学資保険と税金2 所得税(一時所得)の計算方法

記事更新日:2016.9.6

一時所得が非課税になる範囲

さてでは、中学校や高校入学時などに祝金を受け取り、大学入学時に満期金を受け取るタイプの場合の具体例を見ていくよ。

まず、学資保険の祝金や満期金は一時所得(いちじしょとく)という扱いになる。この一時所得には特別控除額(50万円)があるので、会社員であっても自営業者であってもよほど高額な契約でない限り税金がかかることはないんだ。
なるほど。うんと、一時所得って?
詳しくはここでは割愛するけど所得税法における所得の一種だ。計算式は下記の通り。

◆一時所得の計算式

一時所得=総収入額-収入を得るために支出した額-特別控除額(50万円)

うーん、わかりづらいな・・・。
そうだね。まあ保険の場合でわかりやすく言い替えると

◆一時所得の計算式

一時所得=受取額-その時点で保険会社に払い込んでいた額-50万円

上の計算式の結果、一時所得が専業主婦は76万円以下会社員は40万円以下自営業者は0円以下になれば非課税になる。


一時所得 課税対象額
(一時所得の半分)
税金を払う必要があるか?
自営業者 会社員・公務員(※1) 専業主婦(※2)
0円 0円 非課税 非課税 非課税
~40万円 ~20万円 課税 非課税 非課税
~76万円 ~38万円 課税 課税 非課税
76万円超 38万円超 課税 課税 課税

※1 学資保険以外には給与所得や退職所得しかない場合
※2 学資保険以外に所得がない場合


満期金だけを受け取る契約の時の所得税(一時所得)の計算方法

祝金がなく大学入学前に満期金だけを受け取る下記の契約の場合

契約者・・・父親
受取人・・・父親
保険料総額・・・100万円
満期金・・・120万円

一時所得
=受取額-その時点で保険会社に払い込んでいた額-50万円
=120万円-100万円-50万円
-30万円

となる。
-30万円?そしたら税金はどうなるの?
マイナスになった場合は誰でも非課税だ。
なるほど。じゃあ祝金がある場合はどうなるの?


祝金と満期金を受け取る契約の時の所得税(一時所得)の計算方法

ちょっとはずかしいけど、私の加入している保険(ソニー生命のⅠ型)で見ていこう。契約内容は下記のとおり。
※2009年当時のプランのため、現在発売中のプランとは保険料が異なります。

保険料払込期間・・・18年
祝金(中学校入学前の学資進学金)・・・45万円
祝金(高校入学前の学資進学金)・・・45万円
満期金(大学入学前)・・・150万円
年払保険料・・・約12万円
保険料払込期間・・・18年


この場合は祝金や満期金を受け取った年ごとに計算が必要になる。
メンドイね。
まあね。
ではまず子供が12歳で祝金(中学校入学前の学資進学金)45万円を受け取った時。

受取額=45万円
その時点で保険会社に払い込んでいた額=年払保険料12万円×12年=144万円

一時所得
=受取額-その時点で保険会社に払い込んでいた額-50万円
=45万円-144万円-50万円
-149万円

-149万円ってことは、余裕で非課税だね。
そうだね。
続いて子供が15歳で祝金(中学校入学前の学資進学金)45万円を受け取った時。この時はちょっとややこしいけど、
「その時点で保険会社に払い込んでいた額」
を計算する時にそれまでに受け取った祝金の額を引かなくちゃいけない。つまり、12歳の時に受け取った祝金45万円を引く必要がある。

その時点で保険会社に払い込んでいた額
=15年分の年払保険料-それまでに受け取った祝金
=180万円-45万円
135万円

受取額=45万円

一時所得
=受取額-その時点で保険会社に払い込んでいた額-50万円
=45万円-135万円-50万円
-140万円

-140万円ってことは、またまた余裕で非課税だね。
そうだね。
続いて子供が18歳で満期金150万円を受け取った時。
15歳で祝金を受け取った時と同じく、
「その時点で保険会社に払い込んでいた額」
を計算する時にそれまでに受け取った祝金の額を引かなくちゃいけない。つまり、12歳と15歳の時に受け取った祝金の合計90万円を引く必要がある。

その時点で保険会社に払い込んでいた額
=18年分の年払保険料-それまでに受け取った祝金
=216万円-90万円
126万円

受取額=150万円

一時所得
=受取額-その時点で保険会社に払い込んでいた額-50万円
=150万円-126万円-50万円
-26万円

-26万円ってことはまた誰でも非課税だね。じゃあどれくらい高額な契約なら税金がかかってくるんだろう?


どれくらい高額な契約なら税金を払う必要がでてくるか?

