカーCA19-9

血液検査。血液に含まれるCA19-9という成分が基準値を超えると、すい臓がんや胆道ガンの可能性がある。


腹部超音波検査

画像診断。おなかに検査用のゼリーを塗り、体外から超音波を利用してすい臓や肝臓などを描出する検査。エコー検査とも呼ばれる。



けれど結論から言ってしまうと、これらでは1cm以下の早期発見は難しいんだ。


腫瘍マーカー
CA19-9
腹部超音波検査
健診や人間ドックの
オプション検査費用
とても安い
(2,000円程度)
安い
(3~5,000円程度)
普及度 健診や人間ドックで広く行われている
検査時に苦痛や侵襲性
(身体がダメージを受ける危険性)
があるか?
ほぼなし
(採血時の注射のみ)
なし(※1)
1cm以下のすい臓がんを
発見できるか?
とても難しい
(陽性率39%
とても難しい
(腫瘍描出率17~70% ※2)
2cm以下のすい臓がんを
発見できるか?
難しい
(陽性率52%
難しい
(腫瘍描出率52~63%

※1 くすぐったいので管理人は苦手です。どうでもいいか・・・。
※2 値に開きがありますが、恐らくサンプル数が少ないことが理由と思われます。平均値だと43.5%なので、発見できないケースのほうが残念ながら多いと思われます。


うーん、そしたらどうすればいいんだろう?
1cm以下の小膵癌の検出に1番有効なのは、超音波内視鏡検査らしい。これは先端に超音波撮影器具がついた内視鏡

を口からすい臓の近く(胃の奥にある十二指腸付近)まで挿入し、体内から超音波を利用してすい臓を撮影する検査だ。1cm以下の腫瘍描出率は87~100%と、体外からの腹部超音波検査と比較してとても高い値になっている。
なんだ、すごいのがあるんじゃん!
そうなんだけど、残念ながらこの検査は人間ドックではほぼ行われていないんだ。難しい検査なので検査できる医師がそもそもとても少ないんだと思う。なので現在は、自覚症状があったり人間ドックですい臓がんを疑われた場合に、精密検査として行われているにすぎないんだ。恐らく今後も、人間ドックで普及することはないと思う。
うーん。じゃあできるだけ定期的に腫瘍マーカーCA19-9腹部超音波検査を受けるしかないのかな?
いや、あと1つ、普及が進んできている検査がある。上腹部MRI&MRCP検査だ。


上腹部MRI検査とMRCP検査

上腹部MRI検査とMRCP検査は、どちらもMRI検査の一種だ。
MRI検査って?
こんなです↓
これは、うーん、未来的というかなんというか・・・。
そうだね。
MRIはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像診断)の略で、その名のとおり磁気の力で、トンネルの中に入った人の臓器や血管などを撮影する検査なんだ。
私も受けたことがあるけど、痛みは全くないし、CT検査やレントゲン検査のような被ばくもない。ただやたら「トンカントンカン」って音がしてうるさかったなあ。
へえ。じゃあ上腹部MRI検査は、上腹部をこのマシンで撮影する検査ってことかな?
そうだね。
具体的には肝臓、すい臓、胆嚢(たんのう)を中心に撮影し、異常がないかを確認するんだ。
なるほど。MRCP検査っていうのは?
MRCPはMagnetic Resonance Cholangio Pancreatographyaging
(磁気共鳴胆管膵管画像診断)の略だ。
上腹部MRIは臓器全体を撮影するのに対し、MRCPは液体を撮影する。
具体的には、すい臓から分泌され膵管(すいかん)を流れる膵液(すいえき)と、胆嚢から分泌され胆管を流れる胆汁(たんじゅう)を撮影するんだ。


ん?そんな液体を撮影して何かわかるの?
ああ。
膵液はすい臓の中にある膵管(すいかん)を通って十二指腸に送られる。すい臓がんのほとんどはこの膵管から発生する。なので早期発見のためには、膵管に異常がないかを調べるのが有効ということになる。その膵液の流れを撮影できるのがこのMRCP検査というわけだ。


膵管にすい臓がんが発生すると膵管が狭くなるなどし膵液の流れが悪くなる

膵液の流れを撮影するMRCP検査はすい臓がんの早期発見に有効

なるほどなあ。うまくできてるね!
そうだね。整理すると下記のとおり。


MRI検査
上腹部MRI検査 MRCP検査
健診や人間ドックの
オプション検査費用
高額。2つセットで3万円程度。
普及度 オプション検査で選択できるところが
徐々に増えてきている。
検査時に苦痛や侵襲性
(身体がダメージを受ける危険性)
があるか?
なし。被ばくがない点が大きなメリット。
検査所要時間 セットで30~60分程度 
検査前の食事制限 4時間前から絶食。
水やお茶は制限なし。
4時間前から絶食。
2時間前から絶飲。
撮影対象 肝臓、すい臓
胆のうなど
膵管を流れる膵液
胆管を流れる胆汁
発見できる病気 肝臓がん、すい臓がん
胆のうがんなど
すい臓がん、胆管がん
膵炎など
造影剤 一般的にコップ一杯程度の経口の造影剤を使用。
副作用はほぼなし。
1cm以下のすい臓がんを
発見できるか?
ほぼ不可能 ある程度可能(※)

※ 具体的な値が見つかりませんでしたが、超音波内視鏡検査よりは劣るものの腹部超音波検査よりは優れているようです。
 「腹部超音波検査 < MRCP < 超音波内視鏡検査」


