個人年金保険の税制適格特約とは?

記事作成日:2015.4.8

税制適格特約のメリットは個人年金保険料控除の対象になること

それでは税制適格特約について詳しくみていくよ。
ういす。今回の契約例も
「税制適格特約・・・付加する」
になっていたよね?この特約を付加するとどうなるの?
税制適格特約は無料なので、付加してもしなくても保険料は変わらない。
変わるのは節税面や配当金の扱いだ。

まずは節税面から。下記のとおり、生命保険料控除は
「一般、介護医療、個人年金」
と3種類あるんだけど、この特約を付けた個人年金保険のみ、その年に払った保険料が個人年金保険料控除の対象になるんだ。


生命保険料控除 一般の生命保険料控除 学資保険 ・定期保険 ・収入保障保険
終身保険 ・税制適格特約なしの個人年金保険
などの保険料が対象
介護医療保険料控除 医療保険 ・ガン保険
などの保険料が対象
個人年金保険料控除 ・税制適格特約ありの個人年金保険
の保険料が対象


ん?別にこの特約をつけなくても一般の生命保険料控除の対象になるんだったら、つける必要ないんじゃないの?
いや、3種類ある生命保険料控除は、それぞれ年間保険料8万円までが対象だ。
なので例えば一般の生命保険料控除の対象になる保険料を、年間で8万円払おうが100万円払おうが節税額は変わらない。8万円以上はいくら払おうが節税額は増えないんだ。
ところが一般の生命保険料控除の対象になる保険は、税制適格特約なしの個人年金保険の他にも

学資保険定期保険終身保険収入保障保険

など多数ある。なので年間の保険料8万円の枠なんてすぐに埋まってしまうんだ。


例えば学資保険に年間で保険料を8万円払っているAさんがいる。
Aさんは年収500万円(課税所得195万円以下)のため所得税率が5%。
学資保険は一般の生命保険料控除の対象になり、Aさんはそのおかげでその年の納めなければいけない所得税が2,000円、住民税が2,800円、合計で4,800円も節税できている。
ふむふむ。
この状態でAさんが新たに、年間保険料8万円の個人年金保険に加入したとする。すると下記のようになる。


新たに加入した個人年金保険に
税制適格特約を付加した場合
新たに加入した個人年金保険に
税制適格特約が付加していない場合

保険料は個人年金保険料控除の対象になる

個人年金保険料控除により、毎年納めなければいけない
税金(所得税+住民税)が4,800円安くなる

一般の生命保険料控除でも4,800円節税できて
いるので、合計で年間9,600円も節税できる。

保険料は一般の生命保険料控除の対象になる

既に学資保険で一般の生命保険料控除の枠
(年間保険料8万円まで)は使いきっているため、
個人年金保険の保険料が加わっても節税額は増えない

節税額は一般の生命保険料控除による
年間4,800円のみ


なるほど。税制適格特約付きの個人年金保険に加入した場合であれば、
一般の生命保険料控除とは別枠の個人年金保険料控除が使えるから有利
ってことか。
そういうこと。
特に若い家族の場合は学資保険収入保障保険に多くの家庭が加入していると思うので、一般の生命保険料控除の枠は使い切ってしまっている方が大半だと思う。なので個人年金保険に加入する場合は税制適格特約を付加できるプランを推奨したい。
税制適格特約を付加できるプラン?付加できるプランとできないプランがあるの?
そうだね。それを見ていくよ。


税制適格特約を付加できるプランは?

税制適格特約を付加できる要件は下記のとおり。

① 年金受取人は契約者または契約者の配偶者であること

② 年金受取人は被保険者と同一人であること

③ 保険料の払込期間は10年以上であること

④ 定期年金
(確定年金や有期年金)の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上であること

うーん、詳しく詳しく。
まずは①と②をセットで。わかりやすく書くと下記のとおり。

「契約者・・・夫 被保険者&年金受取人・・・夫」 ⇒ 付加できる
「契約者・・・夫 被保険者&年金受取人・・・妻」 ⇒ 付加できる
「契約者・・・妻 被保険者&年金受取人・・・妻」 ⇒ 付加できる
「契約者・・・妻 被保険者&年金受取人・・・夫」 ⇒ 付加できる
「契約者・・・夫 被保険者&年金受取人・・・子」 ⇒ 付加できない

ただしここでは詳細は割愛するけど、契約者(保険料負担者)と年金受取人が異なると、いざ年金を受け取る時に多額の贈与税がかかってしまうケースが多い。なので税制適格特約うんぬん抜きにして、個人年金保険に加入する場合は

契約者&被保険者&年金受取人・・・すべて夫

契約者&被保険者&年金受取人・・・すべて妻

のどちらかにすることを推奨したい。
なるほど。
続いて③「保険料の払込期間は10年以上であること」。
これはまあそのままかな?
「契約年齢・・・55歳 保険料払込期間・・・60歳まで」
というようなプランだと、保険料払込期間が10年以上にならないからダメってことだよね?
そうだね。一時払いで加入した場合も条件を満たさないので付加できない
なるほど。
最後に④
「定期年金(確定年金や有期年金)の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上であること」

