外貨建て終身保険 評価ランキングと解説(平準払)
記事更新日:2019.4.9
評価ランキング
解説
※外貨建て終身保険は、保険料を月払(毎月)や年払(年に1回)で払っていく平準払いタイプと、加入時に一括で払いきってしまう一時払いタイプがありますが、このページでは平準払いタイプについて解説します。 外貨建て一時払い終身保険はこちらのページを参照願います。 外貨建て終身保険 は、保険料の払込や運用、保険金の受取などを、米ドルや豪ドルなどの外貨で行う終身保険です。 といっても、実際には保険会社が為替取引 (円 ⇔ 外貨の交換取引) も行っており、加入者は円で払込・受取ともに可能になっていることがほとんどです。 なお「外貨建て」と記載がない保険は「円建て」です。 特徴は何と言っても円建ての保険と比較して高利率であることです。 円建ての保険は、保険会社が保険料の運用に超長期の日本国債を主に利用しています。しかし財務省のページのとおり日本国債は低金利化が進み、近年は30~40年ものの超長期国債でも利回りが1%未満となっています。そのため円建ての終身保険は資産運用力がほぼなくなってしまっています。 一方、外貨建ての保険は、保険料の運用に外国債を主に利用します。米ドル建ての保険であれば米国債、豪ドル建てであれば豪国債です。どちらも日本国債と比べれば利回りがよいため、必然的に外貨建て保険は資産運用力が高くなっています。 では実際に、米ドル建て終身保険の中では運用利率が最上位クラスの オリックス生命のキャンドル の参考プランを見ていきます。 為替は1ドル100円として記載します。 ◆参考プラン これは30歳男性が加入して、保険料を60歳まで毎月116.5ドル(11,650円)ずつ払っていくプランです。保険料は途中で上がることはありません。 保険期間は終身(一生涯)なので、加入後はいつ亡くなってしまったとしても遺族が保険金10万ドル(1,000万円)を受け取れます。 また一般的には高度障害状態となってしまった場合にも保険金を受け取れます。ただし高度障害に該当して保険金を既に受け取っている場合は、死亡時に再度受け取ることはできません。 解約した場合は解約返戻金を受け取れます。参考プラン時の解約年齢別の解約返戻金は下の表のとおりです。60歳以降に解約した場合、払った保険料を上回る解約返戻金を受け取れるため利益が生じます。資産運用にも使えるというのはこれが理由です。 |
解約 年齢 |
払込保険料 累計額① |
解約返戻金 ② |
返戻率 ②÷① |
60歳 | 41,940ドル | 59,004ドル | 約140.6% |
70歳 | 〃 | 70,486ドル | 約168.0% |
円建ての終身保険で似たようなプランを組んだ場合はこちらのページのとおり、60歳解約時で92%、80歳時でも99%でしたので、それと比較すれば高運用です。 けれど結論を言ってしまうと、個人的には魅力的な資産運用力だとは思いません。 この参考プランの運用利率を計算すると2%程度。円建てよりは高金利ですが特別高い数字ではありませんし、 資産運用方法のまとめページ のとおり、総合的にみてやはりiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAのほうが有利だと思います。 この保険は保険会社が破綻しない限り、60歳まで保険料を払い込んで解約すれば加入時に約束された額の解約返戻金を受け取れますので固定金利です。iDeCoやNISAで運用商品に投資信託を選択した時は変動金利ですので、固定金利である点はメリットと言えます。けれどこの保険は低解約返戻金型のため、60歳までに保険料の支払いが厳しくなってしまい解約したり払済保険に変更した時には大きく赤字になってしまいます。 個人的には固定金利のメリットよりも、このデメリットのほうが遥かに大きいと思います。 また終身保険の場合は、iDeCoやNISAにはない 死亡保障 (亡くなってしまった時には遺族が大金を受け取れる機能) がありますが、それでも資産運用力の低さや低解約返戻金型のデメリットを埋めるほどのメリットとは思いません。 死亡保障は掛け捨ての安価な死亡保険 (収入保障保険や定期保険) が次々登場していますので、それらに任せれば十分だと思います。 そのため厳しいようですが、評価を全社に以下としています。 (例外的にマニュライフ生命だけは保障面が優れているためとしています。詳しくは評価ページを参照願います。) 長くなりましたが、よかったら参考にしてもらえればと思います。 |