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大腸がん対策1 予防も早期発見も大腸内視鏡検査が有効

記事更新日:2015.12.26

大腸がんの5年生存率は他のガンと比べてかなり高い

次は大腸がん。2014年の統計では、男性は3番目、女性は1番亡くなってしまった方が多いのがこのガンだ。しかも年々発症者が増えていて、男性2位の胃がんを近い将来には追い越すと言われているようなんだ。
うーん、ってことは対策が超必須ってことか。でもなんで発症者が増えているの?
食生活の欧米化が原因と言われている。それに肺ガンや胃ガンは、喫煙者やピロリ菌感染者の減少によって発症者も減少が見込まれているのに対し、大腸がんは減少する要素が乏しいのも要因だと思う。
ということで大腸がんを詳しく見ていくよ。


予防
できるといえばできるが・・・
早期発見の可否
可能といえば可能だが・・・
早期発見時の5年生存率
1期はほぼ100%


おお~。早期発見時の5年生存率はかなりいいね!
そうだね。大腸がんは悪性度が低いためとても治りやすいガンなんだ。統計機関によって数値にバラつきはあるけれど、下記の全がん協の5年生存率統計では2期で85%、3期でも76%ととても高い数値になっている。進行ガンと宣告されても希望を大きく持てる数値だと思う。


◆5年生存率の比較
早期ガン 進行ガン
1期 2期 3期 4期
大腸ガン 98.7% 85.3% 76.2% 15.0%
胃ガン 97.0% 68.0% 44.6% 7.5%
肺ガン 80.4% 41.4% 21.4% 4.9%


なるほど。胃ガンや肺ガンと比べると一目瞭然だね。
けどこれだけ治りやすいのに亡くなってしまう方が増えているのはなぜなんだろう?予防と早期発見の可否が
「できるといえばできるが・・・」
「可能といえば可能だが・・・」
って、なんかハッキリしない感じになってるけど・・・。
そうなんだ。まずは予防から。


大腸がんの原因の90%以上は大腸ポリープ

大腸ガンは、大量飲酒肥満喫煙などが発症率を高めると言われている。なのでこれらを控えることで、発症率がある程度低下するのは間違いないと思う。けれど胃ガン予防のピロリ菌除菌肝臓ガン予防の肝炎ウイルス治療ほどの劇的な予防効果は望めないと思う。
うーん、もっとじゃあ決定的な予防策ってないのかな?
あるんだ。まずショウ君、ポリープってなんだかわかる?
ああ、たしかお父さんが、
「人間ドックでポリープがあるって言われた」
と言っていたような・・・。でもよくわからないなあ。
ポリープは簡単に言ってしまうと「できもの」や「イボ」だ。
それってヤバいの?
危険なものと危険でないものがあるんだ。ポリープは大きく分けて良性悪性の2つに分けられる。そして悪性のポリープはいわゆるガンなんだ。


ポリープ
良性 悪性(ガン)
現時点では命の危険性はない 早急に治療しなければ命の危険性あり


なるほど。じゃあお父さんは特に治療してた様子がなかったから良性だったのかな?
たぶんそうだと思う。ポリープが見つかった場合は良性か悪性かを詳しく調べ、悪性だった場合
(つまりガンだった場合)
は即治療が必要になる。
なるほど。じゃあ良性だったら何もしなくてOKなんだね?
いや、良性であっても治療をしたほうがいいこともあるんだ。
なんで?
良性のポリープの中には、悪性に変化する(ガン化する)可能性があるものがあるからなんだ。


ポリープ
良性 悪性(ガン)
ガン化する可能性なし ガン化する可能性あり

治療の必要なし

予防のために治療をした
ほうがいいケースあり

早急に治療しなければ
命の危険性あり


なるほど、ガン化する可能性があるなんて怖いなあ。
そうだね。そして大腸ガンの90%以上は、まさにその良性ポリープがガン化して発症しているんだ。


大腸ガンの90%以上

良性ポリープがガン化して発症


残りの10%以下

良性ポリープを経ずに発症
De novoガン(デノボ。初めからの意。)と言われる

マジか・・・。
でもさ、ということは、ガン化する可能性がある良性ポリープが見つかり次第、すべてその時点で切除していけば、大腸ガンの発症者が大幅に減るんじゃ?
そうなんだ。 実際にアメリカで行われた研究では、それを行った場合は大腸ガンの発症率が90%以上低下したらしい。つまり90%以上は予防できたらしい。
なんだ。じゃあ大腸ガンの予防はもう結論が出たね!


