変額保険とは?変額保険の種類は?
記事作成日:2018.1.21
変額保険とは?
このコーナーでは変額保険(へんがくほけん)についてみていくよ。 まずは「変額保険とはなんなのか?」から。 |
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ういす。「変額」っていうくらいだから何かが変額するわけだよね?なんだろ? | |
そうだね。わかりやすくするために、まずは変額ではない保険についてみていくよ。 例えば下記のような契約の終身保険があったとする。 ◆とある終身保険 被保険者:35歳男性のAさん |
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えーとこれは、Aさんがいつ亡くなってしまったとしても、保険金1,000万円を遺族が受け取れるという契約だね。 | |
そうだね。 この終身保険の場合、保険金の金額は契約時に1,000万円と定められている。 つまり定額だ。 なのでこの終身保険は正確には定額終身保険と呼ばれるものになる。 定額終身保険 ⇒ 保険金が定額 |
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ん?もしかしてそう言うってことは、変額終身保険は保険金が定額じゃないってこと? | |
そういうこと。 |
終身保険 | |
保険金が定額 ↓ 定額終身保険 |
保険金が変額(※1) ↓ 変額終身保険(※2) |
※1 保険金だけでなく解約返戻金も変額します。詳しくは変額終身保険のページで解説します。
※2 変額保険(終身型)とも呼ばれます。
保険金が変額ってことは、増えたり減ったりするってこと? | |
そうだね。 | |
怖くないそんなの?というかなんで変額するわけ? |
変額保険はなぜ変額するか?
なぜ変額保険の場合は保険金や解約返戻金が変額するか? それは保険料の運用方法に理由があるんだ。 ショウくん、普通の定額保険の場合、加入者から受け取った保険料を保険会社は主に何で運用しているんだっけ? |
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えーと、国債(日本国債)じゃなかったっけ? | |
そうだね。 保険会社はたくさんの人から集めた保険料を主に国債で運用している。この運用のことを一般勘定と呼んで管理している。国債には色々な種類があるけど、保険会社が主に購入しているのは償還期間(運用期間)が10年以上の長期国債や超長期国債と呼ばれるものだ。 国債はそれこそ日本という国が崩壊しない限りは購入時に決められている利子を必ず受け取れるから、最も安全かつ確実な運用手段と言えるからね。 |
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なるほど。 ということは、決められた利子(定額の利子)を受け取れる国債で保険料を運用すれば、自然と保険金も定額になる・・・ ってことかな? |
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そうだね。 |
定額保険 |
↓ 保険料は保険会社が主に長期国債で運用している(=一般勘定) ↓ 長期国債は利子が定額 ↓ 保険金も自然と定額になる |
なるほど。 ということは、変額保険は長期国債で運用しているわけじゃないと? |
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そうだね。 | |
何で運用しているの? | |
それは加入者が選べるようになっている(※)んだ。 例えば某社の変額保険の場合は下記の5つの中から選ぶようになっている。 ①日本の株式に投資する株式投資信託 ※選べない保険もあります。 |
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株式投資信託って、すごく増える可能性もあれば元本割れすることもあるハイリスクハイリターンなものだったよね?定額の利子を受け取れる国債とはまるで逆だよね。 加入者によって何を選ぶかは違ってくるだろうし、選べるものの中にはハイリスクハイリターンな株式投資信託もあるってことは、 加入者によって運用成績も大きく変わってくるってことか。 |
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そうだね。 運用成績が変わってくれば保険金も変わってくる。そのため変額保険の運用状況は特別勘定という加入者ごとの勘定で管理されるようになっている。 |
定額保険 |
↓ 保険料は保険会社が主に長期国債で運用している(=一般勘定) ↓ 長期国債は利子が定額 ↓ 保険金も自然と定額になる |
変額保険 |
↓ 保険料は加入者が選んだ運用方法で運用される(=特別勘定) ↓ 選べるものの中にはハイリスクハイリターンな株式投資信託もある ↓ 運用成績が加入者によって大きく変わってくる ↓ 保険金も自然と変額になる |
なるほど。 ん? 世界の株式に投資する株式投資信託って先生は推奨していなかったっけ? 米国株を中心とする世界の株式は長期で見ると右肩上がりで値上がりしていっているから、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAで長期間運用する予定なら、米国株中心の株式投資信託(インデックスファンド)で運用すべきって言ってたような? |
