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インフレと保険3
年2%のインフレが続くと学資保険や終身保険はどうなるか?

記事更新日:2018.7.25

年2%のインフレが継続すると35年後には物価が2倍に

アベノミクスではデフレ脱却をするため、インフレターゲット
(物価上昇率の目標値)
を年2%とし、2013年より異次元緩和の導入を開始した。
私はその目標達成は限りなく難しい(※)と思っているけど、もしその目標を達成してしまったらどうなるか?今日はそれを詳しくみていきたいと思う。


※管理人は異次元緩和なんかでデフレ脱却(インフレ2%達成)はまず不可能だろうと考えています。この方の意見にもっとも近いです。政府には根本的な少子化対策に力を入れてほしいものです。
ういす。年2%っていったら、今年100円で売っていたものが、来年は102円になるってことだよね?
そうだね。年2%のインフレが続くと、下記の表のようになる。


西暦 経過年数
(年)
2013年に100円で
売っていたものが
いくらになっているか
(円)
100円玉の価値
(円)
2013 0 100 100
2018 5 110 90
2023 10 121 82
2028 15 135 74
2033 20 149 67
2038 25 164 61
2043 30 181 55
2048 35 200 50


うわ、すごい勢いで変化していくんだね。35年後には100円だったものが倍の200円になっちゃうんだ・・・。
そうだね。それと同時に100円玉の価値はどんどん落ちていく。
ではこのように年2%のインフレが続いた場合、学資保険終身保険に加入していたらどうなるかを詳しく見ていくよ。


年利率1%の学資保険に加入していた場合

某社の学資保険を例としてみていきたい。契約内容は下記のとおり。

契約者:25歳女性
子ども:0歳
保険料払込期間:18年
年払保険料:101,000円
保険料総額:1,818,000円
満期学資金:2,000,000円
利益(満期学資金金-保険料総額):182,000円
返戻率110%

これは、毎年101,000円を18年間積み立てると、18年後に満期学資金として200万円を受け取れる契約だね。
そうだね。この契約の場合、運用利率(年利)と年金終価係数はおよそ下記になる。

年利:1.0%
年金終価係数
(期首積立):19.81

年利1%ってことは、物価上昇率が年2%だったら、


学資保険の年利 < 物価上昇率


になるね。なんかやばそうな予感が・・・。
そうなんだ。まず、その年に払った年払保険料の価値の推移は下記のとおり。


経過 その年に払う
年払保険料

100円玉の価値
その年に払った
年払保険料の価値

ア×イ%
1年目 101,000円 100円 101,000円
2年目 98円 99,020円
3年目 96円 97,078円








16年目 101,000円 74円 75,044円
17年目 73円 73,573円
18年目 71円 72,130円
合計 1,818,000円 1,544,479円


えーと、表面上は毎年同じ年払保険料101,000円を払っているけど、お金の価値が落ちていっているから、18年目は101,000円払っていても加入時のお金の価値でいうところの72,130円分の価値分しか払っていないことになっちゃうのか。
そうだね。
ある意味、年を追うごとに保険料の負担が減っていっているとも言える。
その結果、18年間で払う保険料総額は表面上は約182万円だけど、加入時のお金の価値でいうところの約154万円分しか払っていないことになる。
なるほど。で、この保険は保険期間(18年)満了時には満期学資金として200万円受け取れるんだよね。でもその200万円もやはり価値が下がっちゃってるんだよね?
そうだね。18年後の200万円は、加入時のお金の価値でいうところの140万円分の価値しかない。
インフレが起きなかった場合や、1%や2%のインフレが継続した場合を整理すると、下の表のようになる。


インフレが
起きなかった場合
1%のインフレが
継続した場合
2%のインフレが
継続した場合
18年間で払い込んだ
保険料総額の価値
(ア)
182万円 167万円 154万円
満期学資金200万円の価値(イ) 200万円 169万円 140万円
損得(イ-ア) +18万円 +2万円 -14万円
返戻率(イ/ア) 110% 101% 92.5%