「大腸ガンは、ガン化する可能性がある良性ポリープを見つけ次第切除することで、90%以上の予防が可能。」


ヨシ、OK!
それはそうなんだけど、文章で書くのは簡単だけどいざそれを実行するのはとても大変なんだ。


便潜血検査は精度が低く、ポリープや早期がんの発見には効果的ではない。

まずショウ君、大腸って何のためにある臓器かわかる?
「う●こ」を作る臓器でしょ?
そうだね。
「う●こ」じゃ言いにくいから、ここからは便って言うね。
大腸ガン検診では、その便の中の血液反応を調べる便潜血検査が広く行われている。採便して提出するだけだし費用も2~3,000円程度なので、経済的にも身体的にも負担が少ない検査だ。
(便秘気味の妻はとても大変だと言っていますが・・・)
いわゆる検便ってやつだね。
そうだね。ところがこの便潜血検査は下記のとおり精度が高いとは言えないんだ。


◆便潜血検査の精度
陽性となった人に実際にガンが見つかる割合
3%程度 ⇒ 97%はガンではない
陽性となった人に良性ポリープが見つかる割合
30%程度
陰性となった人に良性ポリープが見つかる割合
30%程度 ⇒ 陽性時と変わらない
早期がん患者が受診した場合
陽性率50%程度 ⇒ 50%は見逃してしまう
進行ガン患者が受診した場合
陽性率80%程度 ⇒ 20%は見逃してしまう


なるほど。陽性の人でも陰性の人でも良性ポリープが見つかる割合は同じ30%ってことは、便潜血検査はポリープの発見には何も効果がないってことか。
それに早期がんでも50%は陰性となって見逃してしまうのも問題だなあ。
そうだね。先述したとおり、大腸ガンは進行ガンであっても治癒率が高い。便潜血検査は進行ガンであれば陽性率80%(80%は発見可能)なので、何も検査を受けていないよりは良いとは思うけど、

「ガン化する可能性がある良性ポリープを見つける」
「早期がんを見つける」

という目的には効果的とは言えないんだ。
じゃあどうすればいいわけ?
大腸内視鏡検査を受ければいいんだ。これは文字通り、大腸を内視鏡で直接見る検査だ。精度は便潜血検査と比較して圧倒的に高いし、ポリープを見つけたらその場でそのポリープが悪性か良性かなどを調べ、切除することもできる。


大腸内視鏡検査中にポリープを発見
ガン化する
可能性のない
ポリープ
(過形成ポリープ

炎症性ポリープ)
と診断

放置
ガン化する可能性のあるポリープ(腺腫)であることを確認

拡大したり光の波長を変えるなどし、良性か悪性か
(ガン化しているかどうか)を詳しく調べる
良性と診断

大きさなどから、ガン化する可能性が
小さいか大きいかを調べる(※1)
悪性(ガン)と診断

内視鏡で切除可能か?
可能性

切除 or 様子見
可能性

切除 or 様子見
(切除が一般的)
可能

切除
(※2)
不可

後日開腹手術へ

※1 ガン化する可能性は腺腫(せんしゅ)が大きければ大きいほど高くなります。具体的には5mm未満の腺腫ではガン細胞を含む確率が1%未満、5~9mmでは7%、10~19mmでは25%、20mm以上では36%だそうです。
※2 大腸の粘膜には神経がないため、ポリープや早期ガンを内視鏡で切除時に痛みは無いとのことです。


へえすごいなあ。大腸内視鏡検査は、予防、早期発見、治療の3つがまとめてできてしまう感じじゃん!
そうだね。この検査が普及し日本人全員が定期的に受けるようになれば、大げさじゃなく大腸ガンは撲滅できると思う。けれどそれは実現がかなり難しそうなんだ。
なんで?