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そうだね。 米国株中心のインデックスファンドは、10年以上の長期で運用すれば元本割れする可能性はとても低いし、年利で言えば5~6%は十分に期待できる。 一方の国債は、40年ものの超長期国債でもこちらのページのとおり近年は1%程度だ。 |
定額保険 |
↓ 保険料の運用は主に長期国債。 ↓ 長期国債の年利は、最も高い40年ものの超長期国債でも近年は1%程度。 |
変額保険 |
↓ 保険料の運用方法は加入者が選ぶ。 ↓ 選べるものの中には米国株を中心とした世界の株式に投資できる株式投資信託もある。 ↓ 米国株中心のインデックスファンドは長期的に見れば年利5~6%は十分に期待できる。 |
ん? ってことは、長期国債で運用している定額保険よりも、変額保険のほうが有利なんじゃ? |
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そうだね。 一概に有利とは言い切れない部分もあるけど、メリットはたしかに多い。 |
変額保険のメリット1 保険料が一般的に安い
まず第一に保険会社も、 株式投資信託で保険料を運用すれば、長期国債で運用するよりも高運用が見込める ということはよくわかっている。 なのでそれを見越して、一般的に定額保険よりも予定利率が高く設定されている。予定利率は言わば保険料の割引率だ。よって予定利率が高く設定されているということは、保険料は安く設定されているというわけだ。 |
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なるほど。 |
変額保険のメリット2 インフレに強い
変額保険加入者の多くは、高運用が見込める株式投資信託を選択しているそうだ。そしてこの株式投資信託は一般的にインフレに強い。世の中がインフレになればなるほど、株価も一般的に上昇するからだ。 | |
なるほど。なんかいいことばかりな気がするけど・・・ | |
いや、もちろんデメリットもある。 |
変額保険のデメリット 純粋な投資信託と比較すると資産運用力は低い
変額保険は、資産運用目的 (つまりお金を増やしたいという目的) で加入される方も多い。 銀行も預金額の多い顧客に対して 「変額保険で資産運用しませんか?」 と、よく誘ってくると聞く。 けれど一般的に資産運用力は変額保険よりも純粋な投資信託のほうが優れている。 なぜなら変額保険は下の表のように、純粋な投資信託と比べて手数料が多くかかるので、その分だけ運用成績が低下しやすいんだ。 |
変額保険で運用方法に 株式投資信託 (インデックスファンド) を選択した場合 |
自分で証券会社の口座を開設し 株式投資信託 (インデックスファンド) を購入した場合 |
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契約時手数料 | かかるものが ほとんど |
ノーロード(手数料無料) のものがほとんど |
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運用中の 手数料 |
投資信託の運用に要する 手数料(信託報酬など) |
かかる | |
保障に要する費用など | かかる | かからない |
例えば契約時にどちらも1,000万円を払ったとする。 ネット証券会社 (SBI証券、楽天証券、マネックス証券など) でインデックスファンドを購入する時は、今やノーロード(買付手数料無料)が当たり前なので、1,000万円がすべて運用され始める。 ところが変額保険のほうは契約時に手数料がかなりかかる。 例えば契約時に保険料をまとめて払いきってしまう一時払いの変額保険の場合、払った保険料の約3~10%が契約時手数料として差し引かれてしまうことが多い。 |
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ってことは、1,000万円払っても、保険会社が30~100万円は手数料として持っていってしまうから、運用されはじめるのは900~970万円程度ってことか。 なんかスタートでいきなり間違って後ろ向きに走っちゃって出遅れる感じだね。 |
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そうだね。他にもメリットデメリットはあるんだけど、それについては後々のページで。 |
変額保険の種類
変額保険は主に3つのタイプが販売されている。 1つは先ほどの変額終身保険。 残る2つは変額保険(有期型)と変額個人年金保険だ。 |
変額保険 | 変額終身保険 |
変額保険(有期型) | |
変額個人年金保険 |
なお、保険金が定額の終身保険のことを定額終身保険とは一般的に呼ばない。 なので単に「終身保険」と書いてあれば定額終身保険だと判断してほしい。 同じく個人年金保険も、単に「個人年金保険」と書いてあれば定額個人年金保険だと判断してほしい。 |
終身保険 | |
保険金が定額 | 保険金が変額 |
↓ 定額終身保険 ↓ 単に 終身保険 と記載される |
↓ 変額終身保険 ↓ 変額終身保険 や 変額保険(終身型) と記載される |
個人年金保険 | |
将来受け取る 年金が定額 |
将来受け取る 年金が変額 |
↓ 定額個人年金保険 ↓ 単に 個人年金保険 と記載される |
↓ 変額個人年金保険 ↓ 変額個人年金保険 と記載される |
なるほど。 | |
次のページからはこの3つの変額保険について詳しく見ていくよ。 |