肝臓がん対策2 B型・C型肝炎ウイルスの感染経路と検査方法
記事作成日:2015.12.26
B型・C型肝炎ウイルスに感染している可能性が高い人は?
B型とC型の肝炎ウイルスに持続的に感染している人(キャリア)は、日本中でそれぞれ約150万人ずつ、合計で約300万人もいるらしい。 | |
300万人!?すごい数だね。 | |
そうだね。なので日本最大の感染症とも言われているようなんだ。 | |
そしたら僕も感染している可能性があるのかな? | |
えーと、ショウ君は何年生まれだっけ? | |
キャラ設定は小学校5年生だから2004年だけど。 | |
じゃあどちらも可能性はほぼゼロかな。 | |
ほんとに?よかったあ。けどなんで? | |
1980~1990年代に対応策が徹底されてからは、新規感染者が激減しているからなんだ。ショウ君のようにそれ以降に生まれた世代の感染率も、必然的にとても低くなっている。 | |
うーん、くわしくくわしく。 | |
B型・C型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染する。インフルエンザウイルスのような空気感染はしないので感染経路がかなり限られる。具体的には下記のとおり。 ◆B型・C型肝炎ウイルスの感染経路 ・輸血 そしてこのうち、輸血、集団予防接種、母子感染、針刺し事故は下記のように改良されたことで激減している。 |
輸血 |
輸血用の血液に対する検査の精度が低かったため、 ウイルスに感染した血液が輸血され感染してしまうケースがあった。 かつてはC型の1番の感染理由と言われていた。 ↓ 1992年に高精度のC型の検査が導入されてからは感染者が激減。 更に1999年に核酸増幅検査 (ウイルスの遺伝子の一部の核酸を1億倍に増幅させる検査) が導入され、B型C型ともに輸血による新規感染者はほぼゼロに。 |
集団予防接種 |
注射器を使い回していたために感染してしまうケースがあった。 ↓ 1988年からは1人ずつ注射器が取り替えられるようになった。 (厚生労働省のサイトより) |
母子感染(主にB型) |
母親が感染している場合、出産時に新生児に感染してしまうケースがあった。 かつてはB型の1番の感染理由と言われていた。 ↓ 1986年から母子感染防止策が始まり、母親がB型肝炎ウイルスに感染している場合は新生児にワクチンを接種し、感染を予防するようになった。 |
針刺し事故 |
医療関係者が注射針のリキャップ (使用前に注射針から外したキャップを再度付けること) をする時に誤って針を手に刺し(針刺し事故)感染するケースがあった。 ↓ リキャップ禁止が推奨され激減。 |
なるほど。ということは、改良される前に輸血や集団予防接種を受けていた人や、母子感染防止策が始まる前に生まれた人は危ないということだね? | |
そうだね。整理すると下記のとおり。 ◆B型・C型肝炎ウイルスに感染している可能性が高い人 ・1992年以前に輸血を受けたことがある |
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えーと、性行為っていうのがよくわからないから僕はしたことあるかわからないんだけど? | |
大丈夫。そうやって聞いてくる時点でしているはずないから! | |
そうなんだ。じゃあ僕はどれもあてはまらなそうだから、感染していなそうってことか。でもあてはまる人は多そうだね。 | |
そうだね。なのでどれか1つでもあてはまる人は、早めに検査を受けたほうがいいと思う。 | |
てか先生もバッチリあてはまっているんじゃないの? | |
そうだね。けど後述するけど、私は幸いにも感染していなかったんだ。では検査方法について見ていくよ。 |
B型・C型肝炎ウイルスに感染しているどうかの検査方法
B型・C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかの検査としては、主に下記の2つの血液検査が利用されている。 ◆HBs抗原検査 採血した血液中に、HBs ◆HCV抗体検査 採血した血液中に、HCV |
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なるほど。血液検査で検査可能ならラクだね。 | |
そうだね。けれど一般的な健康診断(健診)の血液検査では、この2つの検査までは行ってくれないケースがほとんどなんだ。 試しに私が加入している関東ITソフトウェア健康保険組合のパンフレット(PDF)を見たところ、下記のようにやはり基本健診では 「HBs抗原検査・HCV抗体検査:なし」 になっていた。 |
肝機能検査(一部抜粋) | 基本健診 | 人間ドック |
AST・ALT | あり | あり |
HBs抗原検査・HCV抗体検査 | なし | あり |
うーん、人間ドックって40歳からとかだよね? ってことは、それより若い基本健診だけの人は肝炎ウイルス検査は受けられないってことだよね?300万人も感染者がいるんだったら、基本健診のメニューの中にも入れればいいのに!やる気ないね日本は! |
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そうだね。ただ詳細は割愛するけど、上の表の「AST・ALT」でも、肝炎を発症している可能性があるかどうかはわかるんだ。 でも当然だけど、肝炎を発症してから見つけるよりも、 B型・C型肝炎ウイルスに感染はしているが、肝炎はまだ発症していない という状態で発見できたほうがいいに決まっている。 |
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だよね。じゃあどうすればHBs抗原検査とHCV抗体検査を受けられるの?また高い検査料を別途払わなくちゃいけないのかな? | |
いや、ほとんどの自治体で無料で検査を実施しているんだ。なるべく検査を受けてもらってなるべく肝炎を減らせれば、結果的に若くして肝硬変や肝臓ガンで亡くなる方が減少し、地域の活性化や医療費の削減につながるからね。 | |
なんだ、やる気あるじゃん日本。 | |
そうだね。例えば広島市に在住の方であれば、Yahooなどの検索サイトで下記のように検索すれば、簡単に検査案内ページにたどり着ける。 ① 「広島市 肝炎 検査」で検索 ②検索結果に該当のページが表示されるのでクリック ③検査案内ページにたどり着く |
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なるほど。じゃあ先生は感染していないことがわかったってことは、自治体の無料検査を受けたってこと? | |
いや、私はよく献血を受けるんだけど、それでわかったんだ。献血した血液がB型やC型の肝炎ウイルスに感染している場合は、希望すれば通知してくれるシステム(※)になっている。私は希望したけど通知がこなかったので、結果的に感染していないとわかったんだ。 ※日本赤十字社のサイトより |
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なるほど。じゃあ検査がてら一度献血してみればいっか! | |
いやいや、検査目的での献血は絶対にやめてほしいと強く呼びかけられている。何年か前にエイズウイルスの検査目的で献血した人がいて大問題になったから。 ただ肝炎ウイルスと違い、エイズウイルスは感染していた場合でも通知してくれないので、検査代わりにもならないんだけどね。 なお、自治体の検査を受けに行くのが時間や精神的に厳しいという場合は、楽天やAmazonで検査キットが販売しているので、それを利用するといいかもしれない。 |
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なるほど。 | |
では次のページでは、治療方法や費用について見ていくよ。 |