特定疾病保障保険(終身型)のメリットデメリット

記事作成日:2014.10.17

特定疾病保障保険(終身型)はどんな保険か?

それでは特定疾病保障保険(終身型)のメリットデメリットを見ていくよ。
ういす。
まずは特定疾病保障保険(終身型)がどんな保険かを簡単に。前々ページのあいおい生命の契約例で見ていきたいと思う。

被保険者・・・30歳男性
保険期間・・・終身
保険料払込期間・・・60歳まで
保険金・・・500万円
月払保険料・・・13,085円

これは被保険者がいつ亡くなってしまっても、高度障害状態になってしまっても、三大疾病で所定の状態になってしまっても、保険金500万円を受け取れるという契約だね!
そうだね。
ただし保険金を受け取れるのはどれか1回のみ。例えば下記のようになる。

◆ケース1

50歳でガン(悪性新生物)と診断されるも手術をして無事完治。
その後は健康に過ごし、90歳で老衰で亡くなった場合。

50歳時に保険金500万円を受け取る。それと同時に保険契約が消滅し、以後の保険料の支払はなくなる。よって90歳で亡くなった時には保険金は受け取れない。


◆ケース2

生涯通して健康に過ごし、90歳で老衰で亡くなった場合。

90歳で亡くなった時に、遺族が保険金500万円を受け取る。



保険会社の強調するメリットについて検証1

メリットについては、よく保険会社のパンフレットとかには下記のように記載されている。

① 三大疾病で所定の状態になってしまった時は、保険金を受け取り治療費に充てることができる。

② 三大疾病にならずに亡くなった場合でも、払った保険料以上の保険金を遺族が受け取れるので、掛け捨てではないし損にもならない。

③ 老後に生活費に困った時は、解約して解約返戻金を受け取ることも可能。

なんかいいことづくめって感じだね。
そうだね。ではこれらについて詳しく検証していきたいと思う。
まずは1つめの

① 三大疾病で所定の状態になってしまった時は、保険金を受け取り治療費に充てることができる。

について。先ほどの保険金500万円の契約で加入した30歳男性が、その後に三大疾病で所定の状態になってしまった時に、どれだけ保険が有効か?
発症年齢別に見てみたい。


三大疾病で所定の状態に
なってしまった年齢
それまでに払い
込んだ保険料
受け取る
保険金
損得
40歳 157万円 500万円 +343万円
50歳 314万円 +186万円
60歳 471万円 +29万円
70歳
80歳


なるほど。若いうちに保険金を受け取った場合は大きく得になるけど、老後に受け取った場合はあまり得にはならないんだね。60歳以降の場合、471万円払って500万円受け取るということは、

500÷471=1.061≒約106%

6%しか増えないわけか。
そうだね。老後に三大疾病になってしまった時でも、払った保険料の2倍くらいもらえるのであれば本当に魅力的だと思うけど、残念ながらそういう保険ではないということだね。


保険会社の強調するメリットについて検証2

続けて2つめの

② 三大疾病にならずに亡くなった場合でも、払った保険料以上の保険金を遺族が受け取れるので、掛け捨てではないし損にもならない。

について。同じく先ほどの保険金500万円の契約で加入した30歳男性の方が、三大疾病になることなく亡くなった場合にどうなるか?亡くなってしまった年齢別に見てみたい。


被保険者が亡くなって
しまった年齢
それまでに払い
込んだ保険料
受け取る
保険金
損得
40歳 157万円 500万円 +343万円
50歳 314万円 +186万円
60歳 471万円 +29万円
70歳
80歳


さっきの検証1と同じ結果だね。この結果をどう評価すればいいんだろう?確かに損にはなっていないけど・・・
そうだね。試しに、貯蓄力の高い低解約返戻金型終身保険で保険金500万円の契約をした場合と比較してみたい。

◆AIG富士生命の低解約返戻金型終身保険「E-終身」の契約例
 (保険料は記事作成時点のものです)

被保険者・・・30歳男性
保険期間・・・終身
保険料払込期間・・・60歳まで
保険金・・・500万円
月払保険料・・・9,345円



◆特定疾病保障保険(終身型)と低解約返戻金型終身保険の比較

被保険者が
亡くなって
しまった年齢
それまでに払い込んだ
保険料(万円)
受け取る保険金 損得
特定疾病 低解約終身 特定疾病 低解約終身 特定疾病 低解約終身
40歳 157 112 500 500 +343 +388
50歳 314 224 +186 +276
60歳 471 336 +29 +164
70歳
80歳


なるほど。特定疾病保障保険は、三大疾病で所定の状態になってしまった時に保険金を前倒しで受け取れるというメリットがある分、亡くなってしまった時のプラス額はだいぶ少なくなってしまうんだね。
そうだね。保険は損得だけが全てではないし、低解約返戻金型終身保険は保険料払込期間中に解約した時のペナルティが大きくなっているので一概に比較することはできないけれど、少なくとも保険で長期的な資産運用や財産作りを考えている方には、この特定疾病保障保険(終身型)はあまり向いていないと思う。


保険会社の強調するメリットについて検証3

最後に3つめの

③ 老後に生活費に困った時は、解約して解約返戻金を受け取ることも可能。

について。
では老後に解約した時にいくら解約返戻金を受け取ることが可能か?
先ほどと同じく、特定疾病保障保険と低解約返戻金型終身保険で比較してみたい。


◆特定疾病保障保険(終身型)と低解約返戻金型終身保険の比較

解約年齢 それまでに払い込んだ
保険料(万円)
受け取る解約返戻金 損得
特定疾病 低解約終身 特定疾病 低解約終身 特定疾病 低解約終身
60歳 471 336 428 387 -43 +51
70歳 453 423 -18 +87
80歳 472 439 +1 +103