定期年金は明確に受取期間が定まっている。
例えば確定年金なら、「5年確定年金」や「10年確定年金」などがある。この受取期間が10年以上で、しかも受取開始が60歳以降でないとこの特約は付加できない。
なるほど。じゃあ5年確定年金や、受取開始が55歳というプランの場合は付加できないということか。
じゃあ終身年金の場合は?
他の条件(保険料払込期間が10年以上など)を満たしているなら、終身年金の場合は受取開始年齢にかかわらず付加できる。


定期年金
or
終身年金
年金受取期間 年金受取開始 税制適格特約を
付加できるか?
定期年金 10年未満
(5年確定年金など)
年齢問わず できない
10年以上
(10年確定年金など)
60歳未満 できない
60歳以上 できる
終身年金 終身 (終身年金) 年齢問わず できる


なるほど。じゃあこれらの要件を満たすプランを組んで、税制適格特約を付加したほうが有利ってことだね!
そうだね。一般の生命保険料控除の枠を全く使っていないというなら話は別だけど、そうでない場合はそのようなプランを組むほうが節税面で有利なのは間違いないと思う。
ただこの特約には少しだけ注意点がある。それを見ていくよ。


税制適格特約の注意点

税制適格特約を付加した場合の注意点は下記のとおり。

A、税制適格特約の付加要件を満たさなくなるような契約変更はできない

B、配当金は積立され、増額年金の原資に充てられる

C、一部解約(年金額の減額)をした場合、解約返戻金は積立され、
  増額年金の原資に充てられる。

D、税制適格特約のみの解約はできない

うーん、詳しく詳しく。
まずはA
「税制適格特約の付加要件を満たさなくなるような契約変更はできない」

例えば加入してから5年後、経済的に保険料を払っていくことができなくなってしまったらどうする?
えーと、貯蓄型の保険(学資保険終身保険など)は解約よりも払済保険に変更するほうが有利になるケースが多いんだったよね?じゃあ個人年金保険も貯蓄型保険なんだから、払済保険に変更することで保険料の支払をストップさせるのがいいんじゃないのかな?
そうだね。ところが税制適格特約を付加した個人年金保険の場合は、
加入してから10年以内は払済保険への変更はできないんだ。
なんで?
例えば加入してから5年後に払済保険に変更し、以後の保険料の払込をストップすると、保険料の払込期間が5年間しかなかったということになってしまう。
そうすると、税制適格特約の付加要件の1つである
「保険料の払込期間は10年以上でなければいけない」
を満たさなくなってしまう。
なので要件を満たさなくなるような変更はできないんだ。
なるほどなあ・・・。じゃあもしどうしても加入してから5年後に保険料が払えなくなってしまったらどうするの?
「一時的に払えないだけ」
というのであれば貸付金を利用するという手もあるけど、
「今後もうずっと払っていけそうにない」
というのであれば、
「D、税制適格特約のみの解約はできない」
という制限のとおり、この特約のみの解約はできないので、残念ながら保険そのものを解約するしかないんだ。
なるほど。けど途中で解約すると元本割れしやすいんだったよね?じゃあ加入時は
余裕をもって保険料を払っていけるプランを検討しないといけない
ということだね。
そうだね。続いてBの
「配当金は積立され、増額年金の原資に充てられる」
どういうこと?増額年金って?
増額年金についてはこのあとのページで解説するけど、要するに
「税制適格特約を付加した場合は配当金の受取方法を選択できなくなる」
という制限があるんだ。

具体的には、配当の受取方法は本来であれば、
「保険料と相殺する」
「現金で受け取る」
「すぐには受け取らずに積み立てる」
などの中から加入者が選択できるようになっているのが一般的なんだけど、税制適格特約を付加した場合は強制的に
「すぐには受け取らずに積み立てる」
になるんだ。
なるほど。じゃあCの
「一部解約(年金額の減額)をした場合、解約返戻金は積立され、増額年金の原資に充てられる」
も同じような感じかな?
そうだね。例えばある方が
「基本年金額・・・100万円 月払保険料・・・2万円」
というプランの個人年金保険に加入していたとする。
ところが経済的に毎月2万円の保険料を払っていくのが厳しくなってしまったので、
「基本年金額・・・50万円 月払保険料・・・1万円」
というプランに変更
(このことを保険契約の減額といいます。)
したとする。

保険契約の減額は一部解約という扱いになるので、本来であればその時点で解約返戻金を受け取れるんだけど、税制適格特約を付加していた場合は強制的に
「解約返戻金はすぐには受け取らずに積み立て、増額年金を将来受け取る時の原資に充てられる」
となるんだ。
なるほど。まあじゃあやっぱり、加入時に余裕を持って保険料を払っていけるプランを選択するのが重要ってことだね。それさえできてれば、税制適格特約を付加した場合の注意点は気にしなくても大丈夫そうだもんね。
そうだね。税制適格特約についてはここまで。
次のページでは増額年金と増加年金についてをみていくよ。