ジュニアNISAシミュレーション1
祖父母からの贈与金を運用
記事更新日:2019.6.1
子供に将来使ってほしい資金の運用はジュニアNISAが有効
例えばだけど、佐藤さんの家庭は以下のような状況だとします。 ◆佐藤家の状況 祖父:65歳 |
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ジュニアNISAはどんな人に向いているか? で取り上げていた事例だね。このような場合、ジュニアNISAで運用するのが有効っていう話だったよね? |
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そうだね。 もちろん祖父母からの贈与で受け取ったお金でなくても、手元に 「子供が大学生になるまでは使わないで取っておこう」 と思っている余裕資金があるなら、ジュニアNISAでの運用を検討する価値があると思う。 ということでこのページでは、上記の佐藤さんがジュニアNISAを利用した場合のシミュレーションをしてみたいと思う。 |
手順1 ジュニアNISA口座の開設はSBI証券を推奨
ジュニアNISA口座は証券会社や銀行など多数の金融機関で開設することができる。ただし通常NISAやつみたてNISAと違って、 一度開設してしまうと金融機関の変更ができないんだ。 |
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マジで?じゃあ真剣に選ばないとだね。 | |
そうだね。 ただ後ほど触れるけど、ジュニアNISA口座で購入する運用商品は、 米国株を中心としたインデックスファンド or ETF を個人的にはおすすめしている。特に個人的には海外ETF(米国ETF)がおすすめかな。そしてそれであれば、こちらのページのとおり米国ETF購入時の為替手数料がとても安いことから、SBI証券をおすすめしたいと思う。 |
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なるほど。 |
手順2 米国株を中心としたインデックスファンド or ETFを購入
ネット証券でジュニアNISA口座を開設したら、次は運用商品を購入する。 購入する運用商品は 米国株を中心としたインデックスファンド or ETF を推奨したい。 (具体的なおすすめ銘柄はこちら) 理由は 10年以上の長期運用なら米国株中心のインデックスファンド でも触れていたけど、 長期運用ならプラス運用になる可能性が高いから。 |
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ああ、 ・アメリカの平均株価はリーマンショックのように時たま大暴落することもあるけど、長期的に見れば右肩上がりで成長している。事実、アメリカの代表的な平均株価指数であるダウ平均株価やナスダック指数は、12年スパンで見れば過去一度もマイナス推移したことはない。 っていう話だったよね? |
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そうだね、ありがとう。 インデックスファンドとETFではどちらがよいかは、好みにもよるので一概には言えないけど、個人的にはより低リスクで高リターンが見込めることからETFがおすすめです。ETFのメリットについては下記の参考リンクを読んでもらえればと。 ◆参考リンク ・ETFとは? ・管理人おすすめの海外ETF ということで今回の佐藤さんも、80万円でETFを購入したとします。 |
手順3 2022年末にロールオーバーを実施
ジュニアNISAの非課税期間は通常NISAと同じく最大で5年間。具体的には、購入した年を1年目として、5年目の年末までとなっている。今回は2019年1月に購入したとしてシミュレーションしてみるので、下の表のとおり2023年の年末までが非課税期間となる。 |
西暦 | 購入してから何年目? |
2019年 (購入した年) |
1年目 |
2020年 | 2年目 |
2021年 | 3年目 |
2022年 | 4年目 |
2023年 | 5年目 |
なるほど。今回は2019年1月購入だけど、ようは1月に購入しようが12月に購入しようが、2019年に購入した運用商品の非課税期間は常に2022年の年末までということだね。 | |
そうだね。 さて、ETFは色々あるけど、今回は医療品メーカーの株ばかりを集めた米国ETFのVHTを購入したとしてシミュレーションしてみたい。このETFは2004~2019の15年間のトータルリターンが年率10.5%という超優良ETFだ。今回のシミュレーションではこれまでよりはちょっと資産運用力が落ちたと仮定して、以下の条件で行ってみたい。 ◆シミュレーション条件 為替レート:1ドル100円で常時推移 すると2019年に80万円で購入したETFの評価額(価値)は下の表のように値上がりしていくことになる。 |
西暦 | 長男の 年齢 |
ETFの 評価額 |
2019年1月 | 0歳 | 80万円 |
2020年1月 | 1歳 | 84万円 |
2021年1月 | 2歳 | 88万円 |
2022年1月 | 3歳 | 92万円 |
2023年1月 | 4歳 | 97万円 |
2024年年末 | 5歳 | 102万円 |
2019年に購入した時点では80万円だったのが、2023年の年末時点では102万円ということは22万円も値上がりしたということか。 | |
