変額終身保険(月払・年払) 仕組みとメリット・デメリット

記事作成日:2018.1.21

仕組み1 死亡保険金、変動保険金、基本保険金額について

それでは変額保険の一種である変額終身保険※について詳しく。

変額保険(終身型)とも呼ばれます。
ういす。
変額終身保険も保険料の支払い方によって下記の2つに大きく分けられる。


①保険料を月に1回(月払)や年に1回(年払)というように定期的に支払っていくタイプ

②保険料を加入時に全て払いきってしまう一時払いタイプ


このページでは①についてみていくよ。
例えば下記のような月払タイプの変額終身保険があったとする。


◆とある変額終身保険

被保険者:35歳男性のAさん
保険期間:終身(一生涯)
基本保険金額:1,000万円
月払保険料:27,440円
保険料払込期間:60歳まで
保険料総額:約823万円

えーとこれは、毎月27,440円の保険料を60歳まで払っていくっていう契約だよね?
そうすると保険料総額は約823万円になりますよと。
それは理解できるけど、亡くなってしまったり解約した場合はどうなるんだろう?
それに基本保険金額って??
そうだね。
結論から言ってしまうと、定額終身保険と同様、被保険者が亡くなってしまった時には死亡保険金を、解約した時には解約返戻金を受け取れる。

けれどどちらもAさんが選択した運用方法の運用成績によって金額が変わってくるので、実際にいくら受け取れるかはその時になってみなければわからない。

ただし死亡保険金には最低保障額がある。それが基本保険金額なんだ。


定額終身保険 変額終身保険
変動保険金
(積立金)
運用成績によって変動する
例:マイナス100万円になったりプラス200万円になったり。
基本保険金額
(死亡保険金の最低保障額)
契約時に定められている
例:1,000万円
死亡保険金
(被保険者が亡くなってしまった
時に遺族が受け取れる金額)
契約時に定められている
例:1,000万円
上記の基本保険金額変動保険金を加算した額を受け取れる。
ただし変動保険金がマイナスの時は加算しない。よって最低でも基本保険金額は受け取れる。

例:基本保険金額1,000万円、変動保険金マイナス100万円の時は、1,000万円を受け取れる。


ん?
こう見たら変額終身保険のほうが圧倒的に有利じゃん?
被保険者が亡くなってしまった時、それまでの運用成績が悪くて変動保険金がマイナスになっちゃってたら、基本保険金額の1,000万円を受け取れる。運用成績がよくて変動保険金がプラスになっていた時は、基本保険金額の1,000万円に変動保険金を加算した額を受け取れるってことだよね。

「プラスになってる時だけ加算していいよ」

なんて、保険会社も太っ腹だなあ。
そうだね。
けど保険会社はボランティア活動ではない。
なので、マイナス運用になってしまっていた場合でも遺族に最低保障額を支払わなければいけなくなるリスクを考慮して、その分だけ多めに保険料から手数料を徴収しているわけだ。
まあそりゃそうだよね。
でも保険料総額が832万円で最低保障額が1,000万円ってことは、
亡くなってしまった時に元本割れすることはない
わけだね。


仕組み2 解約返戻金について

定額終身保険は解約返戻金も定額だ。
つまり契約時に

「何歳の時に解約したら解約返戻金は××円受け取れる」

というのがあらかじめ定められている。
こんな感じだよね?


解約年齢 解約返戻金
40歳   100万円
50歳   200万円
60歳   300万円


年齢の上昇につれて大きくはなっていくけど、
「いつ解約したらいくら」
っていうのは定まっているわけだね。
そうだね。
けれど変額終身保険の場合は定まっていない。
なので解約をした時点までの運用成績によって解約返戻金も変わってくる。
しかも死亡保険金と異なり、解約返戻金には最低保障額がない。
例えば今回のAさんが60歳で解約し解約返戻金を受け取った時はこんな感じになる。


解約時点までの
運用成績が絶不調
(年利0%
だった場合
解約時点までの
運用成績が不調
(年利3.5%
だった場合
解約時点までの
運用成績が好調
(年利7.0%
だった場合
60歳までに払った保険料 ① 823万円
解約返戻金 394万円 634万円 1,061万円
差引 ②-① -429万円 -189万円 +238万円
返戻率 ②÷① 48% 77% 129%


なるほど、運用成績によって大きく変わってくるんだね。
それに被保険者が亡くなってしまった時と違って、
解約時は元本割れする可能性もあるわけか。
そうだね。


保険料を定期的に支払っていくタイプの変額終身保険はアリか?

