iDeCoシミュレーション 企業年金アリの会社員&公務員編2
記事作成日:2017.11.3
老齢給付金は一時金(一括)や年金(分割)で受け取り可能
さて前ページの続きを。 | |
えーと、山本さんは掛金を毎月12,000円ずつ拠出し、投資信託プランでそれを運用していくことにしたんだよね。 | |
そうだね。加入時のステータスは以下のとおり。 |
◆山本さんの加入時のステータス
運営管理機関 (加入した金融機関) |
マネックス証券 |
プラン | eMAXIS Slim先進国株式インデックス:50% eMAXIS Slim新興国株式インデックス:50% |
掛金(拠出額) | 月額12,000円(年額144,000円) |
ではこの続きを見ていきたい。 iDeCoは掛金を59歳いっぱいまで拠出できる。山本さんは35歳から59歳いっぱいまでの25年間(300ヵ月)、毎月12,000円ずつ拠出し続けたとする。 |
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ふむふむ。となると掛金総額は 12,000円×300ヵ月=360万円 だね。だいぶ高額になったなあ。 |
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そうだね。 これだけ拠出していった結果どうなったか? 今回の山本さんが購入している先進国の株式インデックスファンドの運用利率(年利)は、長期でみると5~6%程度に収束すると言われている。 実際、私がiDeCoで運用しているインデックスファンドの成績も、そのくらいに落ち着きそうな感じだ。 なのでここでは、山本さんが購入している2種類のインデックスファンドはどちらも年利5%で運用できたと仮定する。つまりインデックスファンドの価値そのものが年5%ずつ上昇していったとする。すると下の表のように資産が増えていく。 |
年齢 | 掛金累計 | 運用資産 (2つのインデックスファンドの価値) ※年5%ずつ上昇していった場合 |
50歳 | 216万円 | 325万円 |
60歳 | 360万円 | 718万円 |
61歳 | 754万円 | |
65歳 | 920万円 | |
70歳 | 1182万円 |
なるほど。 掛金は59歳末までしか拠出できないから掛金累計は360万円で打ち止めだけど、運用は70歳まで続けようと思えばできるんだったよね。 しかし年利5%だとすごい勢いで増えるもんだなあ。 で、60歳になると運用資産を売却してiDeCo口座から現金を引き出すことができるようになるんだったよね? |
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そうだね。 60歳時点でまとまったお金が必要だったら引き出してもいいし、そうでなかったらそのまま運用を続けるのがよいと思う。もちろん、一部だけ引き出して残りは運用を続けることもできる。 今回は下記の5つのパターンを見ていきたい。 ◆パターン1 |
パターン1、2、3、4 iDeCoから老齢給付金(一時金)を受け取った場合
iDeCoは個人的にはとてもいい制度だとは思うけど、1つだけとんでもない弱点というかダメな点がある。それは運用益が非課税ではなく繰り延べだという点だ。 |
NISA |
運用益に課税がされない(非課税) ↓ 受け取る時に税金がかかることはない |
iDeCo |
運用益の課税は受取時まで繰り延べ。 つまり運用期間中は非課税。 ↓ 受け取る時に課税され (つまり税額が計算され) 計算結果次第では税金がかかることがある |
はあ、なんでそうしてるんだろうね? | |
まったくだよ。 そしてこの受け取る時の税金の計算が恐ろしくややこしいし、受け取り方によっても大きく税金が変わってくる。 このまま少子高齢化が続いたら公的年金制度がどんどん改悪されていくのは目に見えている。破綻はしないと個人的には思うけど、受給額が目減りしていくのは間違いと思う。だからこそ政府も、 「公的年金で足りない分は自分で年金を作ってください」 ということで、自分年金を作れるiDeCoをなんとか普及させたいと考えているんだろう。けどそれならNISAのように完全に非課税にすべきだと思う。 |
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なるほど。ほんとだね。 | |
ということで話を戻すけど、今回の山本さん (22歳時に勤務開始し65歳定年時に退職一時金2,000万円を受給) が老齢給付金(一時金)を受け取った場合はどうなるか? これは受け取った時の年齢によって手取り額や税金が下の表のように変わってくる。 |
iDeCoから受け取る 老齢給付金(一時金) ① |
勤務先から受け取る 退職一時金 ② |
受取時にかかる税金 (所得税+住民税) ③ |
手取り額 ①+②-③ |
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受取年齢 | 受取額 | 受取年齢 | 受取額 | 老齢給付金 (一時金)を 受け取る時 |
退職一時金 を 受け取る時 |
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60歳 | 718万円 | 65歳 | 2,000万円 | 0万円 | 0万円 | 2,718万円 |
61歳 | 754万円 | 0万円 | 29万円 | 2,725万円 | ||
65歳 | 920万円 | 42万円 | 2,878万円 | |||
70歳 | 1,182万円 | 124万円 | 0万円 | 3,058万円 | ||
iDeCoから一時金を 受け取らない場合 |
ー | 0万円 | 2,000万円 |
※万円未満は四捨五入しています。
なるほど。 70歳で老齢給付金を受け取る時だと124万円も税金を取られちゃうのか。痛いね。けどそうは言っても基本的にはなるべく遅く受け取る方が手取り額は大きくなるね。 |
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そうだね。 |
パターン5 iDeCoから老齢給付金を年金(分割)で受け取った場合
iDeCoからの老齢給付金は一時金(一括)でなく年金(分割)で受け取ることもできる。 今回の山本さんは65歳時点で運用資産が920万円となっていた。 これを5年有期年金(5年分割)で受け取ることにする。 年金を受け取っている間も年利5%で運用を続けられたと仮定すると、各年の受取額は下記のようになる。 65歳時 |