うーん、セットで3万円かあ。まあさっきのマシンの写真からしても、いかにも高そうだもんね。なんか何も驚きがないわ。毎年の人間ドックで毎回3万円も払える人なんてそうはいないよね。
そうだね、それが最大のデメリットだと思う。
それにオプションでこの検査を選択できる人間ドックもまだまだ少ない。なのでやはり、もっと安価で、どこでも簡単に受けられる検査が普及しないと、早期発見できるケースは増えないと思う。
たしかに。アンドレイカ君や国立がん研究センターの早期発見方法の実用化が本当に待ち遠しいね。
そうだね。
けれど無いものねだりはできないので、高額にはなってしまうけれど、気になる方は、
「腹部超音波検査・腫瘍マーカーCA19-9・上腹部MRI&MRCP検査」
3つを毎年定期的に受けるのが現在はベストだと思う。

特に糖尿病の方や家族歴がある方
(一般的に2親等以内にすい臓がんになった人がいる方)
は下記のように発症率が高いので、該当する方はなるべく受けたほうがいいかもしれない。

糖尿病の方・・・2倍
慢性膵炎の方・・・6倍
家族歴がある方・・・1.6~3.4倍

なるほど。3つで35,000円くらいか。1つ1つはなんか頼りない感じだけど、違う切り口の検査を3つ合わせれば、それなりに早期発見できそうな気がするね!
なんというか、毛利的な・・・。
3本の矢ね。たしかにそうだね!
だよね!
ん?
てか2親等ってことは、祖父母や孫までだよね?先生該当しているんじゃ?
そうなんだよ。
すい臓がんは40歳くらいから急増するらしいから、四捨五入すると40歳になってしまう来年度から受けようかなあ・・・。
年35,000円で安心が買えるなら安いもんだし、さらっと書いていたけど、すい臓がんほどではないにしろかなり予後が悪い胆のうがんと胆管がんの早期発見もできるというメリットが大きいから。

※胆のう胆管がんは、男性は8番目、女性は7番目に亡くなってしまった方が多い。日本対がん協会のサイトより。
なるほど。


エラスターゼ1検査について(2017.3.6追記)

先日(2017年2月)、1年ぶりに人間ドックを受けたら、オプション検査料金表にこんなのがあった↓

えーと、見づらいな・・・。
ごめん。
「腫瘍マーカーセット(採血)、エラスターゼ1、CA19-9、3,780円、早期のすい臓がんに反応して数値が上昇するため、すい臓がんのスクリーニングに有用です。」

早期のすい臓がん!?
3,780円の採血検査で早期のすい臓がんを発見できるってこと??
私もこの記載を見て驚いた。
私は毎年同じところで人間ドックを受けているんだけど、2015年度のオプション検査表ではこの記載がなかったから、2016年度から追加されたんだと思う。
なるほど。
「CA19-9」はこのページの上のほうで出てきた腫瘍マーカーCA19-9のことだよね?これは残念ながら早期発見は難しい検査だったよね?
ってことは「エラスターゼ1」ってのが早期発見ができる検査ってこと??
そうなのかな?と思って、このエラスターゼ1検査が何者なのかを調べてみた。
すると下記のようなものらしい。


エラスターゼ1は血液に含まれる酵素の1つ。

・基準値は300ng以下/dl(ラテックス凝集法の場合)。つまり1デシリットルあたり300ナノグラム超だと異常値。異常値の場合はすい臓がんや膵炎が疑われる。

・すい臓がんにより膵管が閉塞されるとエラスターゼ1が血液に溢れだすため、異常値になりやすくなる。

・以前はRIA法という検査時間が3時間以上かかる方法しかなかったが、ラテックス凝集法が開発されたことにより検査時間が10分となり、装置による自動分析も可能となった。そのためマス・スクリーニング
(人間ドックなどの多人数向けの検査)
に利用できるようになった。

・CA19-9よりも早期のすい臓がんの発見に有効。

・早期のすい臓がんだと異常値となりやすい。逆に進行ガンになると異常値を示さなくなることが多い。

・直系3.5cm以下のすい臓がんでは陽性率100%。4cm以上だと陽性率35%。
 (膵癌診療ガイドラインより)

なるほど。
つまりエラスターゼ1検査は、ラテックス凝集法が開発されたことで徐々に普及していっているから、先生が行っている人間ドックでも2016年から採用になったってことなのかな?
恐らくね。
けど「早期のすい臓がんの発見に有効」といっても、具体的にどれくらい早期の時にどれくらいの発見率なのかを記載した資料が見つからなかった。
すい臓がんは直系1cm以下の超初期で見つけられてこそ意味があるんだもんね。
エラスターゼ1検査は1cm以下の発見率はどれくらいなんだろう?
そこが気になるところだよね。
ただ私が調べた限りだと、残念ながら少なくとも
「1cm以下のすい臓がんを100%近い高確率で発見できるような検査」
ではないようなんだ。
そうかあ・・・。早くそういう検査ができてほしいね。
そうだね。
けど採血検査なのでラクはラクだし、費用もCA19-9とセットで3~4,000円くらいと安い。なので少しでも早期発見率を上げるためには、受けないよりは受けたほうがいいと思う。
なるほど。じゃあ1本追加で4本の矢だね!
そうだね。では今回のまとめを。


すい臓がん対策編のまとめ

ここまで見てきた内容をまとめると下記のとおり。

・すい臓がんの予防は禁煙と肥満解消が有効。
・2017年現在の早期発見方法としては、
  「腹部超音波検査、腫瘍マーカーCA19-9、エラスターゼ1、上腹部MRI&MRCP検査」
 の4つを毎年定期的に受けるのが有効。
・糖尿病の方や家族にすい臓がん罹患者がいる方は発症率が高いので要注意。

なるほど。
今回はここまで。ここまで読んでくれてありがとう!
お疲れさまでした~