私の保険の契約内容の3倍の契約だったらどうなるか見ていこう。3倍にすると下記のとおりとなる。

保険料払込期間・・・18年
祝金(中学校入学前の学資進学金)・・・135万円
祝金(高校入学前の学資進学金)・・135万円
満期金(大学入学前)・・・450万円
年払保険料・・・約36万円
保険料払込期間・・・18年

年払保険料36万円ってかなり高額な契約だね!月あたり約3万円も払うってことか・・・。
そうだね。さて面倒なので一気に計算すると下記のとおり。


時期 受取額
その時点で保険会社に払い込んでいた額 特別控除
一時所得
ア-イ-ウ
年払保険料
×年数

それまでに
受け取った祝金

差引

(エ-オ)
12歳 135万円
(祝金)
432万円 0円 432万円 一律
50万円
-347万円
⇒非課税
15歳 135万円
(祝金)
540万円 135万円 405万円 -320万円
⇒非課税
18歳 450万円
(満期金)
648万円 270万円 378万円 22万円
会社員⇒非課税
自営業者⇒課税


えーと、一時所得は会社員は40万円以下、自営業者は0円以下だと非課税だったよね。ということはこの場合だと一時所得が22万円になっちゃっているから、自営業者は税金がかかってくるってことか・・・。
いくらくらい税金を払うことになるの?
課税対象額=一時所得÷2

税額=課税対象額×所得税率


だ。
所得税率は収入によって変わってくるけど、年収500万円くらいの人であれば5%になる人が多い。仮に5%として計算すると今回の場合であれば


課税対象額
=一時所得÷2
=22万円÷2
11万円

税額
=課税対象額×所得税率
=11万円×5%
5,500円


となる。
なるほど、5,500円も払わなくちゃいけないってことか・・・。痛いな・・・。
いやいや、今回の例だと保険料を総額で648万円払って、720万円も戻ってきている。つまり72万円も利益が出ている。それで税金が5,000円くらいしかかからないのはかなり太っ腹だ。銀行の定期預金だったら源泉分離課税で強制的に利益の20%を税金として取られてしまうんだから・・・。
なるほど、それを考えると有利だね。
しかしこんな高額な契約でも会社員はまだ税金がかからないってことか。
そうだね。ざっくりだけど会社員の場合、大学入学費用を重視したタイプの学資保険の時は毎月4万円くらい保険料を払うような超高額な契約で、ようやく税金を払わなくちゃいけなくなってくる。そんな高額な契約をする人はほとんどいないから、基本は非課税と思ってしまっても大丈夫だ。
なるほど。ところでなんで会社員と自営業で非課税の範囲が異なっているの?


会社員は課税対象額が20万円以下の場合は確定申告不要

上記の例では課税対象額が11万円になったよね。
国税庁のサイトによると、会社員や公務員など年末調整を実施している人は、給与所得と退職所得以外の所得の課税対象額が20万円以下なら確定申告不要になっているんだ。なので今回の例(課税対象額11万円)の場合は非課税になる。
まあ確かに、会社員がちょっと他に収入があったくらいで確定申告が必要だったら、物凄い数の会社員が確定申告のために税務署に押し寄せることになっちゃうもんね!
そうなると迷惑だから「20万円以内なら見逃してやるよ」ってことだね。
まあそうだね。
ただ気をつけてほしいのは、年末調整を実施した会社員であっても、住宅ローン控除の申請などで税務署に確定申告をしにいく人は、確定申告をする時に20万円以下の課税対象額についても一緒に申告しなければいけないんだ。
なんだそりゃ?
「20万円以下でいちいち確定申告に来られても迷惑だから来なくていいよ~」
と言っておきながら、
「どうせ来たんだったら、20万円以下の分も申告してね!」
ってことか。調子いいね税務署は・・・。
まあそうだね。それが仕事だからね(^^;)


専業主婦は課税対象額が38万円以下の場合は確定申告不要

専業主婦の場合は基礎控除38万円があるので、課税対象額が38万円以下なら確定申告不要になっているんだ。なので会社員より更に高額の契約でないと税金がかかってくることはない。
そうなんだ。じゃあガッツリ超高額な契約をしたい人は専業主婦の奥さん名義で契約をしたほうが有利だね。
まあそれはそうなんだけど、そこまで高額な契約をする資金があるなら私なら学資保険以外に資金を回すかな。ローンの繰り上げ返済とか、あとは金投資や不動産投資とかね・・・。
なるほどね。
祝金と満期金にかかる税金の話はここまで。数字ばかりで難しかったと思うけど、ここまで読んでくれてありがとう。
お疲れさまでした~