個人年金保険と税金2 所得税(雑所得)の計算方法

記事作成日:2015.4.23

現在発売中の個人年金保険の場合は、所得税と住民税はほとんどかからない

それでは前ページの続きだ。
個人年金保険は下記4項目を揃えておくと、年金受取開始時に贈与税がかからないので有利。

契約者
保険料負担者(口座名義人やクレジットカード名義人)
被保険者
年金受取人

けど贈与税とは別に、その後に年金を受け取ると所得税住民税がかかることがあるっていう話だったよね?
そうだね。ただ先に結論を言ってしまうと、評価ランキングに記載している現在発売中の個人年金保険の場合、
所得税と住民税は全くかからないか、かかってもわずか
なんだ。なので面倒な方はこのページは読み飛ばしてしまってほしいと思う。
そうなんだ、よかったあ。けどなんでなの?
所得税は文字通りだけど、所得にかかる税金だ。
所得というのは分かりやすく言うと、利益とかもうけのこと。
なので利益が少なければ所得税も少なくなるんだ。

で、評価ランキングのとおり、現在発売中の個人年金保険は30年間保険料を払い続けるプランでも、返戻率は120%程度にしかならない。返戻率120%ということは払った保険料の20%分しか利益が出ないってことだ。このくらいではよほどの大型契約でない限り所得税はかからないんだ。所得税がかからなければ住民税も同じくかからない。

けれど一昔前に発売されていた個人年金保険は今よりも遥かに返戻率が高く、特にバブル期には200%を超えるものもざらにあった。なのでそのようなお宝個人年金保険を契約している方は税金に注意してほしい。気になる方は管轄の税務署に相談してもらえればと思う。
なるほど。


所得税(雑所得)の具体的な計算方法1 確定年金プランを組んだ場合

それではまずは下記の10年確定年金プランを組んだAさんのケースを見ていきたいと思う。

◆プラン例

契約者(保険料負担者)、被保険者、年金受取人・・・30歳男性のAさん
契約日・・・2015年某日
月払保険料・・・1万円
保険料払込期間・・・30年間(60歳満了)
保険料総額・・・360万円
年金受取開始年齢・・・60歳
年金種類(受取方法)・・・10年確定年金
基本年金額・・・42万円
税制適格特約・・・付加する
配当・・・あり

ういす。これは60歳まで毎月1万円の保険料を払うと、60歳から10年間、毎年42万円の年金を受け取れるっていうプランだね。
そうだね。
実際には配当によって生じた増額年金と増加年金がある場合は、この基本年金額42万円に増額年金と増加年金を加算した額を受け取ることになる。今回のAさんは下記の表のように受け取ったとする。


年目 Aさんの年齢 この年に受け取った年金額(万円)
基本年金 増額年金 増加年金 合計
60 42.0 4.2 46.2
61 0.2 46.4
62 0.3 46.5












68 1.2 47.4
10 69 1.3 47.5


ふむふむ。3年目(Aさん62歳時)は基本年金と増額年金と増加年金を合わせて46.5万円を受け取ったということだね。
そうだね。
年金は雑所得になる。所得税は1年ごとに計算されるので、年金を受け取った年ごとに所得税額が算出される。今回はこの3年目(Aさん62歳時)の所得税がいくらになるかを見ていくよ。所得税の計算方法は下記のとおり。

雑所得=収入-必要経費
所得税額=雑所得×所得税率

これを表にまとめると下記のとおりになる。


◆所得税額の算出表

収入 必要経費 雑所得
(ア-イ)
所得税率 所得税額
(ウ×エ)


なるほど。じゃあこの表を全部埋めていけばいいのか、大変そうだなあ。
えーと、収入欄にはこの年の年金合計46.5万円を入力すればいいのかな?
そうだね。
所得税率は年収500万円くらいまでの方(課税所得195万円以下の方)は5%になるので、ここでは5%とする。
そしたらあとは必要経費を算出するだけだ。