大腸内視鏡検査は身体的負担が大きい

大腸内視鏡検査の流れは下記のような感じらしい。


検査前日の夕食は消化のいいものを食べる。
決められた時刻(21時など)以降は絶食。

検査当日は朝食を摂らずに病院へ行き、下剤2リットルを2時間かけて飲む。

何度かトイレに行き、便が液体のようになったら検査準備OK。
肛門部分だけ開いている検査用パンツに着替える。


鎮静剤を注射。

肛門に麻酔ゼリーを塗り内視鏡を挿入。

3分程度で内視鏡が大腸の1番奥(盲腸)へ到達。

内視鏡を引き抜きながら大腸内を検査。ポリープの切除などを実施しない場合であれば、検査時間は15~30分程度。

検査後は1時間くらい休み、特に問題なさそうであれば終了。

いやいや、めっちゃ大変そうじゃん!
そうだね。私はこの検査を受けたことがないんだけど、受けたことがある妻や母の話では本当に大変らしいんだ。中でも1番大変だったのが2リットルの下剤。10分毎に150ccずつくらい飲んでいくみたいだけど、これがかなりマズイらしく(※)全然進まなかったらしい。

※2015.12.26追記
スポーツドリンクのような、かなり飲みやすい下剤も登場しているようです。
T様、情報ありがとうございました。
そうなんだ。内視鏡挿入時は痛くないのかな?
挿入時は肛門に塗った麻酔ゼリーのおかげで痛くないらしいけど、内視鏡を大腸の1番奥(盲腸)まで到達させるまでに何度か曲がり角があり、その角を通過する時に痛みがあるらしい。ただ母親の話では医者によってかなり差があるらしく、腕がいい医者の場合はほとんど痛くないらしいけど、腕が悪い医者だと腸が突き破られるんじゃないかという激痛だったこともあるらしい。
うーん、じゃあ医者選びが重要ということか。
そうだね。今はインターネットで口コミがいくらでも検索できるから、評判のいい病院を探して受診したほうがいいと思う。
なるほど。でもいい病院だとしても下剤は必要なんだもんね。これだけ身体的に大変だと普及はたしかに難しそうだね。
そうだね。しかも経済的にもかなり負担が大きいんだ。


大腸内視鏡検査は経済的負担も大きい

大腸内視鏡検査の費用は下記のとおり。


ケース 健康保険適用
(自己負担3割)
になるか?
自己負担費用
自覚症状があったり、健診等の便潜血検査で
陽性(再検査要)となり病院へ

大腸内視鏡検査を受けたが特に異常なしとなった場合
なる 5,000~1万円程度
自覚症状があったり、健診等の便潜血検査で
陽性(再検査要)となり病院へ

ポリープが見つかり、生検(良性か悪性かの診断)
を行うことになった場合
なる 1~2万円程度
(ポリープの数による)
自覚症状があったり、健診等の便潜血検査で
陽性(再検査要)となり病院へ

ポリープが見つかり、その場で内視鏡で切除した場合
なる 2~4万円程度
(ポリープの数による)
健診などで異常を指摘されたわけでも自覚症状がある
わけでもないが、予防目的で自主的に内視鏡検査を受診

特に異常なしとなった場合
ならない 2~3万円程度
健診などで異常を指摘されたわけでも自覚症状がある
わけでもないが、予防目的で自主的に内視鏡検査を受診

ポリープが見つかり、生検(良性か悪性かの診断)
を行うことになった場合
なる 1~2万円程度
(ポリープの数による)
健診などで異常を指摘されたわけでも自覚症状がある
わけでもないが、予防目的で自主的に内視鏡検査を受診

ポリープが見つかり、その場で内視鏡で切除した場合
なる 2~4万円程度
(ポリープの数による)


なるほど。下から3番目の

「健診などで異常を指摘されたわけでも自覚症状があるわけでもないが、予防目的で自主的に大腸内視鏡検査を受けて特に異常なし」

となった場合だと2~3万円もかかるのか、高額だなあ・・・。
そうだね。健康保険適用(自己負担3割)となるのは原則治療を目的とした診療時のみなので、自主的に検査を受けて検査結果も特に異常がない場合は全額自己負担になってしまう。
うーん、これじゃあとても気軽には受けられないよね。
そうだね。ここまで見てきたとおり身体的にも経済的にも負担が大きいので、大腸内視鏡検査が普及して日本人全員が定期的に受診するようになる・・・
というのは、とてもじゃないけど難しいと思う。
たしかになあ。じゃあどうすればいいんだろう?


