東京海上日動あんしん生命「がん診断保険R」 評価

記事作成日:2015.7.20

評価データ

更新タイプ 診断給付金 上皮内がんの
保障
がん診断時に
以後の保険料
払込免除
総合
評価
リンク
主契約 先進
医療
特約
給付
回数
2回目
以降の
給付条件

終身型

定期型

無制限

診断給付金
初回のみ給付

なし
公式サイト
がん保険評価ランキング
本記事作成時の投稿ブログ


どんな保険か?

がん診断保険R
は2015年7月に新発売された保険です。
終身医療保険のメディカルkit Rと同様、

70歳になったらそれまでに払い込んだ保険料が全額戻ってくる

というアピールで販売されています。
この保険がどんな保険なのかを詳しくみていきます。
例えば30歳男性の方が下記のような契約をしたとします。


◆契約例

診断給付金・・・100万円
保険期間、保険料払込期間・・・終身
月払保険料・・・3,074円


これはとてもシンプルな契約で、ガンと診断された場合に100万円を受け取れるというものです。初めて診断された時だけでなく、再発や転移したと診断された場合も同じく100万円を受け取れます。
詳細な給付条件については、
ガン診断給付金の2回目以降の給付条件
を参照してもらえればと思います。


さてこの契約の場合、30歳から70歳まで3,074円を毎月払っていった結果、70歳までに払い込む保険料は約147万円になります。
そして70歳までガンになることなく健康に過ごし、一度もこの保険から給付金を受け取らなかった場合、払った保険料と同額の約147万円健康還付給付金を受け取れることになります。

70歳で健康還付給付金を受け取った後も、毎月の保険料の支払と保障は一生涯続きます。還付給付金は70歳時点のみですし、還付金受取後はいつ解約しても解約返戻金は0円になるので、70歳以降は掛け捨てとなります。


70歳までに給付金を受け取った場合は?

では70歳までに残念ながらガンと診断されてしまい、この保険から診断給付金を受け取り、そして70歳を迎えた場合はどうなるか?
この場合は受取済の診断給付金を差し引いた額の健康還付給付金を受取可能です。

例えば60歳でガンと診断され診断給付金100万円を受け取り、ガンは無事完治。そして70歳を迎えた場合は、

払いこんだ保険料約147万円-受取済の診断給付金100万円=約47万円

となり、約47万円を受け取れることになります。


70歳までに亡くなってしまった場合は?

この保険には死亡保険金(亡くなった時に受け取れるお金)はありませんが、契約のしおり(PDFファイル)31ページ


「被保険者の死亡時に解約返戻金があるときは、解約返戻金と同額の返戻金をお支払します。」


と記載があります。
今回の契約例の場合、60歳時点での解約返戻金は約60万円、69歳時点での解約返戻金は約110万円です。ですのでもしも60歳で亡くなってしまった場合は約60万円、69歳で亡くなってしまった場合は約110万円を受け取れます。
ただしそれまでに診断給付金を受け取っている場合は、受取済の給付金相当額を差し引いた額の解約返戻金を受け取れるとのことです。つまり、診断給付金100万円を受け取った上で69歳までに亡くなってしまった場合は、解約返戻金は無しか、あってもわずかになるとのことです。(※)

※コールセンターに確認済


AIG富士生命のがん保険と比較

ではこの保険が他社と比較してどうなのか?
今回は保障内容がこの保険と同じくシンプルな
AIG富士生命のがんベスト・ゴールドα(アルファ)
と比較してみます。

両者ともに、
「30歳男性、診断給付金100万円」
という条件で比較してみます。


がんベスト・ゴールドα がん診断保険R
被保険者 30歳男性
月払保険料 2,000円 3,074円
保険期間・保険料払込期間 終身
診断給付金 給付金額 100万円
診断給付金 給付回数 無制限(※1) 無制限(※2)
診断給付金2回目以降の給付条件
先進医療特約の更新タイプ 終身型 定期型
ガン診断時の保険料払込免除 あり(無料)
※悪性新生物時のみ
なし
配当 なし

※1 主契約の悪性新生物診断給付金は上皮内ガン診断時は給付されない。
※2 上皮内ガンでの診断給付金は初回のみ給付


上記の表のとおり、がん診断保険Rは
「70歳時に保険料が戻ってくる」
という特則がある分、保険料が高額になっています。
その他の条件面も、がんベスト・ゴールドαのほうが有利な点が多いです。
では具体的に、
「どのようなケースでどのように給付金を受け取れるか?」
を見ていきます。


がんと診断されることなく80歳で亡くなったケース

がんベスト・ゴールドα がん診断保険R
30~80歳間に払い込む保険料 ア 1,200,000 1,844,400
70歳時に受け取る健康還付給付金 イ 0 1,475,520
差引(イ-ア) -1,200,000 -368,880

一度もガンと診断されることなく80歳で亡くなったケースでは、上の表のようになります。
どちらも赤字にはなりますが、がんベストは払った保険料総額120万円がまるまる掛け捨てになってしまうのに対し、がん診断保険Rのほうは37万円くらいの赤字にしかなりません。
ガンにならないほうが幸せなのは言うまでもありませんので、赤字のほうがいいのはもちろんですが、誰だって赤字額は多いよりは少ないほうがいいはずです。
ですのでこのケースではガン診断保険Rのほうが有利です。