◆所得税額の算出表

収入 必要経費 雑所得
(ア-イ)
所得税率 所得税額
(ウ×エ)
46.5万円 5%


なるほど。じゃあ必要経費はいくらになるの?
これがややこしいんだけど、以下の計算式で求めたものになる。

必要経費
=1年目の年金額×【保険料総額/(1年目の年金額×年金受取期間)】

※【】内の数値は小数点第3位を切り上げする。
※1年目は増加年金は必ず0円になるので、1年目の年金額は基本年金額と増額年金の和になる。

これもわかりやすく整理すると下の表のとおり。


◆必要経費の算出表

1年目の
年金額

保険料総額
年金受取期間

B/(A×C)

Dの小数点第3位を
切り上げた数値
必要経費
A×E
46.2万円 360万円 10年 0.779・・・ 0.78 360,360円


なるほど、必要経費は360,360円か。そしたら所得税額の算出表を埋めると・・・


◆所得税額の算出表

収入 必要経費 雑所得
(ア-イ)
所得税率 所得税額
(ウ×エ)
46.5万円
(3年目の年金額)
360,360円 104,640円 5% 約5,200円


ふう、ようやく出たね。
じゃあAさんは3年目に個人年金保険から年金46.5万円を受け取ることで、その年に所得税を約5,200円払わなければいけなくなるということか。
そうだね。
けれど会社員や公務員などの年末調整を実施している方の場合、
給与以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要
になっている。
退職して年金収入で暮らしている方の場合も、公的年金(国民年金や厚生年金)の年収が400万円以下で、且つ
公的年金以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要
になっている。確定申告が不要というのは、平たくいうと非課税ってこと。

なので例えばAさんが62歳時にはまだ現役の会社員だったとして、給与以外の所得が上記の個人年金保険による雑所得104,640円だけだったとしたら、個人年金保険から受け取った年金は非課税ということになる。
整理すると下の表のとおり。


雑所得 税金を払う必要があるか?
自営業者 会社員公務員
(※1)
公的年金受給者
(※2)
収入のない方
0円 非課税 非課税 非課税
~20万円 課税 非課税 非課税
~38万円 課税 課税 非課税(※3)
38万円超 課税 課税 課税

※1 個人年金保険以外の所得が給与所得と退職所得しかない場合。国税庁のサイトより。
※2 公的年金(国民年金や厚生年金)からの年金収入が400万円以下で、
   その他の所得は個人年金保険しかない場合
※3 課税対象額が基礎控除38万円以内のため非課税。


なるほど。
続いて、終身年金プランを組んだBさんの場合を見ていくよ。


所得税(雑所得)の具体的な計算方法2 終身年金プランを組んだ場合

次は下記のプランの場合で見ていきたいと思う。

◆プラン例

契約者(保険料負担者)、被保険者、年金受取人・・・30歳女性のBさん
契約日・・・2015年某日
月払保険料・・・1万円
保険料払込期間・・・30年間(60歳満了)
保険料総額・・・360万円
年金受取開始年齢・・・65歳
年金種類(受取方法)・・・10年保障期間付き終身年金
基本年金額・・・20万円
税制適格特約・・・付加する
配当・・・あり

ういす。これは60歳まで毎月1万円の保険料を払うと、65歳から生存している限り、毎年20万円の年金を受け取れるっていうプランだね。
そうだね。
今回も配当付きなので、実際には基本年金額20万円に増額年金と増加年金を加算した額を受け取ることになる。今回のBさんは下記の表のように受け取ったとする。


年目 Bさんの年齢 この年に受け取った年金額(万円)
基本年金 増額年金 増加年金 合計
65 20.0 1.0 21.0
66 0.1 21.1
67 0.2 21.2














ふむふむ。3年目(Bさん67歳時)は基本年金と増額年金と増加年金を合わせて21.2万円を受け取ったということだね。
そうだね。
今回はこの3年目の年金を受け取った年の所得税がいくらになるかを見ていくよ。
終身年金プランの場合の所得税の計算方法も、基本的には確定年金プランの時と変わらない。なので下の表を埋めていくだけだ。


◆所得税額の算出表

収入 必要経費 雑所得
(ア-イ)
所得税率 所得税額
(ウ×エ)


えーとじゃあ、3年目の年金額は21.2万円だから収入欄にはそれを入力と。
所得税率は今回も5%にしてみよう。
必要経費は

1年目の年金額×【保険料総額/(1年目の年金額×年金受取期間)】

だから今回の場合は・・・。

ん!?

