終身保険で相続対策2 生前贈与を利用した節税方法
記事作成日:2018.8.1
生前贈与の懸念点
さて続いては 生前贈与を利用した相続税の節税方法 についてみていきたい。 |
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ういす。生前贈与(せいぜんぞうよ)って? | |
生きているうちに子や孫などに財産を贈与すること。そうすれば自分の財産が減るので相続税の節税になる。1番ベタな方法は、毎年110万円ずつ財産を渡していく方法。年間110万円までなら贈与税が非課税だからね。 | |
あー、その方法は聞いたことあるなあ。 | |
まあ超有名だよね。そしてなんだかんだ言って1番手軽だし有効な手段だと思う。ただしこの方法には大きな欠点というか懸念材料があるんだ。 | |
なんだろ?税務署に贈与と認められなくて課税されちゃうとか? | |
よく知ってるね。 もちろんそれも懸念材料ではある。けれど20歳以上の子や孫に対しての贈与であれば、毎年きちんと贈与契約書を作成しておけば通常は認められるので大丈夫。 危ないのは未成年の子や孫に対しての贈与。 ・祖父が勝手に孫名義の銀行口座を作成し、その口座に毎年110万円を振り込んでいたものの、その口座のキャッシュカードや印鑑を孫が持っていない。 などを行うと、贈与と認められず名義預金 (孫名義の口座残高は実質的には祖父のお金) と判断され、相続税を追加で課税されかねない。 |
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うーん、じゃあどうすればいいんだろう。 | |
これも実は簡単な解決策がある。 上の例の場合であれば、孫名義でジュニアNISA口座を作成し、祖父がその口座に運用資金を振り込めばいいんだ。一般的にジュニアNISA口座への直接振込はできないので、結局のところ中継ポイントとなる孫名義の銀行口座などに振り込むことにはなるけど、ジュニアNISAはそもそも祖父母からの生前贈与を促進したいという目的もあって作成された制度なので、そのお金をジュニアNISAの運用に充てれば当然に名義預金と判断されることはない。 ただしジュニアNISAは毎年80万円までしか利用できないので、贈与も80万円までしかできないけどね。 |
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なるほど。じゃあ生前贈与の懸念点ってなんだろ? | |
これは贈与する側の立場になって考えてみるとわかりやすい。例えば祖父母が20歳くらいの孫に毎年110万円を贈与するとしたら、何を懸念する? | |
なるほど、無駄遣いだ…。20歳にとって110万円は大金すぎるもん…。 | |
そうだね。ちなみに小学生のショウ君にとっては? | |
いやもう、震えるくらいの大金です。先生にとっては? | |
いやもう、震えるくらいの大金だよ。「はした金だよ」と言えるようになりたいもんだね。 で話を戻すけど、保険を使えば無駄遣いを防ぐことができるんだ。 もちろん無駄遣い防止でなくとも、豪華な葬式をあげてほしいケースや多額の相続税納税資金が必要になりそうなケースなど、自分が亡くなった後にまとまったお金が必要になりそうな場合も有効なんだ。 その方法を詳しくみていくよ。 |
相続発生後にまとまったお金を受け取れるようにするための一時払い終身保険
◆家族構成 例えば上記の家族の状況でAさんが亡くなってしまった時、財産を相続する相続人Bさんが納めなければいけない相続税額は、下の表のように2,860万円の予定である。 |
相続財産 (合計1億5,500万円) |
基礎控除額 ウ |
死亡保険金の 非課税限度額 エ |
イのうち エを超過した額 オ |
課税遺産総額 ア+オ-ウ |
相続税額 | |
自宅 ア |
死亡保険金 イ |
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1億5,000万円 | 500万円 | 3,600万円 | 500万円 | 0円 | 1億1,400万円 | 2,860万円 |
なるほど、相続税を2,860万円も納めなければいけなくなるのは大変だね。死亡保険金500万円を受け取っても、まだあと2,360万円も必要か・・・。 | |
そうだね。 相続税は現金一括納付が原則。Bさんにそんな納税資金がないことを知っているAさんは、相続税を払えるかどうか心配している。最悪は自宅を売ればいいものの、相続税納付期限まで (亡くなってから10ヵ月以内) に売却しようとすると売り急ぎしないといけないかもしれないので、できれば自宅を売らなくても払えるようにしてあげたい。 しかもAさんは夫が加入してくれていた個人年金保険からの収入が大きいため、毎年300万円程度は余裕資金がある。このままでは相続財産が更に増えていってしまう。 |
