健康保険は最強の医療保険
記事更新日:2018.7.5
高額療養費制度や付加給付制度のおかげで医療費は思ったよりも安くなる
今日は健康保険の凄さを見ていくよ。 まずは基本だけど、病院の窓口で患者が負担するのは3割だけだ。 (小学生未満と70~74歳は2割。75歳以降は1割。現役並所得者を除く。) なので仮に医療費が10,000円かかったとしても、実際に患者が払うのは3,000円だけでいい。 ◆治療費が10,000円かかった場合 健康保険が出してくれるお金:7,000円 |
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うん、それくらいは知っているよ。3割でも多い気がするけどなあ。 | |
いやいや、他の国では10割負担というところもざらにあるんだ。10割負担だと盲腸で入院するくらいでも100万円近くお金がかかったりするんだよ。7割を負担してくれるというだけでもすごい保険なんだ。 | |
そうなんだ。じゃあ日本で盲腸で入院したら自己負担は3割でいいから、100万円の3割で30万円くらいしかかからないってことだね! | |
いや、もっと安くなるんだ。9万円くらいだ。 | |
なんで? | |
高額療養費制度というのがあり、1ヶ月当たりの自己負担の限度額は最高でも9万円くらいにしかならないようになっているんだ。 (年収770万円くらいまでの方の場合) 例えば盲腸で入院して医療費が100万円かかった場合、3割負担だと30万円になるけど、高額療養費制度によって自己負担限度額は87,430円になるので、患者は87,430円しか払わなくていいんだ。 ◆治療費が100万円かかった場合 健康保険が出してくれるお金:912,570円 |
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へえ~。随分気前よく値引きしてくれるんだね!どんなにお金がかかったとしても、実際に払わなくちゃいけないのは1ヶ月9万円くらいまでってことか。じゃあもし半年間も入院することになっても、 9万円×6ヶ月=54万円 でいいわけか。思ったよりはかからないな・・・。 |
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いや、もっと安くなるんだ。 直近の1年間に高額療養費制度の自己負担限度額(80,100円)を払った月が3回あった場合、4回目からは更に安くなり1ヶ月あたりの限度額は44,400円になる。 例えば半年間入院し、毎月医療費が100万円かかった場合の自己負担額は下の通り。 |
経過 | 医療費 | 健康保険が出してくれるお金 | 患者が払うお金(自己負担額) |
1ヶ月目 | 100万円 | 912,570円 | 87,430円 |
2ヶ月目 | 〃 | 〃 | 〃 |
3ヶ月目 | 〃 | 〃 | 〃 |
4ヶ月目 | 〃 | 955,600円 | 44,400円 |
5ヶ月目 | 〃 | 〃 | 〃 |
6ヶ月目 | 〃 | 〃 | 〃 |
合計 | 600万円 | 5,604,510円 | 395,490円 |
すごいな・・・。 でもこれってたまたま1人が多く入院した場合でしょ?家族が少しずつ病院にかかったらどうなるの? |
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ふふ、実は家族の医療費を合算して考えていいんだ。 例えば嫌な話だけど、家族4人が全員食中毒になって1週間入院し、1人20万円ずつ医療費がかかった場合は下記の通り。 |
家族 | 医療費 | 健康保険が出してくれるお金 | 患者が払うお金(自己負担額) |
夫 | 20万円 | 14万円 | 6万円 |
妻 | 20万円 | 14万円 | 6万円 |
長男 | 20万円 | 14万円 | 6万円 |
長女 | 20万円 | 14万円 | 6万円 |
世帯 合計 |
80万円 | 560,000円(高額療養費制度適用前) ↓ 714,570円(高額療養費制度適用後) |
240,000円(高額療養費制度適用前) ↓ 85,430円(高額療養費制度適用後) |
はぁ・・・、すごいね健康保険て。 | |
そうだね。 でも更に言ってしまうと、会社員や公務員が加入している健康保険組合によっては付加給付制度(附加給付制度)があり、もっと自己負担額が低くなるケースもざらだ。 例えば私が加入している関東ITソフトウェア健康保険組合の場合、1ヶ月の自己負担額は附加給付制度により2万円までとなっている。なので長期入院になってしまったとしても貯金で払える程度の額しかかからない。 例えば1年間ずっと入院したとしても、 2万円×12ヶ月=24万円 だ。 ※ご自身の加入されている健康保険の自己負担額がいくらまでかは、健康保険の公式サイトなどを参照願います。 |
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なるほどね・・・。 なんかこんだけ助けてくれる保険があるなら、わざわざ民間の保険会社の医療保険に追加で入る必要なくない? |
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そうだね、必要性はとても低いと思う。 結局、私的保険 (個人の自由で加入する保険) は、公的保険や強制保険 (法律などにより加入が義務づけられている保険) を補うためのものだ。公的保険がしっかりしていれば、何も自分で追加で加入する必要はない。 |
保険種類 | 公的保険や強制保険 | |
名称 | 保障内容と評価 | |
自動車保険 | 自賠責保険 | 死亡事故を起こしてしまった時に相手に支払わる金額が 3,000万円しか出ないなど、到底不十分な保障内容。 よって民間の保険会社の自動車保険への追加加入は絶対必要。 |
医療保険 | 健康保険 | 今回のコーナーで取り上げている通り、充実の保障内容。 よって私的保険に追加で加入する必要性は低い。 |
なるほど、健康保険はすごいんだね。 しかしこんなに気前よくお金を出してくれちゃって、健康保険て赤字になったりしてないの? |
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なってます! それもかなりね・・・。 健康保険組合の赤字は2011年度以降、毎年3,000億円以上で推移しているらしい。 |
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3,000億円!?すごい額だなあ。 | |
そうだね。 なので赤字を埋めるために、残念だけど今後も保険料はどんどん上がっていくだろうね。でもある意味、赤字になっているということは、保険料を支払っている立場からすると割のいい保険とも言えるけどね・・・。 |
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なるほどね。じゃあ結論として、保険会社や共済の医療保険には加入しないほうがいいんだね? | |
いや、ここまで言っておいてなんだけど、必ずしもそれがベストとは言えないんだ。実は私も加入しているしね。 | |
そうなの!?なんで?? | |
それを次回から見ていくよ。 |
健康保険の保障内容はとても充実しているので、保険会社や共済の医療保険に追加で加入する必要性は低い。 |