さて仕組みはざっと押さえたところで本題というか核心を。
ズバリこのページで見てきた

保険料を定期的に支払っていくタイプの変額終身保険

は、保険として検討する価値があるものなのかどうか?
うん、どうなんだろ。
結論から言ってしまうと、個人的には
これからこの保険を検討する価値がある方はほとんどいない
と思う。
それはなんでなの?
最大の理由は、純粋な投資信託と比較して資産運用力が低すぎるからだ。

変額終身保険は、以前は保険料がとても安価だったので、高い資産運用力と保障を兼ね備えた魅力的な保険だったんだ。
けれど2013~2017年くらいにかけて保険料の値上げが行われてしまい、今となっては魅力がほとんどなくなってしまったんだ。
なのでこれから新規加入を検討する価値がある方はほとんどいないと思う。


例えば今回のAさんの例では、35歳から60歳まで25年間、毎月保険料を27,440円ずつ、60歳までに832万円を払うという契約だった。そして60歳で解約すると、それまでの運用が好調
(年利7.0%)
だった場合で解約返戻金が1,061万円だった。
うん。差引利益は238万円だったよね。
そうだね。
これは申し訳ないけど正直言って少なすぎる。
同じ毎月27,440円を25年間、自分で証券会社の口座を開設して投資信託を積立購入していき、年利7.0%で運用できたとしたら、下の表のとおり利益は約1,413万円にもなる。


※年利(運用実績)7.0%の場合
変額保険で運用方法に
株式投資信託
(インデックスファンド)
を選択した場合
自分で証券会社の口座を開設し
株式投資信託
(インデックスファンド)
を購入していった場合
60歳までに払うお金 ① 823万円
60歳時に受け取れるお金 ② 1,061万円
(解約返戻金)
2,236万円
(投資信託売却額)
差引 ②-① +238万円(※1) +1,413万円(※2)
返戻率 ②÷① 129% 272%

※1 税引き後は約233万円。
※2 税引き後は約1130万円。NISA口座なら非課税。投資信託を購入する場合はなるべくNISA口座
(老後の貯蓄目的であればiDeCo)で購入することを推奨します。


うわ、全然違うね。
これだけ違うなら、僕なら投資信託にお金をかけたいなあ。
そうだね。
米国株中心のインデックスファンドなら年利5~6%は十分期待できるし、7.0%という数字も少し好調なくらいで達成できる数字だと思う。それを考えると7.0%で運用できても200万円ちょっとしか利益が出せない保険はもったいないと思う。
たしかになあ。変額保険にしかないメリットとかはないのかな?
ああ。
最大のメリットは保険としての機能(=保障)があること
つまり被保険者が亡くなってしまった時には死亡保険金を受け取れるという機能がある。

例えばAさんが加入してから1年後の36歳の時にもしも亡くなってしまった場合。
投資信託のほうはそれまでに積み立てたお金(約30万円)が戻ってくるだけ。
それに対し変額終身保険のほうは死亡保険金
(最低1,000万円)
を受け取れる。
それは凄いな。保険ならではのメリットだね。
そうだね。
けれど保障がほしいなら、変額終身保険に加入するよりも

投資信託+掛け捨ての死亡保険定期保険収入保障保険保険

のセットのほうが有利だ。
投資信託への積立額を少し減らし、その分で掛け捨ての死亡保険に加入するわけだ。

例えば投資信託+チューリッヒ生命の定期保険
(死亡保険金1,000万円、月払保険料2,160円、保険期間60歳まで)
に加入した場合の比較は下の表のようになる。


※運用実績が7.0%だった場合
変額終身保険
に加入した場合
純粋な投資信託定期保険
に加入した場合
毎月の支払額 27,440円 27,440円
<内訳>
投資信託への積立金:25,280円
定期保険の保険料:2,160円
60歳までに払うお金 ① 823万円
60歳時に受け取れるお金 ② 1,061万円
(解約返戻金)
2,060万円
(投資信託売却額)
差引 ②-① +238万円 +1,237万円
返戻率 ②÷① 129% 250%
60歳までに
亡くなってしまった場合

いつ亡くなってしまった場合でも
死亡保険金1,000万円は最低でも受取可能。


なるほど。
これなら確かに純粋な投資信託+定期保険のほうが圧倒的に有利そうだなあ。
そうだね。
次のページでは一時払い変額終身保険についてみていくよ。