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外貨建て個人年金保険 こだわり個人年金 評価

記事更新日:2019.6.3

評価データ

総合
評価
保険料の
払込通貨
年金の
受取通貨
税制適格特約
付加できるか?
配当 積立
利率
クレジット
払い
「円or米ドル」
または
「円or豪ドル」

可能
なし
(※1)

変動型
可能
(※2)

※1 積立利率変動型保険は一般的に無配当です。詳細はこちら
※2 月払保険料3万円以内まで可能とのこと。


為替レート

TTM TTS TTB 最新の為替レート
マニュライフ生命指定の
金融機関のTTMに準拠
TTM+0.5円 米ドル:TTM-0.01円
豪ドル:TTM-0.03円
公式サイト
掲載あり


積立利率

タイプ 最低保証利率 適用利率 最新及び過去の適用利率
2015年8月 2018年5月

変動型(毎月変動)
1.5% 米ドル:2.8%
豪ドル:3.1%
米ドル:2.9%
豪ドル:2.7%
公式サイトに掲載あり

※上記のように利率が変動するのは保険料払込期間中のみ。年金受取期間中のドル建ての積立利率は1.5%固定とのことです。


リンク
パンフレット(2018年4月版)
公式サイト


どんな保険か?

こだわり個人年金
は、2015年7月に新発売された
月払・年払タイプの外貨建て個人年金保険
です。これがどんな保険かを詳しくみていきます。

まずこの保険、「こだわり個人年金」というのはあくまでペットネーム(愛称)で、正式名称は
無配当外貨建個人年金保険(積立利率変動型)
です。
無配当ということは一般的にはインフレに弱いですが、この保険は積立利率変動型のためインフレに比較的対応可能です。
(理由はこちら

そして何よりの特徴が外貨建てです。
外貨は米ドルか豪ドルのどちらかを選択可能です。
つまり保険料を、円建て(日本国債中心)ではなく、
米ドル建て(米国債中心)

豪ドル建て(豪国債中心)
で積み立てていく保険です。

日本国債は超低金利です。本ページ当初制作時点(2015年8月2日)の各国の10年もの国債の利回りは下記のとおりとなっています。


日本国債 米国債 オーストラリア国債
0.4% 2.18% 2.76%


この数字を見てしまうと、日本国債を中心に運用する円建ての保険より、米国債やオーストラリア国債を中心に運用する保険のほうが、高運用が期待できるのは明らかです。

つまりこの「こだわり個人年金」は、米国債やオーストラリア国債を中心に運用することで、
円建ての保険よりも将来受け取れる年金が高額になることを期待する保険
です。


モデルケースの返戻率は?

それでは外貨建てで運用することで、将来受け取れる年金が実際に高額になるのか?モデルケースをみていきます。



◆モデルケース

被保険者:30歳男性
月払保険料:1万円
保険料払込期間:35年(65歳まで)
保険料総額:420万円
年金受取開始年齢:65歳
年金種類(年金の受取方法):10年確定年金
年金額:運用結果によって変わってくる



このモデルケースは、30歳から毎月1万円を65歳まで払い続ける。そして65歳になったら、今度は年金額を10年間に渡って受け取れるというものです。
加入時は無告知です。つまり職業や健康状態にかかわらず誰でも加入できます。
上記のプランの場合は保険料が個人年金保険料控除の対象となるため節税可能です。
年金額は今後の運用結果次第ですが、


為替(TTM):1ドル120円で常時推移
積立利率(保険料払込期間中):2015年8月時点の2.8%で推移
年金受取通貨:毎年、円に換算して受け取る(円支払特約C型)


という条件の場合、2015年8月時点に管理人が保険会社に試算してもらったところ、年金額は63万円くらいになるとのことでした。これを10年間受け取れるため受取総額は630万円です。

ただし年金を受け取る度に、その時点の責任準備金の0.4%が年金管理費として控除されるとのこと。例えばその時点の責任準備金が500万円の場合は、
「500万円×0.004=2万円」
となり、2万円が控除されるとのことです。今回のモデルケースでは控除額は合計で約10万円になる計算でした。

それを考慮すると、受取総額は620万円。保険料総額420万円を払って620万円受け取れることから、利益は200万円返戻率は約147%になります。


では円建ての保険と比較するとどうか?
似た条件で個人年金保険評価ランキング上位のJA共済の個人年金保険でプランを組むと下の表のとおりです。

※値はすべて概算値であり、完全に正確なものではありません。


JA共済の個人年金保険
※6年目以降の予定利率が平成30年時点の
適用利率である1.48%で推移した場合
こだわり個人年金
※積立利率2.8%
で推移した場合
年金額 約52万円 63万円
10年間で受け取る年金総額 約520万円 630万円
保険料総額 420万円
年金管理費 なし 10万円
利益 ア-イ-ウ 100万円 200万円
返戻率 ア÷(イ+ウ) 123% 147%

