変額保険(有期型) 評価ランキングと解説
記事更新日:2019.7.4
評価ランキング
仕組み 死亡保険金、満期保険金、基本保険金額、解約返戻金について
それでは変額保険の一種である変額保険(有期型)について詳しく。 | |
ういす。 | |
この保険は簡単に言ってしまうと、養老保険の保険金や解約返戻金が変額になった保険だ。 例えば下記のような養老保険があったとする。 ◆とある養老保険 被保険者:30歳男性 |
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えーとこれは、毎月24,000円の保険料を65歳まで払っていくっていう契約だよね? そうすると保険料総額は1,008万円になりますよと。 それで65歳までにもしも亡くなってしまった時は死亡保険金1,000万円を、65歳時に生存していれば満期保険金1,000万円を受け取れる・・・ と。 |
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そうだね。 |
養老保険の場合 | |
保険期間満了時 (今回は65歳) までにもしも亡くなってしまった場合 |
契約時に定められた金額の死亡保険金を受け取れる。 つまり死亡保険金は定額。 今回の例では1,000万円。 |
保険期間満了時に生存していた場合 | 契約時に定められた金額の満期保険金を受け取れる。 つまり満期保険金も定額。 今回の例では1,000万円。 |
保険期間満了時までに解約した場合 | 契約時に、 「●●歳で解約したら解約返戻金は●●円」 というように、解約返戻金の金額が定められている。 つまり解約返戻金も定額。 今回の例では、40歳で解約すると200万円、50歳で解約すると500万円の解約返戻金を受け取れる。 |
うんうん、これが普通の養老保険だね。 で、変額保険(有期型)はこれとどう違うのかな? |
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例えば下記のような変額保険(有期型)があったとする。 ◆とある変額保険(有期型) 被保険者:30歳男性 この場合は下の表のようになる。 |
変額保険(有期型)の場合 | |
保険期間満了時 (今回は65歳) までにもしも亡くなってしまった場合 |
死亡保険金を受け取れるが、加入者が選んだ運用方法 (投資信託など) の運用成績によって金額が随時変動するため、実際にいくら受け取れるかはその時になってみないとわからない。 つまり死亡保険金は変額。 ただし基本保険金額(死亡保険金の最低保証額)が1,000万円のため、今回の例では最低でも1,000万円は受け取れる。 |
保険期間満了時に生存していた場合 | 満期保険金を受け取れるが、金額は同じく随時変動するため、実際にいくら受け取れるかはその時になってみないとわからない。 つまり満期保険金も変額。 死亡保険金と異なり、満期保険金は最低保証がないため、大きく元本割れする可能性もある。 |
保険期間満了時までに解約した場合 | 解約返戻金を受け取れるが、金額は同じく随時変動するため、実際にいくら受け取れるかはその時になってみないとわからない。 つまり解約返戻金も変額。 解約返戻金にも最低保証はないため、大きく元本割れする可能性もある。 |
なるほど。 変額保険(有期型)は言ってしまえば変額養老保険って感じだね。 |
変額保険(有期型)は検討する価値があるか?