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なるほど。 で、これも受け取る時に税金がかかってきちゃうのかな? |
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ああ。 平均的な年収の会社員や公務員が65歳から受け取れるようになる公的年金 (国民年金+厚生年金) は、 月額16万円(年額192万円) くらいだ。 今回の山本さんの公的年金も年額192万円と仮定すると、下の表のようになる。 |
受取年齢 | 年収① | 税金+社会保険料② 所得税、住民税、 国民健康保険税、 介護保険料(※) |
手取り額 ①-② |
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iDeCoから受け取る 老齢給付金(年金) |
公的年金 | 合計 | |||
65歳 | 184万円 | 192万円 | 376万円 | 54万円 | 322万円 |
66歳 | 194万円 | 386万円 | 55万円 | 331万円 | |
67歳 | 203万円 | 395万円 | 58万円 | 337万円 | |
68歳 | 214万円 | 406万円 | 59万円 | 347万円 | |
69歳 | 225万円 | 417万円 | 62万円 | 355万円 | |
iDeCoから老齢給付金(年金) を受け取らない場合 |
192万円 | 17万円 | 175万円 |
※国民健康保険税と介護保険料は札幌市の平成29年のものより算出。家族構成や地域や時期によって大きく変わってくるため、あくまで目安としてみてください。
うわ。 iDeCoから老齢給付金(年金)を受け取らない場合に比べると、受け取った時は 「税金+社会保険料」 がすごく高くなるね。 |
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そうなんだ。 老齢給付金を一時金で受け取る場合は社会保険料 (国民健康保険税と介護保険料) の額には影響が出ないけど、年金で受け取る場合はこれらまで高くなってしまうんだ。 5年間でみると下の表のようになる。 |
iDeCoから受け取る 老齢給付金(年金)5年分 |
iDeCoから年金を受け取ることによって 余計に払うことになってしまう 税金+社会保険料 5年分 |
差引 |
1,020万円 | 213万円 | 807万円 |
なるほど。 213万円は痛すぎるね。 一時金で受け取る時は、1番税金が高くなってしまった時 (70歳時に一時金を受け取った時) でも税金は124万円だったんだから、そのほうがはるかにマシだよね? じゃあなるべく一時金で受け取る方が有利なのかな? |
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いや、そうとも言えないんだ。 何の使用予定もないのに一時金で大金を受け取ってしまうと、間違ったことに使ってしまうかもしれないし、銀行から 「その大金をうちで運用しませんかー?」 という営業電話もすごいかかってくるようになってしまうだろうしね。 ということで私のおすすめは・・・ |
iDeCoの老齢給付金 管理人おすすめの受け取り方
あくまで私の個人的なおすすめだけど、iDeCoからの老齢給付金は以下の①か②のように受け取るのがよいかなと思う。 ①まとまったお金が必要になったタイミングで一時金で受け取る |
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でましたね、繰り下げ受給。 公的年金を70歳から受け取るようにすると、65歳から受け取る時の1.42倍になるんだったよね? ということは今回の山本さんは65歳から受け取る時は 年額192万円(月あたり16万円) だったから、その1.42倍だと 年額272万円(月あたり約23万円) になるわけか。 月23万円受け取れたら余裕が全然違うね。 |
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そうだね。 65歳から69歳までの生活費を、退職一時金とiDeCoからの老齢給付金(5年有期年金)でカバーすることで、公的年金の繰り下げ受給を実現させるわけだ。すると以下のようになる。 |
受取年齢 | 収入① | 税金+社会保険料② 所得税、住民税、 国民健康保険税、 介護保険料(※) |
手取り額 ①-② |
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iDeCoから受け取る 老齢給付金(年金) |
公的年金 | 合計 | |||
65歳 | 184万円 | 0万円 | 184万円 | 13万円 | 171万円 |
66歳 | 194万円 | 194万円 | 14万円 | 180万円 | |
67歳 | 203万円 | 203万円 | 17万円 | 186万円 | |
68歳 | 214万円 | 214万円 | 19万円 | 195万円 | |
69歳 | 225万円 | 225万円 | 25万円 | 200万円 | |
70歳以降 | 0万円 | 272万円 | 272万円 | 36万円 | 236万円 |
※国民健康保険税と介護保険料は札幌市の平成29年のものより算出。家族構成や地域や時期によって大きく変わってくるため、あくまで目安としてみてください。
なるほど。 65~69歳の間、iDeCoからの年金と公的年金をダブルで受け取ると、 「税金+社会保険料」 が毎年50~60万円くらいかかっていたけど、公的年金を受け取らないようにするとだいぶ下がるんだね。 |
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そうだね。 どう受け取るのがベストかはその時になってみないとわからないと思うけど、 「こんな受け取り方もあるんだな~」 という感じで押さえておいてもらえたらと思います。 ということで今回のシミュレーションはここまで。 ここまで読んでくれてありがとう。 |
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お疲れさまでした~ |