※こだわり個人年金のほうは為替手数料を加味した試算です。



米国債の利回りが低下していった場合の試算

上記のとおり、為替が1ドル120円、 積立利率が2015年8月時点の2.8%で今後推移し続けた場合は、かなり魅力的な返戻率になりました。2019年6月時点の適用利率は3.0%と少し上がっているため、今試算したら返戻率も更に少し高いはずです。

ですが、米国債もオーストラリア国債も長期的に見ると利回りは低下傾向にあります。
例えば米国債の10年もの利回りは、2015年時点では2%台ですが、2005年には5%、1995年には7%程度もありました。
この低下傾向が続くと、この保険の積立利率もドンドン低下していってしまうと思います。そこで低下傾向が続いた場合の試算もしておきます。


この保険は、積立利率の最低保証利率が1.5%に設定されています。
仮に先ほどのモデルケースで


為替(TTM):1ドル120円で常時推移
積立利率(保険料払込期間中):最低保証の1.5%で推移
年金受取通貨:毎年、円に換算して受け取る(円支払特約C型)


という条件で試算すると、年金額は50万円くらい、返戻率は118.2%になります。
※値はすべて概算値


JA共済の個人年金保険
※6年目以降の予定利率が平成30年時点の
適用利率である1.48%で推移した場合
こだわり個人年金
(積立利率1.5%)
年金額 約52万円 50万円
10年間で受け取る年金総額 約520万円 500万円
保険料総額 420万円
年金管理費 なし 8万円
利益 ア-イ-ウ 100万円 72万円
返戻率 ア÷(イ+ウ) 123% 118%


上記のとおり、最低保証の1.5%で常時推移してしまった場合、円建ての個人年金保険よりも低運用になってしまいます。もっとも2019年6月現在は3.0%なのですから、これから低下傾向が続いていったとしても、最低保証の1.5%になるのはだいぶ先だと思います。ですので少しずつ積立利率が低下していった場合、返戻率は130%くらいに落ち着く可能性が高いのではと思います。


2.8%で常時推移:返戻率147%
1.5%で常時推移:返戻率118%
2.8%から少しずつ低下していった場合:130%くらい??


なお、JA共済のほうも予定利率が更に下がる可能性もありますが、平成30年時点の日本国債10年物の利回りは既に0%程度まで低下しており、日銀はこの水準を維持することを表明していることから、これ以上の大幅な低下は可能性が低いと思います。


この保険が合うと思われる方

個人的には、この保険が合うと思われるのは下記のような方です。


将来的には円安が進むと考えている方

年金受取時には円安になっているほうが円換算額が大きくなるため。


将来的にも米国債や豪国債の金利が2~3%程度で推移すると考えている方

円建ての保険よりも高運用となるため。


資産が円に偏重している方

資産を分散できるのはメリットだと思います。



この保険が合わないと思われる方

個人的には、この保険が合わないと思われるのは下記のような方です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)未加入の方

この保険も個人年金保険料控除の対象となり節税可能ですが、節税であればiDeCoのほうが圧倒的に上ですので、iDeCoから優先的に加入することをおすすめします。


将来的には円高が進むと考えている方

年金受取時に円高になっていると円換算額が少なくなり、元本割れの可能性があります


将来的に米国債や豪国債の金利が低下すると考えている方

円建ての保険と同程度あるいはそれよりも低運用となってしまうため。



まとめ

いかがだったでしょうか?
万人受けする保険ではないと思いますし、この保険の積立利率が将来的に低下していき返戻率が130%くらいに落ち着くのであれば、円建ての保険とあまり返戻率が変わらなくなることから、わざわざ為替リスクのある外貨建てを選びたいとは私は思いません。
それに個人年金保険料控除の恩恵を最大限受けるためには、年間の保険料が8万円以内のプランをなるべく組むべきなのですが、この保険は最低保険料が月払1万円
(年間12万円)
ですので、4万円分は控除を受けられない部分が発生してしまいます。
そのため個人的にはこちらのページで詳しく記載しているとおり、月払年払タイプの個人年金保険は円建てのほうが好みですが、既述のとおり合う方には合う保険だと思います。
そのため評価をとしました。


長文になりすぎてしまったため割愛しましたが、保険料を円の固定額で払いこむことでドルコスト平均法によりリスク低減も可能ですし、

「子供の学費など出費が重なる時期には、保険料の払込を一旦停止可能」

といったユニークな機能
(詳細は公式サイトの動画で紹介されています)
も加入者にとっては便利だと思います。


以上、参考になれば幸いです。

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