個人年金保険と税金1 前提条件と平成22年度の税法改正
記事作成日:2015.4.23
契約者(保険料負担者)、被保険者、年金受取人をすべて同一にしておくべき
では恒例の税金についてを見ていくよ。 ※このコーナーでは復興特別所得税は考慮していません。 |
|
ういす。 | |
まず前提だけど、個人年金保険は現在の税法上では下記4項目をすべて同一にしておくのが有利なんだ。 ・契約者 |
|
ってことは、この4項目を「すべて夫」とか「すべて妻」にしておくのがいいってこと? | |
ああ。これを揃えておかないと、いざ年金を受取開始する際に多額の贈与税がかかってしまったりするんだ。例えば下記の契約内容の場合、贈与税は下の表のようになる。 年金種類(年金の受取方法):10年確定年金 |
4項目すべてを 揃えていた場合 |
年金受取人:妻 その他3項目:夫 の場合 |
|
年金受給開始時に 贈与税がかかるか? |
かからない | かかる 具体的には妻が約200万円(※)の 贈与税を払わなければいけなくなる。 |
※現在発売中の個人年金保険の運用利率は高いもので1%程度。この運用利率の場合、年金受給権評価額が上記の契約例の場合は900~950万円程度になります。仮に900万円とすると、
「贈与税額=(900万円-基礎控除110万円)×税率40%-控除額125万円=191万円」
となります。
どわー。200万円も贈与税を取られるなんて・・・。 ん? 【現在の税法上では】ってわざわざ強調しているのはなんで? |
平成22年度の税法改正により節税メリットはほぼ消滅
実は平成22年度の税法改正(相続税法第24条)以前は、年金受給権評価額が著しく低い金額になるようになっていたので、贈与税額もとても低くなるようになっていたんだ。先ほどの契約例の場合だと下記のとおり。 |
税制改正前 | 税制改正後 | |
年金受給権評価額 | 500万円 | 900~950万円程度 |
贈与税額 | 53万円 | 約200万円 |
ほんとだ、すごい差だね。 | |
そうだね。 このメリットがあったため、お金持ちの方が相続税の節税対策として個人年金保険をよく契約していたんだ。格安の贈与税を払って資産を減らしてしまったほうが、多額の相続税を払うよりも有利になることがよくあったからなんだ。けれど税法が改正され、平成23年4月1日以降に発生した相続や贈与については改正後の評価額が適用されるようになったので、節税メリットはほとんどなくなってしまっている。 平成22年以前に個人年金保険を契約した方の中には、現在も 契約者、被保険者、保険料負担者:夫 というように、年金受取人が別人になっているままの方もいると思う。年金受取人は保険会社に連絡すればいつでも変更が可能なので、そのような契約のままになっている方は場合によっては変更をしておいたほうがいい(※)と思う。 ※予定利率の高い契約の場合は、変更しないままのほうが有利なケースもあります。結局はケースバイケースですので、詳しくは保険会社の担当者や税理士の方などと相談をお願いします。 |
|
なるほど。じゃあ4項目をすべてを揃えておけば、個人年金保険で税金がかかることはないってことだね?メデタシメデタシ。 | |
いやいや、締めるな。 あくまで年金受取開始時に贈与税がかからなくなるだけで、その後に年金を受け取ると所得税と住民税が別途かかるようになっているんだ。詳しくは次のページで見ていくとして、その前にもう1つ注意点を。 |
専業主婦の妻を保険料負担者にする時は、夫が保険料控除申請をしないように
先ほど、「契約者、保険料負担者、被保険者、年金受取人」の4項目をすべて揃えておくのがいいという話をしたけど、例えば ・夫が会社員で妻が専業主婦(無収入) というケースでは、保険料引落口座の口座名義人が妻になっていても、税務署が 保険料負担者:保険料控除を受けていたのだから夫 というふうに判断し、贈与税がかかってきてしまう可能性がある。なのでこのようなケースの場合は、夫の年末調整時に保険料控除申請をしないことを推奨したいと思う。 ◆参考リンク 収入保障保険の選び方 > 専業主婦の妻を保険料負担者にする時の注意点 |
|
なるほど、難しいね・・・。 | |
そうだね。それでは次のページへ。 |