そうだね。 よって2023年の年末時点でETFをすべて売却してしまえば、この値上がった分だけ 値上がり益 (譲渡益やキャピタルゲインとも言います) が出るわけだ。 けれど売却しても、ジュニアNISA口座からお金を引き出すのは子どもが18歳 (高校3年生の12月末) まではできないので、売却せずにそれまでは保有し続けたほうがいい。その間も値上がりが期待できるしね。 ジュニアNISAの場合は2023年末~2027年末に非課税期間が終了する分については、 継続管理勘定(ロールオーバー専用勘定) にロールオーバーし、20歳までは引き続き非課税で運用が可能になっているんだ。 |
通常NISA | ジュニアNISA | |
2023年に運用商品の新規購入が可能か? | 可能 | |
2024年に運用商品の新規購入が可能か? | 不可 | |
2018年に購入した運用商品を 2022年末にロールオーバー可能か? |
可能 (通常NISA口座へ) |
可能 (ジュニアNISA口座へ) |
2019年に購入した運用商品を 2023年末にロールオーバー可能か? |
不可 | 可能 (継続管理勘定へ) |
2022年末にロールオーバーした運用商品を 2027年末に再度ロールオーバー可能か? |
不可 | 可能 (継続管理勘定へ) |
なるほど。まあそもそもジュニアNISAは18歳までは原則引き出し不可とされているんだから、非課税で運用を続けさせてもらわないと困るよね。 | |
まあ全くそのとおりだね。 で、2023年末に継続管理勘定にロールオーバー後は下の表のように値上がりしていく。 |
西暦 | 長男の年齢 | ETFの評価額 |
2019年1月 | 0歳 | 80万円 |
2023年の年末 | 5歳 | 102万円 |
2028年の年末 | 10歳 | 130万円 |
2036年の年末 ※ジュニアNISA口座から 現金の引き出しが可能に。 |
18歳 (高3の12月末) |
193万円 |
2038年の年末 継続管理勘定での運用終了 |
20歳 | 212万円 |
おお、かなり増えたなあ。高3の12月末に193万円を受け取れれば大学入学費用の大きな足しになるね。 ん?2039年以降も運用を続けたい場合はどうなるのかな? |
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ジュニアNISAの継続管理勘定での運用終了後は、自動的に成人用の通常NISA口座が開設され、開設された通常NISA口座へロールオーバーし引き続き非課税で運用することが可能になっている。 ただし2019年現在は通常NISAは制度が恒久化されていない。なので2039年には通常NISAそのものがなくなっているかもしれない。もしなくなってしまっている場合は一般の証券会社の口座(課税口座)へ移管するしかない。その場合はその後の運用益は課税対象となってしまう。 |
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うーん、なるほど。まあまだまだ先の話だからその時に考えればいいか。 | |
そうだね。個人的にはなんらかの形で制度は恒久化されると思うしね。 ところでショウ君、何か忘れてない? |
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ん?あ、分配金! |
手順5 分配金は課税ジュニア口座で受け取る
今回のVHTは米国ETFだから分配金が受け取れるんだったよね?たしか通常NISA口座とジュニアNISA口座で米国ETFを購入した時は、分配金を受け取る時、税金が米国で10%源泉徴収されてしまうんだったよね? | |
そうだね。今回は分配金が年利回り2%で常時推移したという仮定なので、受け取れる分配金は以下のとおりとなる。 |
西暦 | 長男の年齢 | 分配金 (税引後) |
2019年 | 0歳 | 1.4万円 |
2020年 | 1歳 | 1.5万円 |
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2036年 | 18歳 | 3.5万円 |
2037年 | 19歳 | 3.7万円 |
2038年 | 20歳 | 3.9万円 |
合計 | 約53万円 |
おお、これは大きいね。 そしたら0歳の時に投資した80万円でこうなるわけか。 値上がり益:132万円(80万円→212万円) 分配金:53万円 利益合計:185万円 |
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そうだね。 なお今回の例の場合、分配金は3か月に1回、課税ジュニアNISA口座(※1)に自動的に振り込まれる。(※2) 課税ジュニアNISA口座はジュニアNISA口座と同じく18歳までは原則引き出し不可なので、振り込まれた分配金を引き出すことはできない。けれどその分配金を使ってETFや投資信託を購入することは可能なんだ。(※3) ※1 ジュニアNISA口座開設時に自動的に同時に開設されます。 |
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なるほど。どうせ18歳まで引き出しできないんだったら、課税ジュニアNISA口座で寝かせたままにしておくのももったいないから、ETFを買い増ししたりしたほうがいいね。 | |
そうだね。 今回のシミュレーションはここまで。ジュニアNISAはそもそも制度が複雑すぎるので難しかったと思うけど、ここまで読んでくれてありがとうございました。 なお、ETFよりももっと安全重視で運用したい場合は、こちらのページで取り上げている国内債券インデックスファンドと米国株中心のインデックスファンドをミックスした方法がおすすめです。 |