管理人の結論としては、負担は大きくても大腸内視鏡検査を受けるしかないかと

便潜血検査は身体的にも経済的にも負担が小さいし、楽天Amazonで検査キットも購入できるのでハードルが低い。けれど精度が高いとは言えずポリープや早期ガンの発見にはあまり効果的ではない。
かといって大腸内視鏡検査は、精度は高いけれど身体的負担と経済的負担がとても大きい。

ではどうすればよいか、本当に悩ましい問題だと思う。
私も今回このページを作成するにあたりかなり色々な研究レポートとかを読んで考えたんだけど、結論としてはやっぱり大腸内視鏡検査を受けるしかないのかなと思った。私は来年度は35歳になる年。大腸ガンは40歳付近から増えだすらしいから、四捨五入で40歳になってしまう来年度から定期的にこの検査を受けようと思ってるよ。
そうかあ。ちなみどれくらいの周期で受ける予定なの?
これもかなり調べたんだけど、胃ガンのABC検診のような
「こういう人はこれくらいの周期で内視鏡検査を受けるべき」
という明確なガイドラインが、大腸内視鏡検査にはまだないらしいんだ。
なので
「毎年受けるべき」
と推奨している機関もあれば、
「5年毎に受けるべき」
と推奨している機関もある。
ただ私が調べた限りでは、ポリープ切除歴などがない人の場合は、
3年毎に受けるべき」
という機関が多かったので、3年毎に受診しようと思っているよ。それ以外の年は便潜血検査で済まそうかなと。
なるほど。2~3万円の大腸内視鏡検査を3年に1回ということは、1年あたり1万円くらいか。
そうだね。決して安くはないけど、それで大腸ガンの予防と早期発見ができるなら安いものだと考えることにしたよ。これをケチって進行ガンになってしまったら、3年毎の内視鏡検査より遥かに大変だから・・・。
たしかに、物は考えようだよね!
そうだね。ただ最近は最新の検査方法として、大腸カプセル内視鏡というのが登場しているらしい。


これは口から飲み込むとカプセル内のカメラが大腸内の写真を撮影してくれる。
おお!ということは肛門から内視鏡を挿入しなくていいってことだよね?すごいじゃん!
そうだね。けれど費用がとても高い。健康保険適用(自己負担3割)でも35,000円くらい。自主的な検査(自己負担10割)だと10~12万円くらいかかるんだ。
それに何より、洗腸(下剤)は結局行わなくちゃいけないし、内視鏡と違ってその場でポリープを切除したりできないのも大きなデメリットだと思う。
なるほど、それは大きなマイナスポイントだなあ。カプセル内視鏡で危険なポリープや早期ガンを発見したら、改めて内視鏡手術のために洗腸が必要になるってことだもんね?二度手間だね。
そうだね。でも内視鏡検査を行える医師が不足している今、便潜血検査に代われるのは内視鏡検査よりはカプセル内視鏡のほうが可能性が高いと思う。なのでカプセル内視鏡がそれこそ便潜血検査くらい(2,000円くらい)まで劇的に安価になったらなあ~と期待しているんだ。
なるほど。電子機器(パソコンだったりデジカメだったり)の価格はすごい勢いで安くなっていくから、期待はできるかもだよね!
そうだね。大いに期待しているよ。ということで今回のまとめを。


まとめ

ここまで見てきた内容をまとめると下記のとおり。

・大腸ガンはとても治りやすいガン。
・大腸ガンの90%以上は良性の大腸ポリープがガン化して発症。
・大腸ガンの予防は、ガン化する可能性がある良性ポリープ(腺腫)の切除が有効。
・ガン化する可能性がある良性ポリープ(腺腫)や早期ガンの発見には、大腸内視鏡検査が有効。
・大腸内視鏡検査は腕のいい病院を口コミなどで探して受診することを推奨。
・大腸内視鏡検査は、管理人の個人的意見としては、異常を指摘されたり自覚症状がなくても、40歳付近になったら3年周期で受診することを推奨。

ふむふむ。なんだかんだあったけど、とにかく大腸ガンは労力と費用を少し頑張れば怖くないガンというのがわかって安心したなあ。
そうだね。だいぶ長くなってしまったけど、ここまで読んでくれてありがとう。
お疲れさまでした~

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