年金受取期間は何年にすればいいんだろう?終身年金は生存している限り年金を受け取り続けることができるんだから、何年受け取れるかは決まっていないよね?
そうだね。
終身年金プランの場合は、

年金受取期間=年金受取開始時点の余命年数

になる。
余命年数は統計している機関によってまちまちだけど、この計算にあたっては所得税法上の余命年数表(国税庁の公式サイトより)を使用する。今回のBさんが年金受取を開始する65歳時の女性の余命年数は18年になっているので、必要経費を整理すると下記の表のとおり。


◆必要経費の算出表

1年目の
年金額

保険料総額
年金受取期間

B/(A×C)

Dの小数点第3位を
切り上げた数値
必要経費
A×E
21.0万円 360万円 18年 0.952・・・ 0.96 201,600円


なるほど、必要経費は201,600円か。そしたら所得税額の算出表を埋めると・・・


◆所得税額の算出表

収入 必要経費 雑所得
(ア-イ)
所得税率 所得税額
(ウ×エ)
21.2万円
(3年目の年金額)
201,600円 10,400円 5% 520円


ようやく出たね。ふいぃ疲れた・・・。
じゃあBさんは3年目に個人年金保険から年金21.2万円を受け取ることで、その年に所得税を520円払わなければいけなくなるということか。
そうだね。けれど先ほどの確定年金プラン時と同様、

・給与以外の所得が20万円以下
または
・公的年金の年収400万円以下で公的年金以外の所得が20万円以下

の場合は確定申告不要(事実上非課税)となる。
今回の雑所得は上記のとおり10,400円だ。なので例えばBさんが67歳時点では特に仕事はしておらず、収入は公的年金(年額400万円以下)しかない場合、上記の個人年金保険から受け取った年金は非課税になる。
なるほど。いや~疲れた。
だね。けどゴメンもう少し。源泉徴収について軽く。


雑所得が25万円を超えると源泉徴収される

このページで見てきた計算の結果、雑所得が25万円以上になる場合は源泉徴収の対象になる。
具体的には保険会社が年金受取人にいざ年金を支給する時に、雑所得の10%分の金額を差し引いた額を支給するんだ。


◆例

年金額(ア)・・・100万円
必要経費(イ)・・・40万円
雑所得(ア-イ)・・・60万円
雑所得の10%(源泉徴収税額)・・・6万円
保険会社が年金受取人に実際に支給する年金額・・・94万円

うわマジで・・・。これは痛いなあ。
そうだね。一昔前に契約した個人年金保険は予定利率が今よりも遥かに高かったため、年金をいざ受け取る時にこのように源泉徴収されてしまう方も多いと思う。けれど税率10%というのは国税庁のサイトのとおり、かなり所得が高い人
(目安として年収だと500万円台以上)
に適用される税率だ。なので確定申告をすることで引かれすぎた税金が戻ってくることも多い。これも詳しくは管轄の税務署に相談してもらえればと思う。
なるほど。
さて、個人年金保険は年金受取でなく一時金(一括で最初にまとめて受け取る)を選択することも可能なんだ。年金受取のほうが受取総額は必ず大きくなるので一般的には有利だけど、その時に大金が必要な事情がある場合は一括受取を選択するといいと思う。
で、一時金で受け取った場合の所得税の計算方法は、年金受取した時とは異なるんだ。それを次のページで見ていくよ。