50歳でガンと診断され、その後は健康に過ごし80歳で亡くなったケース

がんベスト・ゴールドα がん診断保険R
50歳までに払い込む保険料 ア 480,000 737,760
50~80歳間に払い込む保険料 イ 0(免除) 1,106,640
50歳時に受け取る診断給付金 ウ 1,000,000 1,000,000
70歳時に受け取る健康還付給付金 エ 0 475,520
差引(ウ+エ-ア-イ) +520,000 -368,880

続いては残念ながらガンと診断され、ガン保険から給付金を受け取ったケースを見ていきます。
50歳時にガン(悪性新生物)と診断され給付金100万円を受け取るも、ガンは無事完治。そしてその後は健康に過ごし80歳で亡くなったケースでは、上の表のようになります。

ガンベストのほうは診断時点で以後の保険料の払込が免除になるのが大きく、差引で52万円のプラスになります。
一方のガン診断保険Rは、診断給付金100万円を受け取ってしまうと健康還付給付金が100万円減額されてしまうため、ガンと診断されることなく過ごしたケースと全く同額の約37万円の赤字となります。

ですのでこのケースではがんベスト・ゴールドαのほうが有利です。


その他のケース

がんベスト・ゴールドα がん診断保険R
69歳で亡くなった場合 -94万円 -34万円
80歳で亡くなった場合 -120万円 -37万円
50歳で診断給付金を受け取り、69歳で亡くなった場合 +52万円 -34万円
50歳で診断給付金を受け取り、80歳で亡くなった場合 +52万円 -37万円
75歳で診断給付金を受け取り、80歳で亡くなった場合 -8万円 +63万円
60歳と75歳で診断給付金を受け取り、80歳で亡くなった場合 +128万円 +63万円

その他のケースを見ていきます。
(先ほどの2例も記載しています。数値はすべて概算値)

ケースによって富士生命が有利だったりあんしん生命がよかったり、まさにケースバイケースという感じです。傾向としては、黒字額と赤字額の差が大きいのがガンベスト、小さいのがガン診断保険Rといったところでしょうか。

ただしこれらはインフレを全く考慮しない場合の数値です。
インフレを考慮に入れたケースを見ていきます。


インフレを考慮して検証してみると

この保険は、公式サイトでは


「30歳男性が加入し70歳になったら、それまでに払った保険料147万円が全額戻ってくる


とアピールされていますが、今後の日本が仮にインフレ率1%で推移した場合、70歳時に受け取る147万円は加入時点のお金の価値でいうところの
100万円くらいの価値しかありません
つまり、全額戻ってきません

第二次安倍政権となってからの2~3年で一気に物価が高くなった
(つまりインフレになった)印象がありますが、ここまでのペースではないにしろインフレ率1%くらいで推移していく可能性は十分あると思います。
なのでインフレが全く起きないことを前提とした
「保険料が全額戻ってくる」
というフレーズは、個人的にはどうも違和感があります。

インフレ率1%で推移し続けた場合は下記のとおりとなります。
還付金だけでなく、将来の保険料や診断給付金などもすべてインフレを考慮して計算しています。(値はすべて概算値)


がんベスト・ゴールドα がん診断保険R
インフレ
なし
インフレ
1%
インフレ
なし
インフレ
1%
69歳で亡くなった場合 -94万円 -78万円
(+16万円)
-34万円 -45万円
(-11万円)
80歳で亡くなった場合 -120万円 -95万円
(+25万円)
-37万円 -46万円
(-9万円)
50歳で診断給付金を受け取り
69歳で亡くなった場合
+52万円 +38万円 -34万円 -31万円
50歳で診断給付金を受け取り
80歳で亡くなった場合
-37万円 -32万円
75歳で診断給付金を受け取り
80歳で亡くなった場合
-8万円 -24万円 +63万円 +18万円
60歳と75歳で診断給付金を受け取り
80歳で亡くなった場合
+128万円 +76万円 +63万円 +24万円


注目は上2つの
「69歳で亡くなった場合」と「80歳で亡くなった場合」
です。
カッコ内の数値はインフレなしの場合との差額です。
これを見るとインフレ1%が継続した場合、ガンベストは赤字額が減少していますが、ガン診断保険Rのほうは逆に赤字額が増加しています。

ガン診断保険Rは、保険を使わなかった時に完全掛け捨てになってしまうのを嫌う方をターゲットにしていると思われる保険ですが、インフレになればなるほど還付金の価値が下がっていってしまうため、インフレに弱い保険なのです。


まとめ

ここまで長文に付き合って頂きありがとうございました!
いかがだったでしょうか?

個人的にはこの保険は悪い保険ではないと思います。
保険を使うことにならないのがベストなのはもちろんですが、もしもガンになってしまった時は大きな力になってくれる保険だと思います。再発や転移を繰り返してしまった時は、払った保険料の何倍もの給付金を受け取ることも可能です。

ただそれは、別にこの保険が特別優れているからというわけではなく、各種保険のかんたんな解説と評価でも記載しているとおり
ガン保険という保険がそもそも費用対効果の高い優秀な保険だから
につきると思います。
医療保険、特に終身医療保険では何倍もの給付金を受け取るなんてまず不可能ですから。


ということで、厳しい目で他社のガン保険と比較すると、この保険は個人的には推奨できません。
上記のとおりインフレに弱いというのもありますし、 先進医療特約の更新タイプが定期型(10年更新)となっているのもマイナス点です。こちらで解説しているように、先進医療特約も終身型の保険を選んだほうがよいと思います。そのため評価をにしました。

以上、よかったらガン保険を選ぶ時の参考にしてもらえればと思います。


◆参考リンク

保険の選び方(保険種類別) > がん保険評価ランキング