さて仕組みはざっと押さえたところで本題というか核心を。 ズバリこのページで見てきた変額保険(有期型)は、保険として検討する価値があるものなのかどうか? |
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うん、どうなんだろ。 | |
ちょっと厳しい言い方だけど、個人的には この保険を検討する価値がある方はいない と思う。 理由は変額終身保険(月払・年払タイプ)と同じく資産運用力が低すぎるから。 例えば今回の例の契約は、30歳から65歳までの35年間、毎月保険料を19,130円、総額で約800万円払うという契約だった。 そして65歳時に満期保険金を受け取るわけだけど、この満期保険金額は加入者が選んだ運用方法 (投資信託など) の運用実績によって変わってくる。 仮に運用実績が0%、2.75%、5.5%だった場合の満期保険金額と、差引利益は下の表のとおり。 |
満期時点までの 運用成績が絶不調 (年利0%) だった場合 |
満期時点までの 運用成績が不調 (年利2.75%) だった場合 |
満期時点までの 運用成績が好調 (年利5.5%) だった場合 |
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65歳までに払った保険料 ① | 約800万円 | ||
65歳時に受け取る満期保険金 ② | 約600万円 | 約1,000万円 | 約1,800万円 |
差引利益 ②-① | -200万円 | +200万円 | +1,000万円 |
返戻率 ②÷① | 75% | 125% | 225% |
なるほど。 これを変額終身保険(月払・年払タイプ)の時のように、自分で証券会社の口座を開設して投資信託を積立購入して年利5.5%で運用できたらどうなるの? |
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こんな感じになる。 |
※年利(運用実績)5.5%の場合
変額保険で運用方法に 株式投資信託 (インデックスファンド) を選択した場合 |
自分で証券会社の口座を開設し 株式投資信託 (インデックスファンド) を購入していった場合 |
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65歳までに払うお金 ① | 約800万円 | |
65歳時に受け取れるお金 ② | 1,800万円 (満期保険金) |
2,440万円 (投資信託売却額) |
差引利益 ②-① | +1,000万円(※1) | +1,640万円(※2) |
返戻率 ②÷① | 225% | 305% |
※1 税引き後は約860万円。
※2 税引き後は約1310万円。NISA口座なら非課税。投資信託を購入する場合はなるべくNISA口座
(老後の貯蓄目的であればiDeCo)で購入することを推奨します。
うーん、やっぱり全然違うね。 これだけ違うなら、僕なら投資信託にお金をかけたいなあ。 |
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そうだね。 米国株中心のインデックスファンドで10年以上の長期間運用すれば、年利5.5%は達成できる可能性が十分ある数字だと思う。それを考えると同じ5.5%で運用できた時にこれだけ利益が少なくなってしまう保険はもったいないと思う。 |
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たしかになあ。変額保険にしかないメリットとかはないのかな? | |
あるにはある。 それは保険としての機能(=保障)があること。 つまり被保険者が亡くなってしまった時には死亡保険金を受け取れるという機能がある。 例えば加入してから1年後の31歳の時にもしも亡くなってしまった場合。 投資信託のほうはそれまでに積み立てたお金(約23万円)が戻ってくるだけ。 それに対し変額保険のほうは死亡保険金 (最低1,000万円) を受け取れる。 |
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それは凄いな。保険ならではのメリットだね。 | |
そうだね。 けれど保障がほしいなら、変額保険(有期型)に加入するよりも 投資信託+掛け捨ての死亡保険(定期保険や収入保障保険) のセットのほうが有利だ。 投資信託への積立額を少し減らし、その分で掛け捨ての死亡保険に加入するわけだ。 例えば投資信託+某社の定期保険 (死亡保険金1,000万円、月払保険料2,150円、保険期間65歳まで) に加入した場合の比較は下の表のようになる。 |
※運用実績が5.5%だった場合
変額保険(有期型) に加入した場合 |
純粋な投資信託+定期保険 に加入した場合 |
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毎月の支払額 | 19,130円 | 19,130円 <内訳> 投資信託への積立金:16,980円 定期保険の保険料:2,150円 |
65歳までに払うお金 ① | 約800万円 | |
65歳時に受け取れるお金 ② | 1,800万円 (満期保険金) |
2,170万円 (投資信託売却額) |
差引 ②-① | +1,000万円 | +1,370万円 |
返戻率 ②÷① | 225% | 271% |
65歳までに 亡くなってしまった場合 |
いつ亡くなってしまった場合でも 死亡保険金1,000万円は最低でも受取可能。 |
なるほど。 これなら確かに純粋な投資信託+定期保険のほうが圧倒的に有利そうだなあ。 |
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そうだね。 変額保険(有期型)についてはここまで。 ここまで読んでくれてありがとう。 |
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お疲れさまでした~ |