なるほど、これもだいぶ差があるんだなあ。特定疾病保障保険のほうは80歳でようやく+1万円ということは、70代までは赤字になってしまいそうだね・・・。
そうだね。契約内容次第ではもっと早くから黒字になることもあるだろうけど、多くの場合は赤字になってしまうと思う。
先ほども記載したけれど、保険は利益だけが全てじゃない。けれど保険会社の営業マンなどは、

「老後に生活費に困った時は、解約して解約返戻金を受け取ることも可能!」

というメリットばかりを強調してきて、赤字になりやすいというデメリットを説明しないケースも多いようなんだ。なのでよくメリットデメリットを踏まえて検討するよう注意してほしいと思う。
なるほど。


特定疾病保障保険(終身型)が向いている人は

ここまでの検証結果を踏まえると、特定疾病保障保険(終身型)が向いているのは、個人的には下記のような方だと思う。

・若い現役時代の間に急性心筋梗塞と脳卒中になってしまうことを心配されている方
・掛け捨てはやはり避けたいという方
・遺産を遺してあげたい家族がいる方
・収入や資産の多い方

詳しく詳しく。
まずは1つ目の、
若い現役時代の間に急性心筋梗塞と脳卒中になってしまうことを心配されている方。

この保険は上記の検証1のとおり、若い現役時代の間に三大疾病で所定の状態になってしまった時には大きな力になってくれる保険だ。
けれど三大疾病の備えはそもそも必要か?で詳しくは記載しているとおり、若い現役時代のうちに急性心筋梗塞と脳卒中を発症してしまう方は、喫煙、運動不足、肥満などの危険因子に該当されている方が多い。逆に言えば、これらの危険因子に該当しない方は、この2つの病気を発症してしまう確率は格段に低くなるので、この2つの病気についてはあまり心配をしなくてよいのではと思う。なのでそのような方はガン保険でガンだけに備えればよいのではと個人的には思う。

◆急性心筋梗塞と脳卒中の危険因子に該当してしまっている方
 ⇒ 三大疾病の備えを検討する価値あり

◆急性心筋梗塞と脳卒中の危険因子に該当しない方
 ⇒ ガン保険でガンだけに備えればOK

なるほど。
続いて2つ目の、掛け捨てはやはり避けたいという方。

私が営業マンをやっていた時もそうだったけど、「どうしても掛け捨ては避けたい」という方は実際とても多いんだ。
この保険は、いつ三大疾病で所定の状態になってしまっても、三大疾病になることなく亡くなった場合でも、払った保険料以上の保険金を受け取れるので掛け捨てにはならない。なので「掛け捨ては避けたい」という方には向いていると思う。

とはいえ上記の検証2のとおり、貯蓄力の高い保険(低解約返戻金型終身保険)と比べると資産運用力は大きく劣るし、途中で解約をした時には赤字になりやすい。
それにローン繰り上げ返済 vs 貯蓄型保険で記載のとおり、今現在ローンがある方は、高額な掛け捨てではない保険に加入するよりも、安価な掛け捨ての保険で保険料を抑え浮いた分の資金をローンの繰り上げ返済に充てたほうが、結局のところ得になりやすい。

加入する場合はこれらも考慮の上で加入されるとよいと思う。
なるほど。
続いて3つ目、遺産を遺してあげたい家族がいる方。

これが実はかなり重要だと思う。
この保険は三大疾病になることなく亡くなった場合は、遺族が保険金を受け取ることになる。しかし、独身の方や家族と仲が悪い方など、遺産を遺してあげたい家族がいない場合は、この保険は向かないと思う。
なるほど。
最後の4つ目、収入や資産の多い方。

ガン保険は一般的に掛け捨てだ。それを嫌ってこの保険を検討される方が多いように思う。確かに終身型の特定疾病保障保険は、終身ガン保険の代わりになることができるとは思う。

けれどガン保険はとても合理的にできていて、治療期間が短期で済んだ人には給付金も少なく、長期になってしまった人には多額の給付金がおりるようになっている。例えば2年に1回診断給付金100万円を受け取れるガン保険に加入していた場合、治療期間が短期で済んだ人は100万円、治療が10年くらいの長期になってしまった時は500万円もの給付を受けられる。このように合理的にできている分、保険料も安価になっている。

しかしこの特定疾病保障保険は、そのようにはできていない。治療期間や容態に関わらず、ガン診断時に保険金を1回で受け取るだけだ。
1回限りの保険金で治療期間が長期になってしまった時でも対応できるようにするには、少なくとも保険金500万円以上のプランが望ましいと思う。けれどそうなると保険料はとても高くなる。今回の30歳男性の契約例でも月払保険料は約13,000円もした。収入が多い方でないと払っていくのが難しい額だと思う。
なるほど。確かに保険金100万円プランでガン診断時に100万円を最初に受け取るだけじゃ、治療期間が長期になってしまった時には対応できないか・・・。
かといって500万円プランにしておいてガン診断時に500万円も受け取ったら、治療期間が短期で済んだ場合は大幅に余っちゃうよね?
そうだね。つまりこの特定疾病保障保険は、収入や資産に余裕があり、言葉は悪いけど、

「治療期間が短期で済んでお金が余っちゃったなら、それはそれでいいや!」

という方に向いていると思う。
そうではなく、なるべく保険料を節約したいという方は、ガン保険の代わりとしてこの保険に加入するのは個人的には避けたほうがいいと思う。
なるほど。
次のページでは恒例の税金について見ていくよ。