うわ、最悪じゃん。
年1%のインフレに対してはなんとかプラスをキープできているけど、年2%のインフレが継続するとせっかく18年間も積み立てたのに元本割れしちゃうなんて・・・。
そうだね。
年利1%の学資保険では、年2%のインフレに負けてしまう
ということだね。


年利率1%の終身保険に加入していた場合

終身保険の場合も学資保険と基本的には同じで、年利が物価上昇率より低いとインフレに負けてしまう。けれど学資保険は運用期間が長くても18年くらいなので、インフレになってもまだそこまでダメージは大きくない。
まあ確かにさっきの例では返戻率92.5%だったもんね。
そうだね。ところが終身保険の場合は、運用期間が学資保険よりも長期になりやすく、30年以上の運用になることもざらにある。
インフレが継続した場合、年月が長くなればなるほど物価も上昇してしまうことになるので、
運用期間が長い終身保険ほど、インフレの影響をより受けやすくなってしまう。
例えば30歳の女性が老後の貯蓄として、60歳まで保険料を払いこむ下記の終身保険を契約をしたとする。


契約者&被保険者30歳女性
死亡保険金500万円
保険料払込期間:30年(60歳まで)
年払保険料:11万円
保険料総額:330万円
60歳解約時の解約返戻金:386万円
60歳解約時の利益(解約返戻金-保険料総額):56万円
60歳解約時の返戻率:117%

ふむふむ。
この終身保険の60歳解約時の運用利率(年利)と年金終価係数は下記のとおり。年利は先ほどの学資保険と同じ。


年利:1.0%
年金終価係数
(期首積立):35.13


しかし年2%のインフレが60歳まで継続した場合、下の表のように大きくマイナス運用となってしまう。


インフレが
起きなかった場合
1%のインフレが
継続した場合
2%のインフレが
継続した場合
30年間で払い込んだ
保険料総額の価値
(ア)
330万円 287万円 251万円
60歳で解約をした時に受け取れる
解約返戻金386万円の価値
(イ)
386万円 290万円 218万円
損得(イ-ア) +56万円 +3万円 -33万円
返戻率(イ/ア) 117% 101% 86.9%


な!?
2%のインフレが継続した場合の返戻率が、さっきの学資保険の時(92.5%)よりも悪化している・・・。同じ年利1%の保険なのに・・・。
そうだね。
「保険の年利 < 物価上昇率」
の場合は、運用期間が長くなればなるほど返戻率が落ちていってしまうんだ。


まとめ

というわけで今回の結論。
マイナス金利が導入されるなどし市場金利がまさに底辺まで落ちてしまった2017年以降は、学資保険低解約返戻金型終身保険の年利(運用利率)は高いものでも0.5~1%程度。
そうなると今回見てきたとおり、政府と日銀が目標としている2%のインフレ継続が本当に実現してしまった場合は、保険はインフレに負けてしまう。
なので2%のインフレ継続が実現すると予想される方は、資産運用に保険を取り入れるのは避けたほうがよいと思う。
特に、運用期間が長期の終身保険は避けたほうがよいと思う。
なるほど・・・。
けどもうアベノミクスがはじまって数年経つけど、2%のインフレ継続なんて実現しそうもないよね。
そうだね。まあ予想通りという感じだけど・・・。
なので今後も2%のインフレなんか実現しないと予想される方は、資産運用方法として保険も取り入れていってよいと思う。私も実現なんてしないと思っているので、iDeCo(個人型確定拠出年金)NISAなどのリスク資産と、学資保険個人年金保険などの安全資産の両方を、資産運用には取り入れている。
なるほど。
ただ、2%のインフレなんか実現しないと考える方であっても、貯蓄型の保険に加入するのであればなるべくインフレに強い商品を選んでおいたほうがよいと思う。インフレに強い保険、弱い保険について次のページで見ていくよ。

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