【医療保険と帝王切開】通常分娩と帝王切開の出産費用
記事更新日:2018.7.5
通常分娩時の自己負担は39万円
厚生労働省の資料によると、通常分娩時の費用総額は平均で39万円くらいとなっている。通常分娩時の費用は健康保険適用外なので全額自己負担だ。 | |
自己負担で39万円!?大変なんだなあ・・・。 | |
そうだね。 けれど原則42万円の出産育児一時金を誰でも受け取れるので、実質的には 「普通はほぼ無料」 になる。 |
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そうなんだ。まあ子供はこれからの日本を支える宝なんだから、出産費用なんて負担させてちゃダメだよね。 ところで「普通はほぼ無料」っていうのはどういうこと?普通じゃない時なんてあるの? |
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ああ。例えば出産が深夜の時間帯になったりすると割増料金がかかったりするんだ。 | |
そうなんだ・・・。先生の子供の時はどうだったの? | |
うちは1番上の子がまさにその割増料金だったんだ。 子供は3人とも通常分娩だったんだけど、費用は3人でだいぶ差があった。 下2人は埼玉の田舎の病院だったからちょうど39万円くらいだったけど、1番上の子は都内の個人病院で年末の深夜に産まれて正月にかけて入院してたから、だいぶ割増料金が上乗せされて51万円くらいかかったなあ・・・。 先生や看護士さん達も深夜まで本当に頑張ってくれたから、料金が割増されたことに全く不満はないけどね。産婦人科は本当に大変な仕事だなあと思ったよ。 |
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確かに、命の誕生を司っているような感じだもんね! | |
そうだね。大げさだけど神に近い存在だなあと思ったよ。それに比べるとIT企業勤めの自分なんか価値のない存在だなと思うよ・・・。 | |
まあまあ。 けど51万円もかかっちゃったなら、出産育児一時金の42万円だけじゃだいぶ不足しちゃったってことだね? |
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いや、実は私が加入している健康保険組合は独自給付金が9万円支給されるので、結局トントンになったんだ。 | |
そうなんだ、よかったね! | |
そうだね。続いて帝王切開時の費用をみていくよ。 |
帝王切開時の自己負担額は通常分娩よりも安くなる?
帝王切開時の費用は状況によってだいぶ差が出てくるけど、だいたい55~80万円くらいのケースが多い。 | |
うーん、やっぱり手術代とかもあるから通常分娩の時より高くなっちゃうんだね。 | |
そうだね。けどこの金額はあくまで病院側が受け取る総額だ。 通常分娩の時は 病院側が受け取る総額=妊婦側の自己負担額 だったけど、帝王切開の時は通常分娩と違い、一部は健康保険適用となり健康保険が費用を負担してくれるので、妊婦側の自己負担額は通常分娩よりもむしろ安くなるケースが多いそうなんだ。 |
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そうなんだ!? 一部は健康保険適用ってあるけど、一部って具体的に何? |
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帝王切開手術料と入院基本料だ。 入院基本料は診察料、看護料、大部屋使用料などを含んだ料金だ。食事代は含まれていないので、言葉は悪いけど 「診察付きの素泊まり料」 と考えてもらうとわかりやすいかもしれない。 |
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なるほど。つまり通常分娩だったら全額自己負担になる素泊まり料が、帝王切開の時は健康保険適用で3割負担で済むようになるってことかな? | |
そういうこと。 例えば帝王切開で出産し、10日入院して退院した場合は下記のとおり。 健康保険が適用されるものは、厚生労働省が点数制で価格を定めてしまっているので、どの病院でも料金は同じになっている。 |
項目 | 点数 | 負担額の内訳 | ||
総額 (病院が受取る額) |
自己負担分 (3割) |
健康保険負担分 (7割) |
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帝王切開 手術料 |
20,140点 (※1) |
201,400円 | 60,420円 | 140,980円 |
入院基本料 (10日分) |
17,500点 (※2) |
175,000円 | 52,500円 | 122,500円 |
合計 | 37,640点 | 376,400円 | 112,920円 ↓ 81,194円 (高額療養費制度適用後) |
263,480円 ↓ 295,206円 (高額療養費制度適用後) |
※1 厚生労働省の資料の127ページより。
※2 厚生労働省の資料の1ページより。一般病棟入院基本料 1日につき1,750点(10対1入院基本料1,300点+入院期間14日以内加算450点)
なるほど、健康保険が30万円近くも負担してくれるわけか! | |
そう、健康保険は本当にすごいと思う。これだけ負担してくれるため、自己負担額は通常分娩よりも低くなってしまうことが多いらしい。その上、帝王切開で出産した時は前ページのような医療保険に加入していれば給付金も受け取れる。整理すると以下のとおり。 |
通常分娩 | 帝王切開 | |
入院日数 | 5日前後 | 10日前後 |
入院基本料 (診察料・看護料・大部屋使用料) |
全額自己負担 | 3割負担 |
帝王切開手術料 | - | 3割負担 |
新生児保育料・検査料 | 全額自己負担 | |
食事代 | 全額自己負担 | |
少人数部屋使用料 (=差額ベッド代) |
大部屋との差額が自己負担 | |
費用総額 (病院側が受け取る総額) |
39万円程度 | 55~80万円程度 |
自己負担額① | 39万円程度 | 30~45万円程度 |
健康保険負担額 | - | 25~35万円程度 |
医療保険から受け取れる給付金② | - | 20万円(※) |
出産育児一時金③ | 42万円 | |
差引額 (②+③)-① |
+3万円程度 | +17~32万円程度 |
※都道府県民共済の入院保障2型で「手術給付金+入院給付金10日分」が給付された時
なるほど、差引額をみると黒字になってるね。 特に帝王切開のほうは大きく黒字だね。 |
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計算上はね。 実際には夜間や早朝の出産になって割増料金が発生するケースは多いし、産婦人科は少人数部屋や個室の割合が多く差額ベッド代が発生するケースも多いので、それほど大きく黒字にはなかなかならないと思う。 それに何より私も男性なので、女性にとっては体の負担の大きい帝王切開を 「帝王切開のほうが黒字額が大きい」 と軽々しくは言えない。ちょっとうまく言えないけど、黒字額が大きいこと以上に負担も大きいだろうから・・・。 |
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なるほど。 | |
今回の話はここまで。ここまで読んでくれてありがとう。 | |
お疲れさまでした~ |