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なるほど、それで生前贈与を検討することにしたわけだね。 | |
そうだね。 この場合であれば、例えば下記のような一時払い終身保険に毎年加入するのが有効だ。 契約者(保険料負担者):Bさん |
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ん?毎年!? それに契約者(保険料負担者)がAさんでなくBさん!? なんでBさんが払うの?こりゃ間違いかな? |
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いやいや、間違いじゃないんだ。こうすればいいんだ。 Aさんが毎年Bさんに310万円を生前贈与する※ ↓ Bさんはこの際にかかる贈与税20万円を毎年納税する ↓ Bさんは残った290万円で一時払い終身保険に毎年加入する ※毎年310万円の贈与は、贈与税率が10%で済む範囲の上限額のため、相続税率が10%を超える見込みの場合によく利用されます。 |
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なるほど、そうするとどうなるんだろう? | |
例えば、これを毎年繰り返すこと10年、Aさんが85歳でもしも亡くなってしまった場合。Bさんは 死亡保険金290万円×10契約=2,900万円 を受け取れる。 元々Aさんが契約者で加入していた一時払い終身保険からも死亡保険金500万円を受け取れるので、Bさんは合計で3,400万円を受け取れる。しかも保険金はAさんが亡くなってしまってから通常は1週間以内には受け取れるので、そのお金を葬式代や身辺整理、相続税の納税資金などに即座に活用することができるわけだ。 |
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なるほど。これでAさんの財産が増えて相続税が増加することも防ぎつつ、Bさんの相続税納税資金も確保できたわけだね。それに毎年お金を贈与される度に、すぐに保険の加入に使ってしまうから、無駄遣いも当然できないわけか。 Bさんは保険金を3,400万円も受け取っているけど、この時に税金はかからないの? |
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今回は以下のとおりかからない。 |
契約者(保険料負担者):Aさん 被保険者:Aさん 保険金受取人:Bさん という組み合わせの一時払い終身保険 |
契約者(保険料負担者):Bさん 被保険者:Aさん 保険金受取人:Bさん という組み合わせの一時払い終身保険 |
↓ Bさんが保険金を受け取る時には 相続税がかかる可能性あり ↓ 保険金-500万円×法定相続人の数 ≦ 0円 であれば非課税 ↓ 今回は 500万円-500万円×1 ≦ 0円 となるため非課税 |
↓ Bさんが保険金を受け取る時には 所得税(一時所得)がかかる可能性あり ↓ 保険金総額-保険料総額-50万円 ≦ 0円 であれば非課税 ↓ 今回は 2,900万円-2,900万円-50万円 ≦ 0円 となるため非課税 |
近年は一時払い終身保険の利率が0に近いくらいまで低下しているため、受け取る保険金総額と払った保険料総額があまり変わらないケースが多くなっている。つまりほとんど利益が出なくなっている。なので上の表の右側の所得税(一時所得)パターンのほうは、今後は非課税か、税金がかかっても少額というケースが多くなっていくと思う。 | |
そうなんだ、ラッキーだね。 | |
いやこれはむしろアンラッキーだよ。デメリットとも言える。 なぜなら非課税となるくらいに利益がほとんど出ない資産運用方法に、毎年290万円も投資するということだからね。なので今回の例でいえば、この方法を7~8年間くらい繰り返し、死亡保険金額が合計で2,000万円を超えて相続税の納税資金に目途がついたら、それ以降はもっと高リターンを狙える資産運用方法 (こちらのページで取り上げている商品など) に、毎年290万円を投資していったほうがよいと思う。 もちろん運用に自信のある方であれば、もっと早い段階からそのような商品への投資も組み入れていってよいと思う。 |
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なるほど。 | |
一時払い終身保険を使った生前贈与についてはこのあたりまでで。 次のぺージでは相続対策として節税目的以外で生命保険を活用する方法についてみていくよ。 |